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(回答先: 「このままでは大破局になる−危機回避と再生は永田町政治モデルの一新から」渡辺喜美・衆議院議員 投稿者 Ddog 日時 2003 年 7 月 05 日 01:48:41)
日本型資本主義経済は終わった
―― 日本経済を取り巻く状況は、大変厳しいものがあります。高止まりした失業率、上値の重い株価などマイナス面ばかりが目立ちますね。ここへ来てアメリカ経済の失速感なども囁かれ始めています。このような状況について、渡辺さんはどうご覧になっていますか。
渡辺 今の日本経済は、日本銀行が各種マーケットで最大の買い手となって支えている、言ってみれば、「官治」、官が治める資本主義になっちゃっているんです。債券もそうだし、株式もそうです。さらに、アメリカの為替政策が転換され、日本銀行がドルの最大の買い手になっています。
日本経済には幾つかのリスクがありまして、まず国内のデフレリスクの深刻化。それから、SARS(新型肺炎)リスクですね。今のところ終息したとされますけれども、今年の冬場に向かって、満州経由で北朝鮮へでも蔓延するようになると、これまた全く予期せざるリスクに見舞われていくことになります。
3番目が北朝鮮の地政学リスクがあります。これは日本だけではどうにもならない話ですから、日本の安全保障と外交の真価が問われる。
それから、日本経済にとって、直接的に影響のあるのはアメリカ経済のダウンサイドリスクです。
―― ダウンサイドリスク、とは何ですか?
渡辺 今、日本経済がもっているのは、まさしくアメリカ人が5000億ドルも経常収支を赤字にして、お買い物をし続けているお蔭なんです。アジア人はアメリカ人にものを買ってもらう。日本人はアジア人にものを買ってもらう。それがSARS問題なんかもあって、日本は4月ぐらいからアジア・ヨーロッパ向けの輸出が減り始めている。
一方、アメリカ経済は、グリンスパン・FRB議長もはっきり証言するようになってますが、デフレへの対応をより一層鮮明にやらざるを得なくなってきている。そして、ドル安容認に転じた。
今まで強いドルはアメリカの利益と言ってきたドル高政策の大転換を意味するわけでして、ニクソンショックの時の大転換に匹敵することになるのかも知れません。ブッシュ減税もうまく行かないかもしれない。それから、金融政策面でも、フェデラル・ファンド金利を1%まで下げましたから、これももう先が見えてきた。
結局、アメリカはドルを安くして、自国の経済を支える、デフレに嵌ることを回避する。こういうなりふり構わぬ、むき出しの国益第一主義が出てきたと言えるのかもしれない。ですから、これは日本にとっては、腹を括って対策を講じなければいけない場面になってきたことを意味するのではないでしょうか。
日本国政府はもう7兆円ものドル買い介入を行ない、アメリカにお金を送っています。それが米国債を買うことで長期金利と住宅ローン金利の低下に貢献し、アメリカの株高の隠れた原動力になっているのです。そのおこぼれで出遅れた日本株をアメリカ人が買ってくれて、日本の景気が回復したわけでもないのに株価が上昇している。
今、米政権の中にバーグステン、ヒルズ、ハバード氏などの著名人からなる対日タスクフォースが作られるようですから、そのうちアメリカから日本への要求がつきつけられると思います。その中には、補正予算、メガバンクの「りそな」的国有化、インフレターゲットも含めた更なるリフレーション政策などが盛り込まれることでしょう。そうすると小泉内閣はこの外圧によって「宣言なき」政策転換を迫られていくことになります。
アメリカに言われてからやるようではダメなんです。冒頭申し上げましたが、今の日本経済は、日本銀行がマーケットの買い手の最大の主体になってしまっている、「官治資本主義」なんですよ。なぜ、こんなことが起きるかと言うと、民間任せにしてしまった結果、起きたことなんです。つまり、悪い病気にかかっちゃった人に、メスは自分でにぎって、自分の腹を切りなさいと言っていることと同じなんです。何のために政府があるのかということですよね。政府というのは国家の舵取りを任されている部門ですよ。ナショナルエコノミーが非常事態に陥って久しいわけじゃないですか。それなのに、相変わらず、構造改革というのは民間主体の民間主導型の経済を実現することだという幻想にとらわれて、非常事態対応と、次の未来の平時のあり方を混同しちゃっている。
6つの構造改革を断行せよ
―― それでは、どうすればいいと思いますか。
渡辺 これは、私は何年も前から言っていることですけれども、日本の構造問題に切り込むことが必要です。構造改革と言われるものは、大体、私の分類でいくと六つぐらいに分かれます。財政構造改革、財政再建、社会保障改革、規制改革、郵貯と特殊法人改革、そして、不良債権と産業サイドの過剰債務。こういったものの何から何に最優先の課題として手をつけるか。これが戦略です。私の優先順位は、まず産業サイドの過剰債務と銀行サイドの不良債権問題です。これを最優先の課題にすべきだと思いますね。
―― 6番目ですね。
渡辺 平成4年から、日本経済は非常事態に陥っているんですよ。あの当時、株価が1万4300円まで落ちて、第1回目の金融危機が起こったんです。その時から、日本の国債発行は異常に高まりました。ですから、いったんは赤字国債はゼロになったわけです。しかし、そこから再び国債を発行し始めて、結局、この10年間で、さっき申し上げたように、土地本位制経済から国債本位制経済に変えちゃったわけです。
―― 国債が経済を支える状況になっちゃったわけですね。
渡辺 国が国債を発行して、減税をやったり、公共事業をやったりする一方で、みんなお金を使わないですから、個人の金融資産がたまる。だから、個人の金融資産は毎年50兆円ぐらいずつ増えていくわけです。
―― そのつもりに積もったものがよく言われる1450兆円の個人金融資産ですね。
渡辺 そう。では1450兆円は万全なのか。私に言わせれば砂上の楼閣ですよ。例えば銀行に預けてあれば、不良債権になっちゃったり、問題債権になっちゃったりする。企業の株として持っていれば、その株は将来、収益を産まない設備になり変わっちゃっているかもしれない。郵貯に預けてあれば、公社公団に貸付られて、どこまで不良債権になったか分からない。
無から有を作れるのは国家だけです。では国家の無から有を作る国債というのは何で担保されているかと言ったら、将来にわたる徴税権でしょう。その将来にわたる徴税権をさらに支えるのは国の経済力でしょう。成長力であったり、競争力であったり、富を生み出す力でしょう。そういうものがないかもしれないとなったら、砂上の楼閣に決まっているじゃないですか。こんな持続可能性のないことやったら、さっきの話に戻っちゃうじゃないですか。
―― さっきの話、と言いますと……。
渡辺 つまりマッカーサーが1946年に預金口座封鎖して、強制的に預金を切り捨てて、国の不良債権と民間の不良債権を一斉にちゃらにして、新旧分離再生やった。あこそに戻っちゃうということですよ。ですから、そうなる前に、どこから手をつけるんですか、財政債権から手をつけるんですか、規制改革から手をつけるんですか、社会保障から手をつけるんですかということになる。私は産業サイドの過剰債務と銀行サイドの不良債権をワンセットで解決しないとダメだと思っています。もともと過剰な借金を抱えていた資本主義がフローのベースで過剰になっちゃったわけですから。この過剰な借金をカットする枠組みをつくらないとダメなんです。
これは裁判所任せにしておいてもダメなんです。裁判所には産業をどうやって再生するかなんていう発想自体がないんですから。ですから民事再生法が産み出すようなモラルハザードが起きるんです。でたらめな再生がどれだけこの国の資本主義を蝕んでいることか。要するに、これは銀行の貸手責任とワンセットの話なんです。早い話が民事再生法で裁判所に放り込んだら、もう中には99%カットなんていうケースがほとんどです。いわゆる「徳政令」です。何で一般取引先と銀行が同じカット率で負担しなければいけないんですか。バカにするなと言いたいですよ。ですから、徳政令をやってはいけないのであって、生産性の向上とか、競争力の強化、業界再編などとワンセットにして過剰債務のカットをすべきなんです。
産業再生機構というのは、実はそのために作ったはずなんですけれども、ところがピントが外れていて、2年間で買い取り額が7兆5000億円、ちょっとケタが2つぐらい足りないんじゃないかということですよ。このシステムは、非常に不幸なことに、大手銀行の国有化を回避するために出された経緯があるんですね。例の竹中(平蔵、経済財政金融担当相)にかかわるどたばた騒動の時に。これは悪いけれども、銀行サイドに大穴が開くんですよ。銀行サイドへは公的資本を注入する。つまりガバナンスの問題として、別に政府が銀行経営をやるわけではなくて、ガバナンスをグリップをするための資本注入を作る。つまり銀行のシャッターを閉めないで、シャッターを開けておいたまま、国有化をするということです。オープンバンク・スタンスです。ですから産業サイドもシャッターを閉めないで、シャッターを開けておいたまま、大再編をやるというのが正しい産業再生なんです。これぞまさしく私は「阿弥陀如来型再生」と呼んでおりますけれども、延命じゃないのです。一度、極楽浄土に行っていただくんです。極楽浄土で儲かる体質になってよみがえると、こういうことなんですね。
―― 単純に延命してあげるというだけじゃダメなんですね。
渡辺 ダメなんです。一度は死んでもらって、反省してもらう。このことが第1なんです。ですからこういう大手術をやる時には財政再建から始めちゃいけないんですよ。財政構造改革はやっていいのです。構造改革はやっていいんだけれども、緊縮財政をとってはいけない。そして、金融政策は超緩和でなければいけない。結局、不良債権というボトムネックがあるから、超緩和政策が効かない。そこで、郵貯による株買い取りだ、簡保も使え、といったような小手先細工のことが始まる。そうじゃなくて、私は第2日銀を作っちゃえと言っているわけですよ。
総理の首を代えるのが一番手っ取り早いが……。
―― 小泉内閣は依然として「改革は進んでいる。だから市場が反応している」と言っていますね。失政を認めようとしません。経済音痴丸出しの感じですが、どう見ますか。
渡辺 これは誘導尋問ではありませんか。質問の中に答えがあるような(笑)。行政改革の大きな柱の1つが、官邸主導型のシステムということです。ところが肝心要の官邸の中ががらんどうで、おみこし状態になっている。
―― おみこし状態?
渡辺 おみこしは、中ががらんどうだから(笑)。軽いからかつげるというメリットもあるようですが。そもそも、総合戦略というのは、芯に当てなければいけないわけです。野球でも、ゴルフでもスイートスポットに当たらないと球は飛んでいきませんよ。金融再生も産業再生もスイートスポットに当てないとダメなんですよ。しかし、政府のやっていることはスイートスポットに当たっていないからゴロばっかりなんです。かかとに当たったりとかね。
―― 自打球ですね(苦笑)。
渡辺 霞が関は相変わらず、各省割拠主義の体制になっている。各省割拠主義に任せちゃいかんのですよ。ですから、官邸主導対応というシステムを作った。にもかかわらず、竹中さんと谷垣(禎一、産業再生担当相)大臣が戦略のすり合わせをやっているようには全然見えない。金融と産業の一体再生について、我々にはとても一体には見えません。どういう話をしているのか知らないけれども。
―― 鳴り物入りでスタートした経済財政諮問会議も機能していると思えないですね。
渡辺 ここにも大戦略が見えないわけです。問題の本質は何なのか。これが分かっておれば、大戦略は描けるわけでしょ。政治をやっていく上で最も大事なことは、国民がこの総理大臣だったら、ある程度までお任せでいいかという信任を持てることなんです。そのためには、今、日本はこういう病気にかかって、こういう状態になってしまった、それを克服するのには、危機認識を総理大臣と国民が共有をすることこそが大事なんです。総理大臣は、こういう病気には、こういう治療がベストなんですと言わなければならない。その認識を国民と共有しなければいけないのに、最初の病気の認識のところでピントがズレているんですよ。
―― 国民は景気、経済状況はひどいぞと言っているんだけれども、首相は、いや、大丈夫だと言うばかり。
渡辺 まあ、早い話がそうです。ですから規制改革特区とか、ああいうことで日本経済が再生できるかのごとく、幻想を振りまいちゃうのです。あるいは思い込んでいるのかもしれませんが。
―― そこで、お聞きしたいのが第2の日銀構想ですね。平成復興銀行。さらに官邸に経済安全保障戦略会議を作れとおっしゃってますね。
渡辺 平成復興銀行というのは、早い話が産業再生機構の規模をあと2ケタ大きくしなさいということです。7兆5000億円ではなくて、150兆円とか、200兆円とか使えと。で、日本銀行からお金を出してもらって、それに政府保証をつける。政府紙幣という説もあるんだけれども、私は政府保証をつけて、日本銀行からお金を出させるというのがいいと思います。要するに資産買い取りをやるわけです。ですから不良債権、問題債権を全部かき集めちゃうバッドバンクということになる。しかしバッドバンクであると同時に、これは産業再生を同時にやっていく実行部隊ですから、いつまでも塩漬けで抱えるんじゃなくて、どんどん売れるものは売って、業界再編を促し儲かる体質に変わってもらう。ですから、その重荷になっている借金はどんどんカットしていくということです。だからメインバンクからも当然買い取るわけです。
そして、持ち合い株式制というのも実質的に崩壊しているわけですから、これはもう悪いけれども、いったん平成復興銀行に集めちゃう。ですから、今のイメージでいけば、産業再生機構が銀行の持ち合い株式も全部引き取る。さらに預金保険機構が事業会社の銀行株を全部引き取る。そして大再編をやるんですよ。ですから、悪いけれども、議決権は行使するんですよ。それが非常事対応というものなんですよ。議決権を行使せずに、だらだらだらだら日銀の金を使ってやっているから、国債がどんどん増えていくんです。
こういうときには、国家意思というものを示す必要があるんです。最大の問題は何なのか、国家意思が見えないから、全然病気が治らないし、アリバイづくりの処方箋だけのために問題を長引かせているわけでしょう。だから、いつまでたったって病気が治らない。そのうちに世界デフレにはまっちゃって、このままで行ったら、世界全体が過剰供給になるわけですから、結局、歴史は繰り返すということになりかねない。つまり軍需で需要を強制的につける。爆撃で強制的に設備を廃棄する。占領で強制的に債務をカットする。この歴史の繰り返しになるんですよ。このまま放置しておくと。そうならないようにするには国家戦略が必要なんです。
―― その戦略を練る場所が、以前から提言されている経済安全保障戦略会議ですか。
渡辺 そうです。今の縦割り・各省割拠主義の体制では、そういう総合戦略が出てこないわけですから。総理官邸の中にポリシー・ユニットを作って、例えば、経済非常事態、経済安全保障に対応すればいい。今、私が言ったような総合戦略を企画立案して、それを実行に移す部隊を官邸の中に置かないとダメなわけですよ。
―― 総理直属、真下にね。
渡辺 そうです。この人選は何も民間からだけでなくてもいいんです。霞が関の中でも、そういう問題意識を持つ人がいますからね。彼らは各省の中で組織としての知恵にならないです。彼らの個人的な知恵は。
―― 1人が1人だけでそう考えていても、それは組織としての全体の考えにならない。
渡辺 ならないです。特に若い諸君に多いですね。彼らは霞が関をやめます。だから、私はそういう官民の知恵を結集して、ポリシー・ユニットをつくれといってるわけです。
―― なるほど、そのときの責任者は総理大臣首席補佐官にして、その場合、その補佐官は渡辺さんのような若手の政治家で、やる気のある者がいいですね。
渡辺 でも、ここまで問題がこじれちゃうと、もう総理大臣取り替えるのが一番手っとり早いかもしれませんよ。
秋の自民党総裁選睨んで
―― さて、小泉首相と竹中大臣。この2人の組み合わせはどうご覧になりますか。
渡辺 2人がやっていることは要するに、シュンペーター流の「創造的破壊」じゃなくて、創造なき破壊なんですよ。まるでクリエイティブなところがない。クリエイティブなところは規制改革特区みたいな細かいところでお茶を濁してるだけなんです。ですから、破壊がどんどん進行していっている。これはまさしく総合戦略の欠如、問題の本質に気がついていないということに尽きるわけなんです。ですから、竹中金融大臣が出てきた時に、私は言ったんですけれども、竹中さんは最初から妥協しちゃっている。つまり、最後に出すべきカード、ペイオフ延期というやつですが、それを一番最初に出しちゃっている。これでは交渉にならないのです。最初から手を握っちゃっているわけですから。
―― 先ほどの、総理を首を変えるのが一番手っ取り早い、とおっしゃった。その意味をもう少し詳しくお聞かせ下さい。
渡辺 自民党の体質は非常に不毛の対立構図になっている。要するに、ピント外れの改革派対抵抗勢力という構図ですよ。では、抵抗勢力が言っている財政出動だけで、この病気が治せるなんて、できっこないんですよ。
―― それはこの10年間で実証済みですよね。
渡辺 ですから、我々のような「第3の勢力」が出てこないとダメなんです。ところが、日本の政治モデルというのは、総理大臣になるのに30年以上かかって、ようやく権力をとるシステムでしょう。だから、私の親父(故渡辺美智雄氏)は大不況脱出の処方箋を明確に持っていましたが、27年目に派閥の領袖になって、そこからヨーイ・ドンで総裁レースが始まった。それで、28年目に総裁選に出ました。しかし、残念ながら、29年目に病気になって、32年目に死んじゃったんですよ。このモデルは完璧な時代遅れですよ。
―― 「旬の時」に活躍できるようにしなきゃいかんと。
渡辺 そうです。ところが、これは日本の不幸なことなんですけれども、とにかく年功序列で権力をとっていくシステムがもう鉄の規律のようになっちゃっているんです。これを支えているのが霞が関の同じく年功序列で35年かかって事務次官になるというシステムなんですよ。これらが表裏一体の関係で出来上がっちゃっているもんだから、まるで新しい発想が出てこない。経験が通用しない時に、経験に頼るシステム、政治モデルでやり続けているわけですから、それはもう根本的な対策がとりようがないんです。
―― しかし2年前、渡辺さんたちは小泉さんを推したではないですか。
渡辺 はい。だって、あの時、小泉さんが自民党をぶっ壊す。派閥均衡、年功序列はやめるんだと言ったからですよ。私たちは応援したんです。ところが、実際にやっていることは、何のことはない、橋本派を冷遇する人事をやっているだけです。当選5回以上が大臣という年功序列を当選4回以上にしているだけのことですよ。副大臣以下にあっては、完璧な派閥均衡でしょ。ちっとも変わってないじゃないですか。
―― 政策的には旧大蔵省主導ですね。
渡辺 要するに丸投げで、まるで総合戦略がない。だから財政再建からスタートしちゃって、すべてがピント外れになる。産業再生機構だって、とにかく預金保険機構は出資しない、民間だけにやらせるとなった。だから、かつての護送船団方式で、出資500億円集めて奉加帳を回して、非常にピントがズレた中身になっているわけです。生保の予定利率引き下げ案もそうです。更正特例法の破綻処理にもっていくと、資本の持ち合いを通して公的資金を入れた銀行に被害が及ぶだけでなく、契約者保護基金の資金が食われる恐れがある。だからピンぼけ破綻前処理のスキームでダメ生保を延命させようとしているだけです。
―― そうすると、やはり総理大臣を取り替えなければダメですか。
渡辺 総理大臣を取り替えるのが一番手っとり早い構造改革になるかもしれません。
―― 具体的にどういう動きをされるんですか。
渡辺 誰がやるかじゃなくて、何をやるかがまず大事なことです。ですから、総理・総裁になりたい人がマニュフェスト(政策案)を出し合って、それをもとに合戦をやればいいんですよ。
―― 渡辺さんも、そういうマニュフェストを秋(自民党総裁選)に向けて作るんですか。
渡辺 別に、私だけじゃなくたっていいわけですよ。幾らでもいるわけです。若手でマニュフェスト作りをやろうとしている人たちは。そういう人たちがワーっと一斉に出てくればいいんですよ。
―― そこから、一番いいマニュフェストが選ばれればいいと。
渡辺 そうです。
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