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６月５日（ブルームバーグ）：三井住友フィナンシャルグループは不良債権処理で、米ゴールドマン・サックスとの協力関係を強化する。今後２年で集中処理を目指す約4.2兆円について、ＧＳに対して担保に関する情報を優先的に提供し、ＧＳが対象債権の購入や、再生に関与しやすい体制を整えた。提携の具体化は、ＧＳが前年度に三井住友ＦＧに優先株で出資して以来、初めて。
今回の提携でＧＳは、通常は不良債権購入の入札参加を表明した時点で入手していた担保物件などの情報を、すべての不良債権に関して年間を通じ、外資系投資銀行など他の参加者よりも、早期に入手できる。ＧＳは不良債権の購入機会が広がる一方、三井住友は、貸借対照表から完全に切り離す最終処理の加速などのメリットが期待できる。
三井住友銀の戦略金融統括部の北川治副部長は「ゴールドマンとの関係は具体的に深まってきている」と強調する。広範で資産査定期間が十分とれる情報提供により「ＧＳはその後の転売や企業再生を考えた入札価格を設定でき、従来より高い価格でＧＳが落札する可能性も高まる」（北川副部長）という。想定より高く売却できれば、最終処理時点での銀行の負担軽減にもつながる。
同行では特に「破たん懸念先」以下の2.7兆円の大半について、売却などで最終処理する方針。今回のＧＳとの提携を通じて、年度末にかけて集中する傾向があった不良債権売却の競争入札が平準化できるため、ＧＳへの売却を中心に年間を通じた処理が進むとみている。最終処理ではＲＣＣ（整理回収機構）なども活用する。
一方、ＧＳは今回の提携で、三井住友が実施するすべての入札に参加できるようになるほか、「情報量が多いほど角度の高い資産査定に望めるメリットがある」（ＲＣＣ広報室の倉本邦男氏）という。ＧＳ（東京支店）広報担当のオーランド・カマーゴ氏は「われわれは三井住友と不良債権問題の解決において緊密に働いていく」とコメントした。
企業の財務評価・助言を手がけるアーンストアンドヤング・グローバルフィナンシャルサービスのコーポレートファイナンスグループの中道健太郎ディレクターは、「今までは銀行の背中を押すものがいなかったが、産業再生機構が銀行に再生案件の持ち込みを働きかける一方、邦銀と提携する外資が増えるなど、あらゆる方向から不良債権処理のプレッシャーがかかり始めている」とみている。
大手銀行の不良債権処理をめぐっては、ＵＦＪホールディングスが米メリルリンチと合弁で再生ビジネスに乗り出したほか、みずほフィナンシャルグループもメリルリンチ、ＵＢＳウォーバーグ、ローン・スター、サーベラス、ドイツ証券の外資と組み、取引先1000社の再生に動いている。
三井住友銀では大口融資先とそれ以外の担当２部署で不良債権に対応してきたが、昨年末にこれを統括する「戦略金融統括部」を立ち上げた。３月末で約5.2兆円ある不良債権残高（金融再生法開示ベース）の約８割の4.2兆円を 2005年３月までに処理するのが目的で、専属の35人を含む300人体制となっている。
６割が不動産業、パチンコ店やゴルフ場も
一方、三井住友銀の不良債権のうち、残る「要管理先」の約2.5兆円は「５割程度の再生が可能」（北川副部長）とみている。同戦略統括部が主導する形で、再生機構やＲＣＣの積極活用などにより「正常債権化」を目指す。同行はゼネコン（総合建設会社）などの再建などでも、ＧＳの助言を受けており、企業再生に関しても協力関係を強化していく見通し。
同行の不良債権の約６割は不動産・賃貸関連業で、そのほか、パチンコ店やゴルフ場なども目立つ。残る２割は製造業という。戦略金融部門は、中堅・中小企業500−600社と、大口融資先20−30社を担当している。
同行の不良債権の総与信に占める割合（不良債権比率）は８％台と、大手銀行の中では比較的高い部類に入るが、２年後には４％台に引き下げたい考えだ。2003年３月末時点での大手７銀行グループの不良債権残高は約20兆円で、その１年前の26兆円からは減少傾向にある。
ＧＳは前年度、三井住友ＦＧが資本増強のために発行した1500億円の優先株を引き受けるとともに、海外での優先株発行でも引き受け主幹事に指名された。一方、三井住友ＦＧは、公開前のＧＳ株に出資していたこともあり（公開後に売却）、両社の関係は緊密だ。
三井住友ＦＧの株価終値は前日比２万2000円（10.3％）高の23万6000円。
東京 平野 和 Kazu Hirano
日向 貴彦 Takahiko Hyuga
http://www.bloomberg.co.jp/news/mof.html?s=APt8cwCJPjk_I5I9a
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。