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私は、純粋な技術屋を辞めてから過去数年間、相場師(ソフトウェアもやっている)を目指し、がんばってきましたが、その間、大儲け、大損を経験し、色々と学び、相場の観点から、インフレ論、シュンペーター論争を考え、投稿させていただきます。山田氏の論文に刺激され、つい、書き始めて何か、今までの数年間の相場の視点から、純粋な庶民経済学の観点から、この掲示板のレベルに達するかもしれないと考え、重たい気持ちで投稿したいと思います。
◆資金供給とインフレに関するやや歴史的考察
以上の図は、先月に発表された日銀の日銀当座預金残高というものを示したものである。
これは、恐らく、マネーサプライ(いわゆるジャブジャブ)といわれているものと同等であると私は考えている。これを見るとわかるが、最近急にこの額が増え、はかったように日経平均が今月くらいから上がり始めた。と同時に、このお金を待っていたように、りそな救済が行われた。
以前、アメリカが90年代後半に株価の大上昇を見せたときのマネタリーベース(マネーサプライ)は以下のようになっており、1997年ころから大バブルに入っていった過程とグラフがそっくりである。2000年問題で、文字通りじゃぶじゃぶにした結果、株価がまさに大バブルになった。
日本の80年代後半の「土地バブル」では、そのようなものが見つからないと当時の日銀および邦銀が「思った」ため、じゃあ、どこにジャブジャブのお金をつぎ込むか?ということで、土地にお金が流れた。残りの部分が株式市場に流れた。その後、日銀は自信を失ったのか?以下に示すように、マネタリーベースを10年間増やさなかった。
その結果、かどうか?わからないが、失われた10年ができた。ただ、マネタリーベースを増やした2000年の時だけは、例のソフトバンクに代表される日本版ITバブルが起こった。これらのデータを下に、いわゆるインフレターゲット論は出てきたものと思われる。
問題は、こういった「じゃぶじゃぶ資金注入」がどうやって、本物のインフレに結びつくかである。
ここでいう本物のインフレとは、日常生活品の価格が100倍になるといったようなものである。
ここで、極めて素朴な戦後日本のインフレ率について考えたい。
----素朴なインフレ学--------------
1960年代後半で、理科系大学を卒業して、NECだったか、どこか日本の電気産業に就職した方が当時の大卒の給料は、2万円〜3万円くらいだったと言っていたのを聞いたことがある。
現在はだいたい、20万円くらいだろう。ちなみに、この20万円は過去10年くらい変わっていない。
そこで、賃金に関していえば、「賃金インフレ」という言葉もあるが、60年代後半の約2万円から80年代後半の20万円まで、約1000%(10倍)のインフレとなる。これを年換算すると、一年につき、50%の賃金インフレということになる。
また物価については、60年代前半くらいだと思ったが、ある、熟年主婦(団塊の世代)の話によると、昔はノート、ボールペンなどは、10円くらいだったと昔、「おこずかい帳」をつけていたときに覚えているといっていた。これが60年代前半くらいだとすると、40年で、今は100円くらいだから、10倍(1000%)の物価上昇(インフレ)となる。
1000%を40年で割りたいところだが、実際には過去10年は、ノート、ボールペンはずっと100円くらいだった。よって、1000%あがったのは、その前であって、30年間で1000%上がったことになり
、年率は、
1000%/30年=33%
のインフレ率となる。よって、過去10年を除いては、日本は、物価の面でも、33%くらいのインフレは、
毎年経験していたことになると思われる。
日本経済史からすると、逆におかしいのが、過去の10年かもしれない。
過去10年くらいは、私の知る限り、大卒の初任給は20万円くらいで変わっていない。また、ノート、鉛筆など、その他の値段も変わっていない。
今騒がれている「ハイパーインフレ」というのは、年率数十%くらいの話だそうだが、もし、そうならば、賃金では、50%、物価では33%くらいは、過去の戦後日本では当たり前だったことで、逆に過去10年がインフレがほとんど起こらず、
逆にデフレが起こっていることの方がおかしいわけで、ひょっとすると、「元の路線」に戻るのかもしれない
。決して、昔のドイツや最近のソ連やこないだのイラクのような、果物の値段が100倍になったとか、そういうのではないようだ。
このインフレを起こすとされるのが、紙幣の印刷であり、よく、紙幣印刷でじゃぶじゃぶになっているなどと
言われたりする。しかし、物価は上がっていないし、賃金も上がっていない。逆に下がっている。
いわゆる「高度経済成長」では、賃金は私の計算が正しければ賃金は年率50%、物価は33%くらいでインフレだったはずで、ならば、これから、「歴史は繰り返す」ではないが、もし、年率数十%のインフレが来ても、それほど変なことではないのかもしれない。
ただ、もし、そうなると、日本人の賃金というのが恐ろしく高くなることになる。
あくまでも、現状の為替レートを用いた場合だ。物価も恐ろしく高くなることになる。
よって、これを是正するには、円安が不可欠になるだろう。でなければ、日本人の給料が先進国より毎年数十%であがっていくことになり、中国等の低賃金労働者にとてもじゃないけれど歯が立たなくなる。この中国問題はこうやって解いていくと、恐らく、人民元のレートを大幅に変えなければ、日本の「再度のインフレ突入」は無理となる、のかもしれない。
----素朴なインフレ学終わり-------------------------------------
この問題を考える場合、恐らく重要なのは、マネーサプライに見合った新規投資の価値があるようなものが存在するかどうか?である。
戦後日本には、家電製品、自動車産業など、投資先が山のようにあった。なので、日銀が上記のような30−50%のインフレを起こすような紙幣印刷を行っても、バブルは起こらず、お金が「回った」。ところが、同じことをもはや、成熟した80年代後半の日本でやったときは、当時の日銀の判断では、投資先が見つからなかった。なので、土地に金が流れた。もし、あの時、IT(コンピュータ)に無理矢理お金を流していれば、ひょっとしたら、IT革命は日本発であったかもしれないのである(これは?であるが)。
バブルで、お金の投入の仕方に戦後初めて大失敗した日銀は自信を失い、冷戦の恩もあってか、アメリカに金をつぎ込むもしくは、マネーサプライを一切増やさないという方向に転じた。結果として失われた10年ができた。
最近は、せっかく、株式市場に投入しようと思って準備した金がアメリカの戦費などに持っていかれたという経緯があるようだ、これは、アメリカとの経済・軍事同盟国として、いわばポチ保守属国のように振舞った結果、そうなって、結局、小泉財政の間は、今のところ、日銀が用意したお金は、日本の株式相場に回ってくることがなかった。ところが今回は違うかもしれないという期待がある。
さて、ここからが、本論である。上記の中で、重要と思われるのは、太字で書いた、
お金が回ったというところである。もし、回らないとどうなるかというと、
行き先を失ったお金が土地に行った結果が、80年代後半の土地バブルだった。
2000年問題で何も起こらなかったので、余ったお金が回ったのがITバブルだった。
もし、では、「回る」先がない、どうしてもない場合にどうなるか?が問題だ。
これを考えるために、戦後の日本のインフレやロシア崩壊の時のインフレを考えるとわかりやすいと思われる。当時の日本の国家予算は軍事に使われていたわけで、軍事というところに「回って」いた。ところが、戦争が終わると、そのお金が余ってしまった。
終戦直後においては、余ったお金が「回る先」は、どこにもなく、
恐らくあるとすれば食料(日常品)くらいだった
ここが恐らく重要なところだ。ロシア崩壊の時に見られた果物の値段が上がったりしたのも今まで超大国ソビエトを支えていた数々の公共事業に「回っていたお金が余って」、バブル現象で見られるように、「お金は回る先を探す」のである。そして、崩壊国家では、食べ物くらいしかなくなるのである。
よって、「回る先」があれば、良いのである。ケインズ経済学では、これを人為的に作った。
軍事ケインズ経済学では、さらに人為的にこれが結果として作られた。
よって、いわゆるハイパーインフレという言葉で代表されるようなものは、恐らく、
余ったお金が「日常品」にお金が「回る」という日常品バブルであると考えることができないであろうか?
これらの「考え方」に対して、シュンペーターは、「回る先」を「企業家」が「創造」すればいいのであると言った。
戦後日本であれば、それは、家電、自動車だった。ナチスドイツでは軍事だった。
90年代アメリカではITだった。そして今、日本で「回る先」をどこにするか?が問われている。ITにしようと思ったが、どうも、アジアの他の国もITに投資している。ここは思い切ってバイオにでも「回す」もしくは日本民族自給自足のためのエネルギー政策などに回すなどというと、またケインズに戻ってしまうが、
恐らく、ケインズとシュンペーターは共存しえるのである。
ただ、両方ないといけないのである。
片方だけだと、
1)せっかくの企業家が生かされない
か
2)行き先の無いお金が何らかのバブルを引き起こす
ということになる。
さて、山田論文をもう一回読んだが、私の文章には、「不良債権」のことが抜けているのに気づいた。(フィッシャーに関してはまったく無知であります)
これ(不良債権・不良債券)については、ある株(企業)を通じて経験があるので、書きたいところだが、まだまとまっていないのでこの投稿が削除されなければ、別の機会に書きたい。
以上、山田氏のように簡潔明瞭にはどうしてもかけませんが、もしよかったら、この投稿を、どうか、使ってください。
もし、まだまだ内容的にも文章的にもダメ(勉強不足等)であると判断されるならば、また別の意味でもいいですが、削除しなければいけない場合は、削除してください。もう一回出直してきます。
(蛇足?)副島先生の実物(実体)経済論のおかげで、最近金鉱株で結構儲けさせていただきました。今度、先生の本を買う資金に当てたいと思います。また、山田氏、アルル氏、奥田氏のような「憂国の志士」を応援するという意味も含めて。
Linuxism 拝
副島隆彦BBSより
http://www.soejima.to/