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【ベルリン=宮明敬】「75歳以上の老人には、人工透析や心臓の手術は無用」――自治体財政や健康保険会計の破綻が進むドイツで、社会学者らが、医療費抑制のため、高齢者に対する治療を痛みの緩和程度にとどめ、延命治療はやめるべきだとの提言を公表、波紋が広がっている。
ドイツではナチス時代、心身障害者らを「安楽死」の名目で大量殺害したり、強制収容所では労働力としての価値を失った者から抹殺するなど、有用か否かで人間の生死を決めていた。それだけに、高齢者の生存権を否定するような今回の提案に、ナチス時代の選別思想の復活を指摘する声もある。
この提言は、連邦経済省の諮問委員を務める社会経済学者のフリードリヒ・ブロイヤー教授と、ドイツ社会倫理学会長のヨアヒム・ビーマイヤー教授が、今月初旬に放映された公共テレビの番組で訴えたものだ。「平均寿命に近い年月を生きた75歳以上の人が延命治療や高額治療を望むなら、全額自己負担にせよ」というのが骨子。背景には、「75歳以上の人に手術を施しても、(社会経済的に)元が取れない」(ブロイヤー教授)との功利主義的な考え方がある。
ビーマイヤー教授は「年齢による医療制限というテーマは、政治の世界ではまだタブーかも知れないが、学者や専門家の間では市民権を得ている」と語り、高齢者“切り捨て”論に共鳴者が少なくないことを示唆した。
これに対して、連邦医師会のホッペ会長は「高齢者のそれまでの社会貢献も、人間の尊厳も無視した議論で、ナチス時代の安楽死を連想させる」と非難。旧東独共産党系の民主社会党も「節約ヒステリーのなれの果て。年齢や出自、障害の有無で人間を選別することは絶対許せない」との声明を出した。
シュミット保健相は「医療行為の年齢制限など考えられない」と沈静化を図っている。だが、今回の提言は、シュレーダー政権が進める「痛みを伴う社会改革」の中で出てきただけに、改革に対する国民の不満に火をつけかねない。(読売新聞)
[6月23日20時34分更新]
構造改革の行き着く先か?