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国内総生産(GDP)とは、国家(あるいは地域)に常住するすべての機関が一定期間内に行った生産活動の総額を表すもので、マクロ経済における最も重要な指標の一つである。
だがGDPは万能ではない。国家統計局・国民経済核算司の許憲春司長は、GDPの限界として次の4点を指摘する。
1 GDPには経済発展が環境・資源に与える負荷が反映されない
木を伐採するとGDPは増加するが、伐採し過ぎれば森林資源の減少を招く。この場合、GDPには伐採の代価は反映されない。また、ある製品を生産すると空気中や水中に有害物質が排出されるとしても、生産量が増加すればGDPも増加する。ここでもGDPには環境への負荷は反映されない。GDPは経済の成長を示すものだが、成長のもたらす資源の減少や環境被害といったマイナス面を反映することはない。
2 GDPには国家の富の変化が正確に反映されない
ある国家の国民財産に関して、経済学者の間で見解が分かれたとしても、固定資本をその重要な構成部分とみる点では一致する。国家の富が順調に増えているかどうかは、総固定資本形成のGDPにおける割合とその質とによって決まる。質の低い固定資本は、使用期限が来る前に使い物にならなくなる。質が低ければ、いくら総固定資本形成が増えても国民財産を豊かにすることにはならない。
たとえば2001年に橋を建設し、工事の質に問題があって2002年に取り壊し、2003年に再建設したとする。2001年の建設は2001年のGDPを、2003年の建設は2003年のGDPをそれぞれ増加させ、GDPは2度にわたり増加する。しかし2001年建設の橋は取り壊されたため2002年の国民財産にはカウントされず、2003年の国民財産には同年建設の橋が1基あるだけとなる。また2003年には再建設のために資源を再び消費する。このため2001年と比べ、2003年の国民財産は増えないどころか、かえって減少することになる。
3 GDPには重要な非市場経済活動が反映されない
炊事、老人の世話、育児といった非市場経済活動は、日常生活の中で重要な位置を占めるものではあるが、給与が支払われることはなく、国際基準に従ってGDPにも反映されない。しかし保母を雇った場合、その育児活動には報酬が支払われるし、国際基準に従ってGDPにも反映される。このようにGDPには非市場経済活動が反映されず、そのことがGDPの客観性と比較可能性をある程度失わせることにもなっている。
市場経済の発達した国では家事労働の市場化が進むが、発展途上国では市場化が遅れ、ほとんどの家事労働を家庭の構成員が行う。同じ家事労働でも、市場化の進んだ国ではGDPに対する寄与度が大きく、遅れた国では小さくなる。こうした点から考えて、発展途上国のGDPと先進国のGDPとは同じレベルで比較できないことがわかる。
4 GDPには福祉の状況が全面的には反映されない
一人当たり平均GDPの増加は、国民の平均収入の増加を示し、その国の平均的な福祉の向上を意味する。しかし収入には個人差がある。平均GDPが増加しても、収入が増える人はほんの一握り。大多数の人は微増か現状維持で、その福祉状況もあまり改善されないか、あるいはほとんど改善されない。こうした点から考えて、平均GDPには収入の差による福祉状況の差異が反映されないことがわかる。
許司長は「GDPに完全無欠を求めてはならない。完全な指標はこの世に存在しない。GDPの有効性と限界を見定めて、妥当な範囲で正しく活用すべき」と提言する。(編集KS)
「人民網日本語版」2003年6月19日
http://j.peopledaily.com.cn/2003/06/19/jp20030619_29925.html