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「りそなグループの監査を担当した新日本監査法人について言えば、なぜりそな銀行の将来収益見通しに対してのみ厳しいスタンスで臨むことになったのか、今後問われていくことになるだろう。もう少し具体的に言うならば、将来の収益見通しという点に関して言うならば、りそな銀行と、みずほ銀行及びみずほコーポレート銀行の両行は非常に似通った状態にあったと言える、にもかかわらず、新日本監査法人は、一方は問題にし、また一方は全く問題にしなかった。そうした意味において、新日本監査法人の対応には大いに疑問が残ると言わざるを得ない−」
大手銀行経営中枢幹部がこう言ってみせる。
そもそもりそなグループが国有化に追い込まれた最大の要因は、監査法人−つまり新日本監査法人が同グループ−中でもりそな銀行の将来の収益見通しに厳しいスタンスで臨んだためだ。
りそな銀行は平成15年3月期決算において当初、約6500億円の繰り延べ税金資産を見込んでいた。しかし新日本監査法人はそのうち約2500億円を認めず、最終的に3916億円の計上しか認めなかったのである。
見方をかえれば、新日本監査法人はりそな銀行に対してこれまで5年分の納税見込額を上限とする形で繰り延べ税金資産の計上を認めていたが、今回の決算では実質的に3年分に圧縮するという形に方針を転換したことになる。
「りそなグループ国有化の問題を巡ってよく誤解されることだが『5年分』を『3年分』に圧縮しなければならない、という形で会計ルールの変更が行われたとする指摘は全くの誤りだ。りそなグループのケースで問題となったのは、あくまでも“将来の収益計画”だ。りそな銀行の場合、この計画の実行性に疑問符が付けられたということに他ならない」(メガバンク企画担当幹部)
向こう5年分の納税見込額が、将来の税金の戻り分である繰り延べ税金資産の上限であることは、ここで改めて説明するまでもないだろう。
「その納税見込額は、将来の収益見通しをベースに算出されますが、問題の“収益見通し”は、直近決算の収益−実勢業務純益をベースにする形で妥当性が判断されると言っていいでしょう」(前述のメガバンク企画担当幹部)
このコメントに登場する“実勢業務純益”とは、銀行の本業での儲け−つまり債券ディーリング益等を除いた利益−のことを指す。
「りそな銀行の場合、実際の“実勢業務純益”に対して繰り延べ税金資産の計上があまりにも過剰だったのです」(大手銀行経営中枢幹部)
その“過剰”ぶりについては、繰り延べ税金資産を実勢業務純益で割ってみると数値で示すことが出来る。
りそな銀行のケースでは、当初見込みの約6500億円の繰り延べ税金資産を前述の数式に当てはめてみると、「2.5」という数値が出てくる(単体ベース)。
「一般的には、『2.0』を超えると“過剰”ということになるでしょう」(メガバンク役員)
ちなみに最終的にりそな銀行のこの数値は「1.5」に低下することになる。
そしてここで問題なのは、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行だ。
みずほ銀行については、「2.3」、みずほコーポレート銀行に至っては「2.5」という数値が、筆者の計算では出てきてしまうのだ。
つまりこの両行は、こと繰り延べ税金資産の問題に関する限り、りそな銀行と同様の状況に陥っていると言えるだろう。(以下次号)
2003/6/9