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30年国債利回りが1%まで低下しても、長期国債への需要は衰える気配を見せない。依然として、長期国債が安全な資産だと見なされているためである。一方、 株価は大幅に下落しても、十分割安になったと感じる人はまだわずかである。BNPパリバ証券会社・経済調査部チ−フ・エコノミストの河野龍太郎さん(Ryutaro Kono/Chief Economist, BNP Paribas Securities(Japan) Ltd.)は、「日本経済は、安全資産に対する極度の需要の高まりと、リスク資産に対する極度の回避傾向が生じる『流動性の罠(=逆バブル)』に陥っている」と語る。
<「逆バブル」を助長した様々な経済政策> もともと、人々が安全資産に対する選好を高め、リスク資産の保有を圧縮してきたのは、「マクロ経済の低迷が原因である」と言う。景気が悪かったから、株式に売り圧力が高まり、株価が下落した。そして、「90年代後半以降に採用されてきた様々な制度変更も逆バブルを後押しするように作用してきた」と指摘する。銀行の株式保有制限、時価会計や減損会計の導入など、 一つ一つの政策は望ましい政策である。しかし、マクロ経済の低迷が続き、それを反映してリスク資産の価格下落が続いている状況下では、ただでさえリスク資産の買い手が現れないため、「それらの制度変更は資産デフレを加速させ、総需要のさらなる低迷につながった可能性がある」
<日銀の紙幣印刷→円下落→国債下落> 今回の「りそなショック」で改めて明らかになったことは、日本銀行の流動性供給と政府の公的資金注入があれば、「97年、98年型の金融危機は避けられる」ということである。それなら、今後も危機がやってこない、ということなのだろうか。こうした状況の何が問題なのか。 問題は、「いくら公的資金の注入を繰り返しても、デフレと資産デフレが続く限り、金融機関の資産劣化が止まらない」ということである。民間の経済主体がデフレや低成長に耐え切れなくなると、最終的に政府に負担がしわ寄せされ、公的債務の膨張が続くことになる。そして、「膨張を続ける公的債務が将来の税収で返済されないと人々が認識した時に限界がやってくる」。まず、(1)長期国債の買い手が現れないといった状態が生じ、(2)中央銀行が唯一の買い手になるという状況が訪れる (すでに日銀を含めた公的セクターがかなりの国債を購入している)。(3)何ら実体的な価値を持たない日銀の紙幣印刷で政府支出をまかなうという状態が続けば、通貨価値の内外における下落は必ず生じる。その時、(4)国債価格は下落する。
<逆バブルは、永久に続くわけではない> 現在の日本経済は、過剰な貯蓄を吸収できないのであるから、財政赤字がファイナンスできないことはない。家計部門の貯蓄が減っているとはいえ、企業部門をあわせた民間部門の貯蓄水準はほとんど横ばいである。だから、政府債務が持続可能だという予想は簡単には崩れないだろう。しかし、「20年債利回りや30年債利回りが暗示するような経済状況が持続可能か大きな疑問である」と言う。逆バブルは、簡単には崩れそうにはないが、永久に続くわけでもない、からだ。