現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産27 > 404.html ★阿修羅♪ |
|
外資系製薬大手 営業強化で躍進 日本メーカー岐路に
欧米の製薬大手の日本法人が、日本の医療品市場で業績を拡大させている。親会社が開発した有力な医薬品と、医薬情報担当者(MR)の増員による営業力の強化が成長の原動力で、2002年度の売上高が1000億を超えた企業は8社に上り、うち4社が前年度比10%以上も増えた。薬価引き下げなどで日本の医薬品市場が伸び悩む中で、外資系の攻勢は、国際的な販売網を持たない日本のメーカーに、経営戦略の見直しを迫りそうだ。(塚原 公徳)
主な外資系製薬会社の2002年度業績
----------------------------------------------------
売上高 M R
ファイザー製薬(米) 2,488(13.2) 2400人
中外製薬(スイス) 2,373(12.1) 1400人
万有製薬(米) 1,854( 2.9) 1700人
ノバルティスファーマ(スイス) 1,837(16.6) 1500人
グラクソ・スミスクライン(英) 1,477( 3.7) 1350人
アストラゼネカ(英) 1,278(16.1) 1600人
ファルマシア(米) 1,209( 0.8) 800人
アベンティスファーマ(仏) 1,197(▼0.0) 1075人
(単位・億円、億円未満は切り捨て。MRは医療情報担当者。
カッコ内は前年度比伸び率% ▼はマイナス。 )
-----------------------------------------------------
米系のファイザー製薬の昨年度の売上高は、前年度比13.・2%増の2488億円となった。今年8月には、米系のファルマシアと統合し、2003年度の医療用医薬品の売上高は3747億円と、山之内製薬(約3000億円)を抜いて二位に浮上する見込みだ。
昨年10月にスイスのロシュの傘下にはいった中外製薬はロシュ製品による商品強化が寄与したほか、スイス系のノバルティスファーマは降圧剤、英系のアストラゼネカも肺ガン治療薬が好調で、いずれも前年度比10%を超える高い伸びとなった。米メルク傘下の万有製薬など三社も、増収を確保した。仏系のアベンティスファーマは微減収だった。
外資系製薬の攻勢は、九十年代半ば以降に顕著になってきた。日本の医療用医薬品の市場規模は約 6兆5000億円で、世界全体の14%を占める。「日本での市場占有率も、世界の他地域並にすることが業績拡大に欠かせない」(外資系製薬)と判断し、これまで日本企業と提携して販売していた有力な医薬品を、自社販売に切り替え、営業体制を強化したためだ。
営業担当のMRは、ファイザー製薬がファルマシアとの統合後に3500人に増員する予定で、武田薬品工業(1400人)の二倍以上となる。万有製薬は1700人、アストラゼネカが1600人となるなど7社が千人を超え、日本の大手を上回る体制だ。
さらに、メルクが親会社としての意向を迅速に反映させるため、万有製薬株式の保有比率を95%まで高め、今年7月に上場廃止にするのをはじめ、ファイザーとファルマシア、中外製薬と日本ロシュの統合など、経営面でのてこ入れも目立ってきた。
日本の製薬大手の2002年度の業績では、最大手の武田薬品でも、国内での医療用医薬品の売上高は4183億円と伸び悩んであり、日本市場への依存度の高いメーカーは軒並み苦戦した。海外に販売網を持たないメーカーの生き残りは厳しい。
独自の将来戦略を描けない企業の中から、今後、中外製薬のように欧米大手の傘下入りを選択する企業も出てきそうだ。
2003年6月8日 読売新聞 クロスワード