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《日本の選挙》マニフェストも目が点! 公職選挙法がつくリ出す茶番
構想日本 政策担当ディレクター
冨永 朋義
総選挙の前哨戦とも言われた「埼玉県知事選挙」が終わりました。ほと
んどの候補者が、「政権公約」、いわゆる"マニフェスト"(らしきも
の?)をつくり、埼玉県民に訴えかけていました(ちなみに、本場イギリ
スのマニフェストは、個人ではなく政党がつくるもので、各政策に、「数
値目標」、「財源」、「期限」の3点セットが示されているものです)。
そこで今日は、はるばるイギリスから日本にやってきたマニフェストが、
公職選挙法のおかげで"冷遇"されている実情を、埼玉県知事選挙を題材に
お伝えしたいと思います。その"冷遇"を一言で言うと、
「日本では、マニフェストをマニフェストとして、有権者に配布すること
ができない!」
ということです。
ある候補者の関係者から聞いたのですが、「マニフェストの配布は、公
選法第142条(文書図画の頒布)に列挙してある頒布物に該当しないから違
法」と県選挙管理委員会から言われたとのことです。その代わり、「確認
団体※による政策普及のためのパンフレットとしての配布を許可する。
ただし、候補者の名前及び候補者と思わせる表現はダメ!」とのこと。
※政党その他の政治団体は、原則として、選挙期間中(告示日から選挙当
日までの間)は、政治活動のうち一定の活動が禁止されている。しかし、
例外として、所属候補者又は支援候補者を有する政党その他の政治団体で、
県の選挙管理委員会から確認書の交付を受けた1つの団体については、選
挙期間中に禁止されている政治活動について一定の範囲内で活動が認めら
れている(衆議院小選挙区ごとに1回の「政談演説会の開催」、衆議院小
選挙区ごとに500枚の「ポスターの掲示」、選管に届け出た2種類に限
っての「ビラの頒布」など)。この確認書を受けた団体を「確認団体」と
言う。
具体的にどういうことかと言うと、例えば…
●配布するマニフェストに候補者名を書くことはできない。
もともと候補者自身の政策であるのに、確認団体がつくったものと"偽装
"しなければいけないのです。表紙には確認団体の名前だけ(「しがらみ一
掃、埼玉から新生日本をつくる会」、「美しい埼玉をとりもどす会」、な
ど)、文中に候補者の名前を入れることができないことはもちろん、本来
「私は…」というところを「私たちは…」と直さなくてはいけません。
● 配布するマニフェストに、政策の実行期限を入れることはできない。
確認団体が「こんな政策はどうですか」という内容のものですから、実
行のスケジュールはあってはならないわけです。有権者が知りたいマニフ
ェストに必要な「期限」を明示することができないのです。
● 知事選に向けての決意、知事のあり方に関する考え方を書いてはいけな
い。
まさに、埼玉県民が聞きたいことであるにも関わらず、配布物の主体は
確認団体ですから、ダメなわけです。
おかしいと思いませんか?ホント茶番です、これは。ちなみに、ホーム
ページ上に掲載するときも、上記のように"冷遇"されています。さらにお
かしいのは、記者会見では、候補者の名で完全なマニフェストを配ること
ができる、ということです(特定少数だからということなのでしょうが)。
でも、記者は候補者の政策すべてを、期限も含めて有権者に伝えるわけで
はありません。そもそも、記者会見のような、有権者に対して間接的な伝
達の場では「本人」の顔で、直接有権者に伝える時には「偽装」しなけれ
ばいけないなんて…ホント茶番です。
公選法については、他にもたくさんおかしいものがあります。選挙期間
中は、第三者が自由に公開討論会を開くことができない(同法第164条)、
選挙期間中のホームページの更新はできない(同法第142条、143条)…
等々。それらすべてが、候補者の情報を有権者が手軽に入手することを阻
んでいるのです。
マニフェストの中身の議論は必要です。それと同時に、有権者にとって
どう考えてもおかしい、世にも不思議な選挙運動の仕組みを変えなければ
いけません。いくらいいマニフェストをつくっても、今の仕組みのもとで
は、その効果は半減です。構想日本では、これまでも公選法改正のキャン
ペーンを行ってきましたが、今後も、候補者が一同に集まる合同演説会の
場などで、直接有権者に改正の必要性を訴えていきたいと考えています
(8/24:立川市長選挙公開討論会、8/27:埼玉県知事選挙合同個人
演説会で実施)。
長くなりましたが、最後にもうひとつ。8月27日に大宮ソニックシテ
ィーで行われた合同演説会で、参加したのは全候補者8名のうち7名。不
参加は、島津候補(元総務省事務次官)ただ一人でした。聞くところによ
ると、開催日の2日前までに参加の申出を選挙管理委員会にしなかったか
らとのこと。ちゃんと公選法にあるのです、第163条に。公選法の所管省庁
である総務省の元トップがその法律に邪魔された…皮肉な話ですね。