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株式日記と経済展望:今回の株価急騰は福井日銀総裁が作ったミニバブル 株価は日銀が操作出来ることが証明された。
http://www.asyura.com/0306/hasan27/msg/949.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 7 月 03 日 18:17:29:


サイト:http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu49.htm


2003年7月3日 木曜日

2001年からの株価チャート(サイトでご確認を)


◆福井体制は政府管理型の金融政策を遂行するのか?

【石井】 福井体制を一言でいえぽ、政府管理型の金融政策を遂行する仕組みだと思う。政府がイニシァティブを持った金融政策を少なくともこの一年問はやらざるをえない。なぜかといえぽ、福井総裁の脇を固める武藤副総裁、岩田副総裁は直近まで小泉政権のスタッフだった。政策スタッフ、官邸スタッフニ人がそのまま横滑りで副総裁になった。福井さんはそれに乗っているが、両足に足かせがはまって、さらに背中から塩川財務相がはがいじめし、福田官房長官が口まで押さえているという状況だ。したがって、基本的には福井さんは身動きがとれない。

福井日銀がなぜこんな状況に追い込まれたのかといえば、速水前総裁の政策失敗に官邸が危機感を強めているからだ。政権を長期化させたくても、今のままでは九月に終わってしまう。したがって、小泉政権の延命を図るために、相沢議員を中心とする自民党の金融関係議員が発案する政策を遂行するために、福田官房長官と塩川財務相が武藤さんを送り込んだ。

武藤さんのように直近の事務次官が日銀副総裁になったことは前例がない。これまで事務次官は五年程度外に出て、たとえぱ東京証券取引所理事長や日本輸出入銀行総裁などを経由して日銀に入っていた。昔の言葉でいえぱ、日銀を監督する立場の人が直接日銀に入ったということだ。今は監督ではなく監視だが、財務省は日銀の業務についての許可を出す役所だから、財務省と日銀の関係はほとんど変わっていない。監視する立場にいた最高責任者が直接日銀にきたということは、日本がGHQに占領されたように、日銀速水体制が政策の失敗続きで敗北し財務省に占領されたのと同じ構図だろう。武藤さんは実質的には今も総裁だと認識している。武藤さんは間違いなく五年後に総裁になるから、武藤総裁体制が一〇年間続くというふうに考えている。

【ヴェルナー】 私の意見はまったく逆だ。小泉総理が福井新体制の副総裁人事を固めた段階で、日銀の独立性がなくなるとか、日銀が財務省や政治家に操作されるようになるといった内容の記事が新聞などにも掲載されていた。独立性がなくなる恐れがあるから心配だ、やはり日銀は独立していたほうがいいという論調だった。しかし、そんな心配はする必要がない。私はまったく逆の心配をしている。日銀の独立性が以前から高すぎることこそ問題だ。操作されているのは財務省や政治家のほうだ。日銀新体制の福井、武藤、岩田の三人のなかで一番力を持っているのは明らかに福井さんだ。

【石井】 福井さんと武藤さんは以前にも席を並べて仕事をしたことがあった。森永総裁の時代に、日銀と大蔵省で人事交流することになり、お互い最も重要な部署に超一流の人材を派遣した。大蔵省の最重要部署は、金融政策を担当する銀行局総務課。日銀には実行部隊と頭脳の部分のふたつがあって、前者が営業局総務課資金第一係、後者が総務部企画課、今の総務室政策課だ。総務部企画課の課長は総裁を勉強する重要なポストで、福井さんも三重野さんも経験している。

その時、福井さんが大蔵省銀行局総務課の筆頭課長補佐として派遣された。大蔵省銀行局総務課には課長補佐が三人くらいいる。実は、銀行局総務課には日銀係というものがある。日銀が新しい業務を行う際には、大蔵省・財務省の許可が必要で、昨年日銀が銀行保有株の買い取りを決めた時にも、書類を作成して財務大臣の許可をもらった。その書類は日銀係が仕上げて、日銀係担当補佐が総務課長にあげ、銀行局長へと回っていく。福井さんは課長補佐筆頭だから、日銀との関係は円滑にしようということだった。その時の第二補佐が武藤さんだった。大蔵省としては、福井さんの下に武藤さんをつけて、武藤さんに金融のことを勉強させたかったのだろう。福井さんは武藤さんより七歳年上だから、年齢的にもちょうどよかった。

大蔵省から日銀に派遺されてきたのは、福井さんよりも若い世代だったが、皆将来の事務次官侯補だった。最初にきたのが杉井さんという人で、資金第一係で窓口指導を勉強した。しかし、もちろん日銀も彼に大きた銀行は担当させない。担当させたのは当時中位行だった三井銀行だ。杉井さんは残念ながら接待問題で辞めてしまった。現在総裁秘書官をしている丹呉さんも日銀にきていたように、大蔵省は超一流を送ってきた。それに対Lて、日銀も一番いいポストを用意した。金離政策のもとである窓口指導を勉強できるようにした。これはかなり勇気がいることだった。これを決断したのが三重野さんだった。日銀のほうも、だいたい同期のトッブを大蔵省に送り込んだ。当然、増渕さんもいっている。

武藤さんの話に戻ると、福井さんと武藤さんはその時すでに一緒に仕事をしていたが、当時の武藤さんと今の武藤さんは違う。明らかにバワーアップしている。一方、福井さんはその時とまったく同じだ。福井さんはその時から絹の服、将軍用の服を着ていた。武藤さんは当時同期のトッブといわれていたが、大蔵省は最後まで競争させるし、同期にライバルもいた。大蔵省の人事は透明で、だれが辞めても代わりはいくらでもいる。

◆ 金融政策は先手必勝。腐ったピザを出しても何にもならない

【ヴェルナー】 私は小泉さんの雇用主が福井さんで、日銀のほうが政府、財務省を操作できると思っているし、国会よりも日銀のほうが権力があるとみている。実は国会は福井さんの過去の実績を追及する絶好のチャソスがあったのに、逸してしまった。三月に議会の歴史で初めて日銀総裁への投票権が与えられた。政治家は日本の国民のために働くことが義務のはずであり、皆一応景気回復を願っているはずだが、福井さんに質問するチャソスが与えられたのに、政治家はほとんど質問しなかった。福井さんは過去に大変な失政を繰り返し、国民に悪影響を与えた人だが、その人に対して過去の実績や失敗の理由についてだれも聞こうとしたかった。唇がないみたいだった。投票でも反対しないで、過半数は福井さんを選んだ。これはおかしい、これは民主主義なのかと思った。そこでだれが権力をもっているのかが判明した。国会でも、政府でもない。福井さんだ。

【石井】 福井さんが総裁に就任して、本当に世の中がよくなるのかどうか。短期間で、一年くらいで、デフレから脱却できるのかどうか。小泉さんは福井さんに頼みましたよといっているわけだ。新聞などは福井さんの対応はスピーディーで非常にいいといった視点で記事を書いていたが、私にいわせれば、話にならない。問題外だ。そういう意味では、福井日銀は出足から限界を露呈してしまった。まあ、私としては予想どおりの結果だったが。福井さんは総裁就任直後で注目も集まっていたし、政府からも圧力がかかっているので、なにか行動を起こさなげればならない。

先日、総理や官房長官が出席した会議にオブザーバーとして招かれた日銀の政策担当理事が政府に徹底的に怒られた。「なにをやっているんだ。なにもやっていないじゃないか」と怒鳴られた。それでようやく臨時政策委員会が開かれた。臨時政策委員会をやるなら大きな政策の変更があるのではと市場は期待したが、結局株の買い取り枠を二兆円から三兆円に拡大しただげで、期待感を持たせる政策はなにも打ち出されなかった。中小企業対策も、投資信託を購入するかどうかといった議論はなにもなかった。これはクイックレスポンスではなく、トゥレイトだ。

株式市場の時価総額は二〇〇兆円から三〇〇兆円もあるのだから、一兆円や二兆円株を買い取っても株価を刺激することはできない。もともと株の買い取りは政策の失敗で、昨年から株を買ってもなにも動いていない。動いていないものをまた動かしても、なんの意味もない。全然ピントはずれだ。

福井さんはやりたくないのかもしれないが、不動産投信や株価連動型投信(ETF)、外債の購入を検討するだげでもよかった。国債の買い取り額の上限撤廃という案もある。福井さんが政策の実施を先に延ぼしても、事態が悪化すれぼ必ずやらされることになる。福井さんは「金融政策は先手必勝だ」と発言しているが、いっていることとやっていることが全然違う。金融政策は事態の変化に先んじてやらなげればならないから、先んじていいものをやらなけれぱならないというのが彼の主張だが、なにも先んじてやっていない。冷えたピザどころか腐ったピザを出してもなんにもならない。福井さんは出足から限界がはっきりしたし、国民の本当の深刻さを理解していないということもわかった。(福井日銀危険な素顔 P116-P122)


福井日銀危険な素顔 石井正幸 リチャード・ヴェルナー:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4871772187/qid%3D1057210431/sr%3D1-2/ref%3Dsr%5F1%5F2%5F2/249-6823699-8781115


日経225のチャートを見ていただければ分かるとおり、8000円割れから急激に反転して上昇している。りそなの公的資金による救済により相場の流れが変わったと見るべきですが、5月の日銀による4兆円のドル買い介入の余波が兜町に押し寄せていると見ることも出来る。

4兆円と言う規模は日銀の外為オペレーションとしては異例の大規模介入であり、東証の一週間分の売買金額に相当する。しかもドルを回収せず短期の米財務省証券を購入したから異例中の異例だ。これは福井日銀総裁の一存で出来ることではなく、日本政府ならびにFRBとの共同作戦だろう。ニューヨークの株式もなんとしても梃入れしなければならない状況にあった。

「福井日銀危険な素顔」にも書かれている通り、福井日銀総裁の周りには武藤副総裁と岩田副総裁がおり、政府閣僚にも塩川大臣、竹中大臣、福田官房長官が目を光らせている。日経ダウが8000円を割ったところで日銀も政治的判断が下されたのだろう。8000円を割ったままでは小泉内閣が持たない。

アメリカ政府も小泉内閣が倒れたら困るので日銀サイドに圧力が加えられたと思われる。日銀は日本政府の管理は受けないが、アメリカ政府とFRBの指令には従う仕組みが出来ているのだろう。だから80年代のバブルの発生も90年代のバブルの崩壊も日銀の金融政策にはアメリカの関与があると思われる。

今回の株価急騰が何故ミニバブルなのか。経済指標がいずれも悪く、企業の好決算もリストラによるもので、減収増益に過ぎない。物価もデフレ症状は続いている。その中を株価だけが急騰するのは明らかにミニバブル現象だ。このように日銀が大胆な手を打てばミニバブル現象を起こすことが出来るのだ。

このような小規模なミニバブルを起こさせながら、銀行の不良債権処理を促していけばよかったのだが、速水日銀前総裁の頑迷な金融政策はデフレスパイラルを招いてしまった。財務省は起死回生のために武藤氏を日銀に送り込み日銀をコントロールしようとしている。日銀と大蔵省の主導権争いは第二ラウンドに入ったようだ。

日銀は明らかに金融政策が失敗し日銀総裁の権威は失墜した。その結果政治家の不信を招き、福井氏を総裁に復権させると同時に、元財務次官の武藤氏を送り込んだ。思惑通り再び財務省が日銀を支配できるようになるかどうかは不明だが、しばらくは政治的配慮で金融政策は行われるのだろう。


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