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7月15日(ブルームバーグ):グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は15日の議会証言で、6月25日の利下げ後に長期金利が上昇したことについて、驚きはないとの考えを示した。
そんなグリーンスパン議長も、15日の長期金利が大幅に上昇したことについて、議会証言で同じコメントをすることはできないことだろう。議会証言で唯一目立ったことは、目新しい情報が出なかった点だ。
同議長は証言で、プラス面(金融環境が緩和的であること)とマイナス面(企業の設備投資に拡大の兆しがほとんど見られないこと)の両方を強調するとともに、証言の大半を個人や企業のバランスシートの改善に関する認識に割いた。6月の失業率が9年ぶりの高水準に達したことに懸念を持つ議会での証言というよりは、米公認会計士協会(AICPA)での講演に適した内容だったといえるかもしれない。
非伝統的政策
しかし、証言の最後にとどめの一撃が待っていた。議長は証言の最後の部分で、連邦公開市場委員会(FOMC)が国債買い切りオペなど非伝統的な政策を取り入れるという観測を覆した。フェデラルファンド(FF)金利が45年ぶりの低水準にあるなかで、FRBの景気刺激手段として必要になるとの見方が出ている政策だ。
議長はこうした非伝統的な政策について、金融・財政政策がともに極めて景気刺激的になっているうえ、インフレ期待が安定していることから、FOMCは「特別な政策を必要とするような事態に立ち至る可能性は極めて小さい」という認識で一致したと表明。そのうえで「今後、必要と判断すれば、一段と大幅な伝統的な金融緩和を実施することが可能」と主張した。
わたしはさまざまな報道を基に、FRBはすでに国債買い切りオペの選択肢を放棄したと思っていた。しかしどうやら市場参加者の間には、長期金利の循環的な上昇を抑えるためにFRBが国債買い切りオペを実施するとの観測が依然として根強かったようだ。
米銀大手J.P.モルガン・チェースの米国担当シニアエコノミスト、グラスマン氏は「FRBが非伝統的なことをやるとの観測は依然としてある」と指摘。「市場関係者はすでに、米国の構造的な問題や高い債務水準については承知していた。しかし、議会証言で来年の成長率見通しが示されると、FRBが非伝統的な金融緩和策を検討していないことをはっきりと認識した」と語った。
見通しにびっくり
FRBと地区連銀12行によると、来年の米実質国内総生産(GDP)は3.75 −4.75%成長の見通しだ(ことし第4四半期と来年第4四半期の比較ベース)。この見通しについて、グラスマン氏は「景気循環論を唱えるエコノミストにとっては一般的な見通しだが、それ以外は聞いたことがない内容」と語る。
10年物国債の利回りは15日に3.94%と、前日に比べ0.21ポイント上昇した。利回り上昇局面が始まった前々回のFOMCの前日に当たる5月5日の利回りをさらに上回る水準だ。
この日の利回り上昇の理由について、投資顧問会社ホーニグ・ITGのチーフエコノミスト、バーベラ氏は「グリーンスパン(議長が)言ったことではなく、言わなかったことにある」と説明。「経済指標の改善に伴い、債券相場は下落(利回りは上昇)している。FRBが債券売りに待ったをかける可能性があることが、売り圧力を抑える唯一の方法だった」のだが、グリーンスパン議長は反対に、売りの「ゴーサイン」を与えてしまったとの見方を示す。
例えば、15日発表された6月の小売売上高は前月比0.5%増。自動車を除くベースでは同0.7%増だった。この結果について、大手英銀バークレイズ・キャピタル・グループの米国担当チーフエコノミスト、ウィルモア氏は、実質GDPの最大項目である個人消費が4−6月期に3−3.5%成長になったことを裏付けていると指摘。「減税により可処分所得が増えるため、今後数カ月間は個人消費が堅調に推移するはずだ」との見通しを示した。最終需要の強さは、企業の生産や在庫の拡大を促進するはずだ。
もちろん経済指標の内容が好調だとは決して言えない。例えば、先週の失業保険継続受給者数は20年ぶりの高水準だった。それでも債券市場参加者の間には、10年債利回りが3%台にとどまっていることを正当化するほど不調とも言えないとの声が多い。FRBの低金利政策がなければ特にそう言えるだろう。
少なくとも、3%台の利回りが跳ね上がることへの備えは必要なようだ。
(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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