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論理的思考方法は、本当の「知の革命」を起こす
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投稿者 てんさい(い) 日時 2003 年 6 月 20 日 21:44:32:KqrEdYmDwf7cM

論理的思考方法は、本当の「知の革命」を起こす
http://www.st.rim.or.jp/~k-kazuma/TH/TH199.html

 個人や社会を、知的な面で大きく進歩させるのが「知の革命」だ。それを実現する
ための最大の要素は、コンピュータやネットワークといった道具ではない。これらは、
IT革命しか起こせない。「知の革命」には、個人や社会の知的な能力を大きく高める
必要があるため、論理的思考方が不可欠である。そして「知の革命」は、世の中の様々
な要素に大きな進歩を引き起こす。IT革命は、「知の革命」ではない 我々人類は、
過去に大きな革命を起こしてきた。有名なものとして、産業革命を挙げることができ
る。最近では、IT革命が起こっていると言われている。これは、コンピュータとネッ
トワークの利用で、まったく新しい社会へと生まれ変わる変化だ。実際、インターネ
ットの普及により、少しずつ変化が起こり始めている。

 では、IT革命は「知の革命」なのだろうか。「知の革命」とは、「個人や社会の知
的な能力が大きく向上し、問題解決や意志決定などの質が相当に高まる変化を起こす
こと」である。様々な問題に対して、可能な限り優れた解決方法を設計し、素早く実
行する社会を実現する。

 残念だが、IT革命では「知の革命」を実現できない。現状でのネット上の様子が、
それを証明している。たとえば、IT革命によって、多くの人が電子会議室へ参加でき
るようになった。しかし、電子会議室での発言内容や行動はどうだろうか。良い議論
手法を知らないために、発言内容の質が低いだけでなく、醜い言い合いの方が圧倒的
に多い。そこでは、セコイ行為の応酬が繰り返されている。一部の特殊な会議室だけ
ではない。高尚なテーマを掲げた会議室でさえ、実名でセコイ行為が何度も行われて
いる。当然、価値のある成果を出せていない。

 ウェブページや電子書類として公表される内容も同様だ。初歩的な問題として、作
文技術を身に付けていないため、自分の伝えたい内容を上手に書けない人が多い。結
果として、論点や主張内容の不明確な意見となる。また、論理的に思考できないこと
で、主張する内容が矛盾や欠点を含んでいたり、物事の一面しか見ていない内容が非
常に多い。こうした主張内容の特徴は、IT革命が起こる前と変わってない。

 社会の様々な場所での意志決定方法も、IT革命前とほとんど変わっていない。確か
に、政策などの決定結果をインターネット経由で読めるようになった。しかし、結果
まで達した根拠や用いた情報は含まれていないため、決定結果が適切かどうかを第三
者がレビューできない。実際には、レビューされると困るので隠している面もあるの
だが。

 主張内容でも意志決定内容でも、IT革命によって簡単に扱えるようになったが、そ
れを作る過程や作成物の質は、IT革命が起こる前と変わってない。IT革命が新しく実
現したのは、情報の複製、配布、交換を極めて容易にすることである。質の高い情報
を作り出す部分に関しては、直接的な貢献を何もできない。間接的にはできるが、そ
れだと改善効果が非常に小さい。

 では、IT革命がもっと進んだら、上記の問題が解決できるだろうか。残念ながら今
と変わらない。上記の原因は、IT(情報関連の技術)には関係なく、個人の能力の問
題だからだ。ITがいくら進歩したとしても、情報を扱うことが便利になるだけで、個
人の知的な能力を高めるわけではない。知的な能力を高めるための、別な要素が不可
欠である。「知の革命」には、論理的思考方法が不可欠 「知の革命」の実現には、
個人や社会の知的な能力を高める必要がある。社会の知的な能力は、それを構成する
個人の能力に依存するので、個人の知的な能力を高めなければならない。知的な能力
とは、物事を論理的に思考したり、何かを適切に評価したり、課題を論理的に議論で
きる能力だ。

 今までは、知的な能力に関しても、多くの人が間違った認識を持っていた。たとえ
ば、数学を勉強すると論理的な思考能力が高まるとか、難しい内容の理解には哲学の
勉強が有効だとか。

 誤った認識の最大の問題は、論理的思考方法を規定しなかった(できなかった?)
ことにある。規定してないことで、思考内容が論理的かどうか、自分も他人も検査で
きない。こうした状況により、主張内容の良し悪しを区別できず、間違った主張も広
まりやすい。

 この状況を大きく変えるには、実用的なレベルで細部まで規定した、論理的思考方
法を用意するしかない。加えて、論理的思考方法を用いて、評価技術や議論手法など
の各種支援技術も作り出す必要もある。こうした「知の上位体系」を構築して初めて、
多くの人が論理的思考方法を身に付けられる環境が整う。

 論理的思考方法と各種支援技術が普及すれば、世界中の人々の知的な能力が大きく
向上し、世の中は大きく進歩する。どのような進歩が生まれるのか、まずは基本的な
部分で比べてみよう。

論理的思考方法の普及で進歩する、基本的な部分
・思考結果である主張の質
  ・進歩前:論理的でない内容の方が圧倒的に多い
  ・進歩後:途中も含めて論理的で、最良に近い解を得られる
・議論の質と結論
  ・進歩前:論理的でない言い合いが多く、結論も出にくい
  ・進歩後:全体が論理的に進められ、結論まで達する
・議論や思考の結果である主張内容の評価の容易さ
  ・進歩前:主張内容の構造が見えず、評価が困難
  ・進歩後:途中も含めてレビュー可能なので、評価が容易
・評価方法と評価結果の質
  ・進歩前:評価基準の存在さえ知らず、勝手な評価ばかり
  ・進歩後:評価の目的や基準を設定し、質の高い評価が増加
・上記以外の基本作業(質問、回答、調査、報告、管理など)の質
  ・進歩前:ごく一部の人以外は、質がかなり低い
  ・進歩後:各種支援技術の習得で、上手にできるのが普通に

以上が複合的に作用し、全体で大きな効果を出す
(思考や議論の内容がレビューされ、何度も改良されるとか)

 これらの進歩は、基礎的な部分だけに、すべての活動に関係する。その結果、すべ
ての活動の質を大きく高める。単に高めるのではなく、大きく高める点が重要だ。

 その基礎となるのが論理的思考方法だ。それを用いれば、思考内容の次のような点
を明らかにできる。どんな道筋で考えたのか、道筋の各地点でどんな事柄を取り上げ
たのか、どんな評価方法を用いたのか、どんな評価結果なのか、どんな結論に達した
のかなどを。道筋の各地点で取り上げた事柄とは、問題点、原因、期待される効果、
副作用といった、思考内容に含まれる重要な要素の全部だ。これにより、考えた道筋、
考えた範囲、用いた評価方法まで明らかになる。しかも、作成物の形で残すため、第
三者によるレビューも容易になる。

 逆に現状では、結果だけしか明らかにせず、レビューを難しくしている。また、問
題点を指摘されても、突っ込んだ追求が困難なため、無視して済ませる傾向が強い。
こうした悪いやり方が通用しない状況を作るのが、論理的思考方法なのだ。


世の中の様々な部分が大きく進歩する


 上記のような基礎部分での進歩は、社会のあらゆる部分へ影響を与える。論理的思
考方法や各種支援技術と同じ考え方が、社会の仕組みやルールにも組み込まれる。ま
た、新しい教育内容としても採用される。そうした教育を受けた人は、意見の述べ方
も大きく変わるし、同じレベルを相手にも求めるようになる。そうしてもらわないと、
適切に評価できないからだ。

 こうした影響の結果は、社会の様々な部分で大きな進歩として現れる。どのような
進歩が生まれるのか、主なものを挙げてみよう。

論理的思考方法の普及で進歩する、社会の主な部分
・教育内容(特に高等教育)
  ・進歩前:知識中心で、重要な能力は対象外
  ・進歩後:人生で幅広く役立つ能力を教える
・教育方法(特に高等教育)
  ・進歩前:将来の希望や習得度は、あまり気にしない
  ・進歩後:将来の希望に合わせ、必要な能力を習得
・政策の決定方法
  ・進歩前:自由な形式で提案を受け付け、説得力の低い形で選択
  ・進歩後:レビュー可能な形式で提案を受け付け、論理的比較で選択
       選択結果は、途中過程も含め、レビュー可能な形式で公表
・政策の決定における特徴
  ・進歩前:業界など特定の利益だけ優先して決定
  ・進歩後:市民の利益も含めて総合的に考察して決定
・政策や法律の中身の特徴
  ・進歩前:欠点や漏れを含んだ、恣意的な内容になりやすい
  ・進歩後:影響や効果を論理的に考察し、最良解に近付く
       多くの人にとって利益のある中身が選ばれる
・行政の情報公表の効果
  ・進歩前:作ったままの形で公表し、改善の圧力は小さい
  ・進歩後:レビュー可能な形式で公表し、改善の強い圧力に
・ジャーナリズムの報道内容とその活用
  ・進歩前:編集した結果のみで、役立つ度合いが低い
  ・進歩後:レビュー可能な形式を採用し、活用範囲が広い
・市民運動側からの指摘や提案
  ・進歩前:欠点を指摘するものの、説得力が低い
  ・進歩後:レビュー可能な形式での指摘や提案に
       指摘や提案の相手が無視できなくなる
・文系の領域を含む学問(哲学や社会学など)
  ・進歩前:内容の良し悪しの判定が難しく、質が高まりにくい
  ・進歩後:第三者がレビューできる形式で論文を発表
       適切な評価や議論を多く経て、質の高い内容に
・様々な意見
  ・進歩前:文章中心の説明で、良し悪しを区別できず
  ・進歩後:レビュー可能な簡易形式で出され、内容の評価が容易に
       既存の全意見が上記形式で再作成され、評価を受ける
       意見を上記形式で出さないと、マトモに扱われず

 これらは、非常に目立つ代表的な部分でしかない。実際には、もっと細かな部分にまで、論理的思考方法の影響が及ぶ。その影響範囲は、非常に広い。そのため、挙げていけばキリがない。


セコイ行為やズルイ行為が激減する


 論理的思考方法には実用要素が含まれるので、質の高い思考や議論を邪魔する行為
がかなりやりにくい。また、同様の考え方が、評価技術や議論手法の中にも組み込ま
れていて、同じ効果を発揮する。

 さらに、論理的思考方法を利用して設計すれば、社会の様々な仕組みの中に、邪魔
する行為を防止する機能を追加できる。これは、様々な仕組みやルールの進歩でもあ
り、邪魔する行為の防止に大きな効果を発揮する。

 これらが総合的に働くと、世の中の様々な場面で、質の高い思考や議論を邪魔する
行為が、非常にやりにくくなる。その効果は、次のような改善点として現れる。

論理的思考方法の普及で変わる、主な悪い点と改善内容
・セコイ行為やズルイ行為が相当やりにくくなる
・受け付け拒否や放置などの無視する行為が減る
・マトモな話が通じない状況が大きく減る
・ロビー活動や賄賂の影響を受けにくくなる
・特定の相手だけ優遇や冷遇するのが難しくなる
・他人の成果を自分の手柄にするのが難しくなる

 逆に言うなら、これらの行為が減るような機能を、世の中の様々な仕組みやルール
に組み込むのである。そのためにも、仕組みやルールを作ったり改良するとき、この
ような視点で内容を検査することが大切だ。

 多くの人は、自分の仕事が詳しくレビューされるのに慣れていない。そのため、最
初のうちは、レビュー可能な形式での公表を嫌がるだろう。そして、現在と同じ形式
での公表を続けようとする。しかし、論理的思考方法を知った人は、次のように追求
する。「文章だけでダラダラと説明してあるため、内容が正しいか確認しづらい。レ
ビュー可能な形式に作り直してから公表してほしい。それを避けるのは、何か隠そう
としているためか?」と。この種の指摘が大きな圧力として作用し、マトモな組織ほ
ど、レビュー可能な形式を採用する。その動きが、他の組織にも広がる。

 セコイ行為やズルイ行為は、真面目にやっている人を邪魔したり、いじめたりする
ことが多い。こうした悪い行為が大幅に減ることで、真面目な人が損しない社会を実
現できる。良い社会を目指すなら、非常に大切なことだ。論理的思考方法の支援機能
をコンピュータに組み込む 論理的思考方法や各種支援技術を使う際、紙に書きなが
ら作業していては非効率的である。また、ワープロソフトを利用しても、効率的には
ならない。それどころか、ワープロソフトでは情報の管理が大変で、データ量が増え
ると管理できなくなる。

 こうした点を格段に進歩させるためには、論理的思考方法や各種支援技術を、コン
ピュータに組み込むのが一番だ。ただし、今のコンピュータの仕組みのように、ファ
イルとアプリケーションという仕組みでは、効率的にはならない。情報そのものを直
接扱う形のシステムでないと、検討作業が効率的にならない。

 こうした条件を満たすコンピュータ・システムとして、私は「情報中心システム」
を設計している。情報そのものを直接扱う形で使え、ファイルやアプリケーションと
いう仕組みがない。この中に、論理的思考方法と各種支援技術を組み込む。

 アプリケーションという概念がないため、組み込み方が現在のコンピュータとは異
なる。論理的思考方法や評価技術などを、作業工程や作成物の形式として組み込む。
簡単に表現するなら、柔軟なテンプレートのようなものだ。そのテンプレートに、目
的や事柄などを入力しながら、思考作業や評価作業を進める。おかげで、思考や評価
の作業効率が大きく向上する。

 もちろん、単なるテンプレートではない。関連する作成物の整合性を検査したり、
評価結果を整理する作業を、支援するための機能も組み込む。また、全体の作業を管
理する機能も用意し、どの部分が終わってないかを、簡単に調べられるようにする。
情報を上手に扱うためのシステムなので、こういった機能を持つのは当然だ。

 このような仕組みがあると、入力した内容が、第三者がレビュー可能な形式で自動
的に保存される。情報を共有すれば、検討途中の内容を第三者がレビューすることも
可能だ。その場合、情報中心システムが持つ情報整理機能も利用して、効率的にレビ
ューできる。

 以上のような情報中心システムがあると、論理的思考方法や各種支援技術の習得方
法も変わる。学習者が、与えられた課題で実際に作業するとき、情報中心システムを
利用しながら試す。紙に書きながら勉強するより、効率的に習得できるだろう。

 検討が終わった過去の内容も、情報中心システムを利用して閲覧する。複数の検討
内容を串刺しして一覧表にまとめるなど、情報整理機能を利用しながら、効率的に内
容を調べられる。

 論理的思考方法と各種支援技術を組み込んだコンピュータ・システムは、「知の革
命」が起こった社会では、必須の道具となる。それがなければ、多くの課題を効率的
に検討したりレビューしたりできないからだ。


大きな変化なので、激しく抵抗する人が多いと予測


 ここまで説明したように、論理的思考方法を基盤とする「知の革命」は、極めて大
きな変化を社会に引き起こす。それだけに、これを困る変化だと感じる人が多く出て
しまう。該当する人は、変化に激しく抵抗し、変化を邪魔する勢力になるだろう。抵
抗が激しいだけに、邪魔する行動も大きくなる。

 邪魔する人は、いろいろな分野で登場する。代表的な職種を挙げてみよう。まずは、
教育者だ。「知の革命」により、教育の内容も方法も大きく変わる。すると、教育者
としての自分の価値が下がると心配する。教育内容の変化は、学年が上になるほど大
きいので、小学校の教師の反対は小さい。逆に、大学教官の反対が一番大きいだろう。
本来であれば、高等教育機関なので、教育内容が高等になる変化に賛成するはずだが、
実際には反対する最大の勢力となる。皮肉な巡り合わせだ。もちろん、全員が反対す
るのではない。一部の賢明な教官は積極的に賛成するが、最初は少数派でしかないだ
ろう。

 次の大きな反対勢力は、政治家と役人だ。この両者は、自分たちの権限を利用する
形で、政策の一部を自由に決めている。ところが、論理的思考方法や議論手法を利用
した仕組みに変わると、政策の決定が非常に論理的になり、決定結果もレビュー可能
な形で公表されるため、自由裁量の余地がほとんど消える。既得権を失うことになる
ので、強硬に反対するだろう。

 他の職種や分野でも、同じような反対勢力が登場する。どれも、今持っている既得
権を失ったり、自分の職種の価値が低下したり、職場が大きく変化する人達だ。生活
がかかっているだけに、必死で反対するだろう。

 以上のような反対する勢力は、最初のうちは強いものの、次第に低下するだろう。
この種の反対には、正当性がまったくないからだ。過去の歴史を見れば分かるように、
正当性のない反対は、次第に小さくなって消滅する。また、正当性のない反対でも勢
力が大きくなることも、歴史が示している。その意味で、「知の革命」が起こる際、
必ず通過しなければならない通り道といえる。

 政治家と役人が反対するので、実現は難しいが、反対勢力を弱める方法はある。職
業や職場を失う人に対して、政府が強力に支援する方法だ。かなりの資金は必要だが、
「知の革命」を実現することの方が重大なので、積極的に実施すべき政策といえる。


さらなる進歩も、論理的思考方法の改良で実現する


 論理的思考方法の利用で、すべての課題の検討が最良の結果を得られるとは限らな
い。一般的には、次のような特徴がある。簡単な課題なら、ほぼ間違いなく最良に近
い結果を得られる。やや難しい課題でも、相当に良い結果が得られる。かなり難しい
課題の場合は、良い結果が得られるとは限らない。極めて難しい課題になると、思考
の道筋すら作れず、手も足も出ないことがある。

 このような特徴があるにしても、論理的思考方法は非常に有効だ。それがない状態
で検討した場合は、もっと悪い結果になる可能性が極めて高い。論理的思考方法を用
いることで悪くなる可能性は、ゼロとは言わないが、それに限りなく近いぐらい小さ
い。もちろん、論理的思考方法を習得した人が、適切に使う条件での話だ。

 極めて難しい課題に関しては、論理的思考方法を改良することで、対応するしかな
い。論理的思考方法の強化要素に新しい要素を加えるとか、各種支援技術を増やすと
か、難しい課題で上手に思考した実例を用意するとか、改良方法はいくつも考えられ
る。改良のアイデアを、世界中から集めればよい。

 「知の革命」が、最終的のどれだけの進歩を生むのか、まったく予想できない。革
命が始まった後、論理的思考方法や各種支援技術も改良されるし、社会の様々な仕組
みも改良が続くだろう。そうした改良の連続が、どの程度まで達するのか、実際に起
こってみなければ分からないからだ。これは、大した進歩が起こらないという意味で
はない。まったく逆で、どこまで凄く進歩するのか、最後の段階が読めないという意
味である。


「知の革命」の実現時期は、かなり先と予測


 以上のような「知の革命」だが、ほぼ実現するのは、いつ頃になるだろうか。前述
のように、政治と教育の分野で大きな抵抗が生じるため、そう簡単には実現できない。
一番大事なのは教育で、標準の教育内容として採用されないと、多くの人が習得でき
ない状態が続く。教育内容として採用されることが、大きな必須条件となる。

 世界で最初に採用するのは、おそらく米国だろう。もし中国で共産主義が実質的に
消滅すれば、中国が最初に採用するかも知れない。残念ながら、日本でないことだけ
は確実だ(その理由に関しては、あえて触れない)。先進国のどこかが採用すれば、
それが大きなトリガーとなって、先進国を中心に採用が加速するはずだ。

 具体的な時期は、いつ頃だろうか。私の直感的な予測(もちろん根拠のない予測)
だと、「知の革命」が実現するのは、一番最初の国家ですら早くても50年後ぐらいで
はないだろうか。もっと遅いかも知れない。少なくとも、私が生きている間には起こ
らないと思う。
(2003年1月1日)

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