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2003年7月1日 火曜日
「国債暴落」と「スタグフレーション・スパイラル」について。
国債の大量増発にともなって、将来の国債暴落が懸念されている、との記事があった。(朝日・朝刊・経済面。2003-06-28 )
この懸念自体は、前から言われていることだ。ただ、記事では、「将来的には、暴落した国債を、日銀に買い支えてほしい」という希望が出ている。
では、もしそうしたら、どうなるか? それを考えてみよう。
国債が暴落しているとする。つまり、金利は上昇している。当然、物価も上昇している。(物価が上昇していなければ、現在と同様だから、金利は低いはずだ。)さて。この時点で、国債を買い支える。つまり、買いオペをする。すると、資金がさらに市場に供給されることになる。すると、ますます物価は上昇する。その物価を下げようとすれば、今度は、高金利政策を取ることになる。つまり、売りオペをすることになる。矛盾。かといって、売りオペをしなければ、物価は上昇し、国債はますます下落する。
結局、その本質は、何か?
「国債暴落に対して、国債を買い支える」という金融政策は、その時点では、効果を奏して、国債の暴落を防ぐことができる。しかし、そのとき供給した資金のせいで、じわじわと物価上昇の効果が出て、ますます物価が上昇し、ますます国債が暴落する。だから、国債の買い支えというのは、「一時しのぎの鎮痛剤」にすぎないわけだ。病気の根源を無視して、一時しのぎで表面的な痛みだけをなくそうとする結果、ますます病気が悪化する、というわけだ。そのあげく、どうなるか? 高金利により生産量は縮小し、同時に、物価は急上昇する。つまり、スタグフレーションだ。しかも、その最初の原因は、デフレを脱出したこと(物価が上昇してスタグフレーションになったこと)である。つまり、スタグフレーションになったあと、日銀が「国債の買い支え」をすると、スタグフレーションがますます悪化する。これを、「スタグフレーション・スパイラル」と呼ぼう。
スタグフレーション・スパイラルは、インフレ・スパイラルや、デフレ・スパイラルとは、根本的に異なる点がある。それは、「日銀の政策によって引き起こされる」という点だ。インフレ・スパイラルや、デフレ・スパイラルは、自然発生するスパイラルだ。それは、修正ケインズモデルにおける「循環的な過程」に従って、マクロ経済的に必然的に発生するスパイラルである。放置すればかからずそうなるから、マクロ的にはそれを抑制することが大切だ。一方、スタグフレーション・スパイラルは、自然発生するスパイラルではない。日銀が余計なことをするから発生するだけだ。放置すれば、発生はしない。つまり、スタグフレーションはスタグフレーションのままであり、スタグフレーション・スパイラルにはならない。
では、どうすればいいか? その質問に対する回答を与えよう。
第1に、国債暴落については、放置しておいて構わない。長期国債の市場取引というのは、プロのやるギャンブルなのだから、ギャンブルの損得には国が面倒を見る必要はない。個人投資家は、こんなギャンブル商品を買わなければよい。手堅いところでは、普通預金をすればよい。欲があれば、最近売りに出されている変動金利型の国債を買えばよい。最悪でも、長期国債を買ったあと、途中で換金せずに、最後までもっていればよい。いずれにせよ、損は出ない。たとえば、「年利1%で10年」の国債なら、途中で換金すれば大損だが、最後までもっていれば、最初の契約通り、10年後に元本を返してもらえる。「契約通りなのは、けしからん」と思う個人投資家がいるとしても、頭が狂っているのだから、放置しても構わない。(後略)
ニュースと感想 2003年6月28日 南堂久史:http://www4.justnet.ne.jp/~greentree/koizumi/main.htm
債券先物週足グラフ:http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu49.htm
株式相場が堅調である。それに伴って債券相場が急落している。とはいっても1,0%以下の範囲の動きである。今までが一本調子で上げてきただけに、株価の堅調ぶりを見て債券から株式へのシフトが起きたのだろう。しかしこれが債券暴落の引き金になったり、スタグフレーションに陥るのかと言うと、その前提条件の物価の上昇は起きてはいない。
南堂氏が指摘するように物価が上昇していなければ、現在と同じであり金利も低いはずだ。金利が低いのに国債が暴落することはありえない。現在起きていることは物価が下落しているのに、株が上がっていることだ。金融相場の初期に見られる現象ですが、福井日銀総裁の5月の4兆円のドル買い不胎化介入による、金融緩和現象だろう。
さらには「りそな」への公的資金注入による、株主責任への影響がなかったことや、これ以上銀行は潰さないと言う安心感から、国債から株式への資金の流れが出来たのだろう。これが一時的なものか、株式相場の転機となるのかは月日が経ってみないと分からない。しかし小泉内閣の経済政策が転換したとは言えず、いつ梯子を外されるか分からない。
外人買いも大きな要因となったが、ニューヨークが上げればファンドの組み入れ比率の割合から日本株を買わざるを得ない。しかしニューヨークの株式はこの先三段下げが待っている。イラクの泥沼化がアメリカ経済を直撃するだろう。20万人もの兵士をイラクに釘付けするのは、年間数兆円もの出費となる。アメリカ経済はそれに耐えられないだろう。
日本の株式相場内容を見ると出来高からして低位小型株が上がっており、いわゆる博打相場なのだ。先日倒産した福助と対して内容が変わらぬ企業の株が乱舞している。その反面、銀行の持ち合い解消売りや年金代行解消売りが待ち構えている。それらを吸収しての株の上昇は難しいだろう。
だから株の上昇が止まれば、資金の流れも国債中心へと戻らざるを得なくなる。政府が本格的な株価対策を打てばこのような事はないのだが、小泉内閣は株価には一喜一憂する気はない。しかし株価が8000円を割り込めば福井日銀総裁が一時的な金融緩和相場を作り出す。
つまり福井日銀総裁は国債を買うより、外債を買うことによりニューヨークを通じて株式相場を操縦することを知っている。為替相場でも5月に見せたようにいくらでも介入して、日銀とFRBとの秘密協定により円ドル相場は決定される。投機筋がドルを売り崩そうとしても中央銀行の協定により為替相場は決められるのだ。何しろ中央銀行は紙切れを印刷して通貨にする権限があるのだからどんな投機筋もかなわない。
日経225週足グラフ:http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu49.htm