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2003/06/17
大学生の就職戦線がはや終盤を迎える中、厳しさを前に、活動する以前から“白旗”をあげてしまう学生が増えている。「どうせ無駄だから」「プライドが傷つけられるだけ」という学生もいる。「粘りのない学生が目立つ。今は、入学から就職内定まで面倒を見ないと」と大学就職課はサポート体制充実に躍起だ。(溝田幸弘)
「投げ出す子の気持ち、分かります」。大学の就職資料室で求人票を見ながら、神戸市内の女子大生はつぶやいた。
就職活動は想像以上に厳しかった。約二十社を回り、何とか一社だけは最終面接までこぎつけた。気合を入れて臨んだものの、結果は不合格。一カ月は何もする気になれなかった。
女子大生の友だちは二、三社回って活動をやめた。「もう結婚するからええねん」と周囲をけむに巻き、アルバイトに精を出す。「私はやりたいことがあるから頑張れる。でも、何もないと、とても続かないだろうな」
就職活動をしない大学生の実態は見えにくい。関西学院大学(西宮市)では、今春卒業した学生の四分の一の九百二十四人が就職課に進路を届けておらず、約三百人は活動前の登録さえしていなかった。
同大は初めて、未届け卒業生の追跡調査を実施。半数以上は資格取得や専門学校、留学など就職以外の進路を決めていたが、連絡が取れなかったり、回答を拒否したりした人が23%。森田伸一就職課長は「大学までレールに乗って進んできたが、厳しい現実を前に途方に暮れる学生も少なくないようだ」と見る。
流通科学大(神戸市)は卒業生の約三割、二百四十一人が就職せずに卒業。うち進路未定が57%に上った。加藤哲史就職担当部長は「すぐにあきらめてしまう。なぜ働くのか―という話から始めねばならない四年生もいる」と話す。
両大とも就職希望の学生はほぼ全員が就職を決めている。「やる気になってくれさえすれば」。重い腰を上げさせるため、各大学で模索が続く。
一年から進路ガイダンスを開いたり、自己発見シートで何がやりたいか考えさせたり。「掲示板を見ないから」と、はがきでガイダンス開催を知らせる大学もある。
神戸親和女子大(神戸市)は「出前ガイダンス」を本格化させた。ゼミに就職課職員が出向き、必要な心構えを説く。学生からは「就職課って怖いと思っていたけど、結構面白かった」との感想も出る。須郷陽治就職課長は「自分から動かない学生をどうやる気にさせるか。積極的な働きかけが必要です」と苦笑する。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/030617ke113020.html