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真実を織り交ぜつつ、誤った結論に至らせるトンデモ論
http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/881.html
投稿者 たこ 日時 2003 年 7 月 07 日 11:50:48:KZLCEeqX13raw

(回答先: 天皇陛下と戦争責任(その1)−たこさん、Ddogさんへ 投稿者 転載 日時 2003 年 7 月 06 日 22:54:00)

出所不明のこのようなトンデモ論を、私をあて名に書き込まれた真意がわかりませんが、この種の論のゴマカシとスリカエの見本として、ちょっと反論しておきます。

「1)はじめに」と「2)開戦責任を理解するためのいくつかの前提 」は、もっともらしい総論です。「立憲君主制」の段で、「輔弼が天皇を法的に拘束するものと解すれば、日本国憲法における、内閣の『助言と承認』とほぼ同じ意味になる」は私見とは異なりますが(私見は「簡単に」http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/848.html)、あり得ない理解ではありません。

論者は、「3)開戦責任の法律的、政治的な問題について」の段で、一転して「開戦行為に関しても、東条首相以下、(中略)憲法の解釈に従うならば、この行為に関しては法律的責任も政治的責任も全く生じない。驚かれるかもしれないが、これが事実である」との奇矯な結論が書かれています。この段は詳論しましょう。

論者の挙げる理由は、「後に出来た法律で過去の出来事を裁くことは不合理」と「天皇の責任阻却事由規定」です。前者は、一般には「遡及処罰の禁止」と言われています。これは、「過去に適法であった行為を処罰しない」という刑事処罰についての原則です。論者は、これを「訴求的立法の禁止(誤字はママ)」と言い換えていますが、刑事処罰以外にはそんな原則はありません。現実に過去の行為の損害賠償などが立法化されることも多い。また、政治的責任は、そもそも法律の規定に基づくものではありません。「訴求的立法の禁止(ママ)」で、法的責任と政治的責任のすべてを免責されるとするのは、途方もないスリカエです。

もっと荒唐無稽なのは、「天皇の責任阻却事由規定」です。これは、天皇(君主)の法的責任を追及しないとする主義で、現憲法下でも同様に解釈されています(刑事責任については「天皇の刑事訴追」http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/565.html参照)。この射程は問題ですが、少なくとも刑事責任については、殺人や放火でも、天皇の行為は処罰の余地がありません(現憲法の解釈論では、損害賠償は排除されないとする)。しかし、責任と処罰可能性は異なります。たとえば、死亡によって(裕仁は死んでいる)処罰の可能性はなくなりますが、これは、「戦争責任」の追求と無関係です。

「4)立憲君主としての昭和天皇のお立場」は、Ddog氏との議論で何度か説明いたしました。法律の問題でなく、歴史的事実の問題です。「戦争回避のお気持ちを吐露」は裕仁の開戦への逡巡に過ぎず、「陛下が立憲君主としてのお立場を尊守(遵守の誤、ママ)」は戦後の新作神話です。裕仁は、開戦に逡巡しつつ、これに同意した政治家です。「再びリアルな歴史認識と裕仁の戦争責任(http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/615.html)」など参照。

なお、その段の最後に、「平和に対する罪を当時の日本にだけ適用するのは不合理であろう。」とされています。これはアタリマエです。しかし、その後に、「少なくとも戦勝国に日本を裁く権利があるとは思われない」は、東京裁判の実体上あるいは手続上の問題と戦争責任をすり替える論です。そもそも、裕仁の戦争責任論は、「裁く」ことなど考えていません(死者の処罰は不可能です)。なお、「平和に対する罪」は、論者が言うように「一過性」ではなく、繰り返し国際裁判などで問題となり、現代においても最大の犯罪とされています。たとえば、「スペイン首相、国際法違反の米英の対イラク侵略戦争への参戦が国際法およびスペインの国内法違反として告発される(Sara氏の投稿)http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/916.html」などをご参照ください。

「5)終戦責任(終戦に際する昭和天皇のご決断)について」は、

裕仁の「聖断」を「異例」とする論については、「さらにリアルな認識(http://www.asyura.com/0306/dispute11/msg/738.html)」をご参照ください。「聖断」は、当時の政治システムを忠実に運用したもので、例外視はあたりません。これを「異例」としつつ、「もし陛下がそう命じれば、一億玉砕のような状況もありえたかもしれない」という現実のい経過を無視した設例で、「唯お一人で終戦の決断を下された大いなる勇気と誠実」とする歴史的事実に反する結論に至っています。裕仁は、「国体護持」に忠実で、これを人命に優先させ継戦し、多数の人命の損失を招いたとするのが、現実の敗戦に至る経過です。

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