現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産27 > 879.html ★阿修羅♪ |
|
家計部門の貯蓄率が急激に低下している。その一方で、政府部門では大幅な赤字が続いている。こうした状況を見て、経常赤字と財政赤字の「双子の赤字化」へ の懸念が一部では高まっている。家計部門の貯蓄率低下によって、「民間貯蓄 (家計部門と企業部門の貯蓄の合計)で一般政府赤字と民間投資を吸収できなく なり、経常収支が赤字化する日が早晩訪れる」というのである。これに対し、BNPパリバ証券会社・経済調査部チ−フ・エコノミストの河野龍太郎さん(Ryutaro Kono/Chief Economist, BNP Paribas Securities(Japan) Ltd.)は、「現在の家計部門の貯蓄率低下は、デフレによる企業部門の貯蓄増加の結果として生じているのであり、それぞれを別の現象として捉えるべきではない」と語る。
<「対」なす、家計部門の貯蓄率低下vs.企業部門の貯蓄増加> まず注目すべきことは、現在の家計部門の貯蓄率低下が、企業部門の貯蓄増加と「対」をなして起こっているという点である、と言う。企業部門と家計部門の貯蓄の合計である民間貯蓄はほとんど横ばいである。一方で、企業部門の設備投資と家計部門の住宅投資を合計した民間投資は低迷が続いているため、「民間部門の貯蓄超過(民間貯蓄と民間投資の差額)は拡大傾向にある」。民間の貯蓄超過は財政赤字を大幅に上回っており、ISバランスから明らかなように、それらが高水準の経常黒字発生の原因となっている。家計部門の貯蓄が減少したからといっても、「民間部門全体の貯蓄が減少しているわけではなく、経常黒字が急激に減少するような事態がすぐに訪れるわけではない」と言う。
<デフレによる「企業→家計の富移転」の再移転> 「デフレによって引き起こされた企業から家計への富の移転」の再調整(再移転)が起こっている、と見ている。デフレは預金・負債あるいは賃金を通じて企業から家計に強制的な富の移転をもたらすが、デフレによって富を減少させた企業部門は、それを回復させるために、支出を抑制し貯蓄を増やしているのである。「企業部門 が支出を抑制すると、最終的に家計部門の所得減少につながる」。家計部門が企業ほどドラスティックに支出を抑制することは難しいため、結果として貯蓄率を低下させることになる。