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(回答先: イラク戦争の後 投稿者 . 日時 2003 年 5 月 31 日 01:13:44)
「 .」さん、こんにちわ。
イラクの現状については、「アフガニスタン侵略戦争」と同じで、大規模な軍事行動が終結した途端に情報量が激減しているためよくわからないというのが本音です。
イラクでの抵抗運動は続いているようですが、共通の政治目標を掲げた全国規模で組織だったものではないようです。
米英も、牽制の発言や観測気球をあげたりはしていますが、明確な方針を打ち出してはいません。
自らが破壊した水道や電力そして通信手段の復旧についても、本気では取り組んでいません。
さらには、フセイン政権の幹部をまじめに捕捉する気もありません。
安保理も、米英の占領を認めイラクに対する経済制裁は解除することを決議しましたが、イラク問題に深入りする気はないようです。
端的に言えば、イラク問題については、イラク国民も含めて、どこもがしばらくは様子見するしかないと考えているように思われます。
● 米英:イラクに親米英政権を擁立して、非イスラム的経済制度(「近代化」)を確立する。それを梃子に、イスラム産油国にあまねく同様の経済制度を確立する。
● イラク国民:共通的な目標は、主体的政権の樹立によるイラクの統一確保と米英占領の終結だと思われます。そして、それぞれの政治的勢力が自派の影響力増大をめざしている。平和裏に政治権力を手に入れるほうがいいと考え、米英の出方がはっきりするまでは、反米英闘争には踏み切らないと考えている勢力もいるでしょう。
● 中東諸国政権:どこの政権が米英の“お仲間”なのか見えなくなったのでなんとも言えませんが、米英がめざす非イスラム経済制度の確立と自分たちの存続がどう絡むかについてあれこれ考えていると思っています。
シリアとイランが脅かしのターゲットになっていますが、シリアやイランの政権と米英支配層の関係性は見極めができていないので、どういう意図に基づくものなのかわかりません。
● 諸外国政権:イラク攻撃支持諸国は、米英の“勝利”に安堵し同盟関係の強化に動くことが“国益”だと考えている。イラク攻撃非支持諸国は、米英との関係修復をめざすとともにイラク問題については米英のお手並み拝見と考えている。
大局的には、産油国を中心とした中東諸国の「近代化」をめざす米英支配層と、それへの協力ないし抵抗を行なう中東諸国の政権及び国民の関係で動いていくはずです。
米英支配層が、イラクを「近代化」のモデルケースにする戦術を採るのか、混迷を中東全域に広げてその後に中東全域を一気に「近代化」しようとするのかも、まだわかりません。
前者であれば、イラク占領統治は穏和なものになり、復興も本気で行ない、占領の終結も早めるはずです。(しかし、これだと、中東全域に「近代化」を広げるきっかけがうまくつくれない)
後者であれば、イラク国内の政治諸勢力をうまく利用して、周辺諸国に混乱を拡大させるはずです。(シリア・イラン・サウジアラビアには既にいちゃもんをつけている)
イラクでの動きやサウジアラビアで起きた「爆破テロ」を勘案すると、米英支配層は、後者の道を選択しているのではないかと思われます。
それならば、ライフラインの復旧もまともに行なわず、暫定政権作りも政治勢力間に対立をもたらすかたちで進めるはずです。
このような過程を通じて親米英派と反米英派に篩をかけ、反米英派をテロリストとして壊滅させていくことになるでしょう。
イラク国民会議(チャラピ一派)やクルド愛国同盟が親米英派ですが、状況によっては、反米英派を抑え込むために、隠された親米英派であるフセイン一派を復活させることもあると思っています。
親米英派と反米英派に篩をかける作業が、イラクのみならず中東全域で進められると見ています。
小泉政権は、ブッシュ政権の申し入れに従って陸上自衛隊をイラクに派遣したいようですが、状況も先行きも見えないイラクに自衛隊を派遣するのは愚かな判断です。