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(回答先: Re: うーん、唯物史観かぁ。 投稿者 Silent Tears 日時 2003 年 7 月 04 日 17:46:48)
唯物史観に言及したのは、「アヘン戦争」の通説的理解のひとつとして提示しただけで、これで思想史が解明できるとは思っておりません。少なくとも、思想の「顔」は唯物史観と無関係です。
「天皇の統帥権」を「明治維新のイデオロギー的基礎」とするなら誤りです。水戸学にも国学にもそんな発想はありません。また、討幕に天皇の権威を利用する発想はあっても、天皇が(名目的にも)攘夷の軍を統率するなどという思想はありません。(伝統的には、「追討綸旨」や「治罰綸旨」があり、「攘夷」の勅旨もこれに類似しますが、これらは、理由を述べて「追討」などを命じるだけで、動員すべき兵力などにまったく言及しません。「軍」への命令ではなく、軍権を有する「政治勢力」への命令という意味で、統帥権と異質です。)
「統帥権」に直接言及するのは、軍人勅諭などが出された旧憲法の起草段階です。明治期では比較的初期から天皇の軍服姿がありますが、いずれにしても、封建的な政治勢力(天皇を除く)を排除し、すべての軍を天皇直属としたことが前提です。「統帥権」は、西欧近代の憲法の直輸入という面もありますが、議会のコントロールが及ばない範囲のひとつとして創設されたものでしょう。旧憲法の「統帥権」は、狭義の統帥(憲11)だけではなく、軍の編制(憲12)を含みます。後者が、後の「統帥権干犯問題」などで大きな問題となります(この事件には裕仁の関与を疑っています)。