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「西日本地区のある第二地銀は、2003年3月末段階ですでに事実上の債務超過状態に陥っていることは間違いありません。また、過剰な繰り延べ税金資産の計上が監査法人から問題視されている地銀・第二地銀がいくつか出てきているのです。金融庁としては、いよいよ本格的に地銀・第二地銀対策に乗り出さなくてはならないタイミングに来ているといっていいでしょう」と金融庁幹部が話す。
果たして、地銀・第二地銀業界の不良債権の処理状況はどうなっているのだろうか。
以下に、不良債権比率(再生法開示基準ベース)に関し、それぞれの業界のワースト10を列挙してみることにしよう。
【地銀】
近畿大阪…13.2%
足利…13.0%
北都…12.3%
北海道…11.8%
琉球…11.4%
関東…11.0%
福井…10.7%
親和…10.3%
四国…10.3%
沖縄…10.3%
【第二地銀】
長崎…18.8%
福島…18.7%
和歌山…15.3%
つくば…14.3%
東京スター…12.9%
福岡シティ…12.8%
高知…12.6%
熊本ファミリー…11.7%
九州…11.6%
岐阜…11.5%
ちなみに、地銀業界における不良債権比率の平均値は7.5%、第二地銀業界は8.9%となっている。
また、地銀業界で最も不良債権比率の低い銀行は但馬銀行(本店・兵庫県)で3.2%、第二地銀は静岡中央銀行(本店・静岡県)で3.9%。
こうした数値と比べていくと、いかにワースト10に名前を連ねる銀行の不良債権比率が高いかが分かるだろう。
「事実上の債務超過に陥っているのでは、という疑いを持たれている西日本地区の第二地銀も、このワーストランキングに名前を連ねているのです。東京スター銀行など一部の例外を除いて不良債権比率と、その銀行の経営体力は正の相関関係にあると言っていいでしょう」(前出の金融庁幹部)
そうは言っても、各業界全体でみると、2002年3月末の数字と比較すると、2003年3月末の不良債権比率が減少に転じている地銀・第二地銀も少なくはない。
その数は、地銀業界で64行中36行、第二地銀銀業界で53行中34行に達しているのが実情だ。
「つまり完全に二極分化しつつあるということが出来るでしょう。たとえば地銀業界では減少に転じた銀行が36行ある一方で、増加した銀行が28行もあるのです。この両者にはどのような差があるのか、単なる地域性の問題なのか、それとも他に何か問題を抱えているのか、早急に分析を加えてみる必要がある」(同)
メガバンクの不良債権発生・処理がピークアウトする中で、いよいよ地銀・第二地銀に問題の焦点は移りつつあるといえるだろう。
2003/7/10