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【北京=佐伯聡士】中国の胡錦濤政権は、来春の全国人民代表大会(全人代=国会)に向け、憲法改正作業に着手した。
共産党は昨年秋の第16回大会で、私営企業家らを党内に取り込みながら、民間経済を経済成長の新たなよりどころにする歴史的な方針を決定しており、憲法改正ではこの方針を受けて、私有財産保護を明確に規定する方向で調整が進んでいる。持続的な経済発展を国家目標とする中、憲法レベルで市場経済を制度保証するものだ。
複数の中国筋によると、中国共産党指導部は6月、呉邦国・全人代常務委員長をトップとして具体的な改憲作業を進める党中央改憲小組を始動させた。年内にも基本方針を固め、来春の全人代で改憲案を採択する方向だ。
焦点は私有財産問題。改憲積極派の杜鋼建・国家行政学院教授は「単なる経済問題でなく、国家の発展にかかわる問題だ」として、改正案では「私有財産の保護」を明記する方向で検討されるとの見方を示す。
現行憲法では、私有財産を、公共財産のように「不可侵」とする規定はない。私営企業家などは、私有財産を公共財産同様に「不可侵」と明記するよう求めており、第16回党大会で、私有財産保護の方向性が打ち出された。
さらに杜教授は、「現行憲法に欠落している最も重要な原則は公民の権利を保障する人権だ」として、人権の基本原則が明記される可能性が強いとした。新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)を巡って情報公開の遅れが激しい批判を浴び、都市部に大量流入する出稼ぎ労働者の差別的待遇などの社会問題も噴出しているだけに、「知る権利」「移動の自由」「請願権」などの保障を求める声が強まっているためだ。
一方、江沢民・前総書記の指導思想「3つの代表」は、99年春の改憲で追加したトウ小平理論同様盛り込まれる見通し。大規模な学習キャンペーンを展開中で、「江氏の権威を維持するため明記は必至」(共産党筋)との見方が強い。(「トウ」は「登」の右にオオザト)
ただ、識者の中には、「度を越した頻繁な改憲は憲法の権威がなくなる上、党の政治学説を憲法に明記することには反対」(賀衛方・北京大学法学院教授)などの慎重論も少なくない。
私有財産保護についても、「現行憲法の規定で十分で、改正の必要はない」(蔡定剣・全人代常務委員会秘書組副局長)との見方もある。問題は規定でなく運用だという論理だ。
◆中国憲法=最初の憲法は1954年制定。現行憲法は改革・開放時代の82年に全面改正したものを基礎に、市場経済の進展に伴い、88、93、99年の3回にわたり部分改正した。
(2003/7/2/03:14 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030702i201.htm