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6月16日(ブルームバーグ):米国が築き上げた生産性の高い巨大経済に、アジアが抵当権を設定している。これはよく言われることだ。
世界最大の経済は、アジアから受ける年間何千億ドルという資金の注射がなくては生きられない中毒状態に陥っている。アジアの資金が、急拡大する米国の経常赤字を埋め、米国民の分不相応な生活を支えている。
信頼の危機
アジア資金がドル資産から雪崩を打って逃げ出す事態を想像するだけで、ワシントンの政策担当者やニューヨークの投資家は眠れない夜を過ごすことになる。米2位の住宅抵当金融投資会社、米連邦住宅金融抵当金庫(フレディマック)にとって、先週この悪夢が少し現実に近づいた。米証券取引委員会(SEC)による会計調査で不安を覚えたアジアの投資家が、同社の債券を売ったのだ。
幸いなことに、同社債を多くを保有する中銀は――今のところは――フレディマック債を売ってはいないようだ。先週、フレディマックの10年債のスプレッド(米国債との利回り格差)は前週比で0.14ポイント拡大した。中銀が売っていれば、拡大幅ははるかに大きくなっていたはずだ。
しかし、フレディマックは投資家の信頼を回復するために、アジアで十分なアフターケアを行う必要がある。投資家は、SECの調査が進むにつれて同社がさらに深みにはまるのではないかと見守っている。米議会がフレディマックなどの政府系機関への信用供与を停止するのではないかとの点も注目材料だ。暗黙的な政府保証こそは、アジアの中銀がこれらの債券を購入してきた理由なのだから。
より広範なリスク
フレディマック問題は、米国の債券市場全体が抱えるより広範なリスクと通じるものがある。アジアの投資家がドル建て資産を売るというシナリオは、一見ありそうもないことではあるが、米政府と金融業界が何年も恐れ続けていることだ。
多くの投資家はこのリスクを鼻で笑う。しかし、米国の生活水準はかつてないほどに、海外からの投資に依存するようになっている。何十年もの間、アジアの家計部門の貯蓄が不均衡に米国に流れ込み、貿易赤字を穴埋めし、M&A(企業の合併・買収)の資金を賄ってきた。株価は押し上げられ、トレーダーは大金を手にした。こうした良き時代が、終わろうとしているのかもしれない。
1つには、米国経済への信頼がアジアで揺らいでいるからだ。また、ユーロ相場が下げ止まった今、アジアの投資家はユーロへの分散投資に熱心だ。アジアに域内債券市場を育てようという動きも出ている。欧米に流れがちなアジアの貯蓄を域内にとどめようという考えだ。
日本株回復リスク
さらに、日本の株価回復というリスクもある。日本経済は逆風のなかにあるものの、米経済の頼りない状態を考えると、日本の投資家がカネを国内にとどめようと考えても不思議はない。そうなれば、米国の債券市場、そして経済は足場を外されることになる。
レーガン元米大統領は、世界は米国を丘の上に建つお屋敷のように見上げていると言っていた。そのお屋敷がだれの土地に建っているのかを、アジアは米国に思い出させることもできるのだ。
東京 William Pesek Jr. 東京 木下 晶代 Akiyo Kinoshita
Last Updated: June 18, 2003 03:14 EDT
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=aCF0Caak8NuI&refer=top_kaigai