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政府が輸入牛肉に緊急輸入制限(セーフガード)を発動したのは、法律に基づいた措置とはいえ、納得できない。農水省と与党は、どこまで消費者利益を無視した農政を続けるつもりなのか。
こういう話を聞くと、政府・与党の姿勢に疑問を感じるどころか、あきれたと言わざるをえない。
輸入牛肉にセーフガードを適用して関税を引き上げるのは、輸入量が急激に増えたためで、関税暫定措置法に基づく自動的な措置という。ところが、なぜ輸入が増えたかといえば、比較の対象になる前年実績が牛海綿状脳症(BSE)の影響で落ち込んだためだ。
ことしはBSE騒ぎが一段落して、ようやく元に戻りかけているにすぎない。実際には一昨年の水準にも達せず、回復途上にある。昨年が特殊事情で減っただけで、ことしが突出して増えたわけではない。
セーフガード自体は、世界貿易機関(WTO)も認めているルールである。しかし、本来の趣旨は輸入急増で打撃を受ける生産者を守るための緊急措置であり、落ち込んだ輸入が回復したのを妨げるためではない。そこへ、しゃくし定規に従来の法律を適用すれば、こうした事態になるのは分かっていたはずだ。
実際、民主党は三月に法律の延長を決めた際に、比較する年を昨年ではなく、BSEの影響がなかった一昨年かそれ以前の年と比べるように修正案を出した。だが、与党の反対で否決されてしまった。
農水省は「生産者が打撃を受けることに変わりはない」との理由で、セーフガード適用を避ける方策は初めから検討すらしていなかった。ここに、政府と与党が相変わらず生産者優先で農政を進めている実態が象徴的に示されている。
そもそも、BSEで牛肉輸入が急減したのは、政府のBSE対策が不十分だったことが一因だ。BSEの拡大で消費者利益を損なったばかりか、被害回復の過程でも、再び消費者につけを回すような政策はとても容認できない。農水省の言う「消費者重視」は掛け声にすぎなかったことが明らかになったといえる。
牛肉だけではなく、牛肉の代替消費で増えた豚肉も実質的に関税が引き上げられた。発動はいずれも来年三月末までだが、農水省の見通しだと、牛肉の小売価格は「最大で2・5%程度」の引き上げになるという。スーパーやレストランはできる限り、経営努力でコスト増を吸収してほしい。
農水省は「便乗値上げを監視する」としている。それよりも、早急に法律改正に動くべきだ。