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山本尚利著「日米技術覇権戦争」を読む。
投稿 平成15年08月18日22時58分
太田龍の時事寸評
平成十五年(二〇〇三年)八月十八日(月)
(第六百七十三回)
○山本尚利(ひさとし)著「日米技術覇権戦争 − 狙われた日本の最先端
技術」(光文社、平成十五年七月刊)。
○これは、読みごたえのある本だ。
○しかし、ここでは、とりあえず、
敗戦後、現在の日本一流企業経営者の多くが、自己否定型でなく、自己
保身型であった(前出、百七十三頁)。
○そこにこそ、日本が、一九六〇年代以降、米国の仕掛けた技術覇権
戦争に完敗した、主たる原因なり、とする。
○この指摘は、本筋を突いて居る。
○自己否定型とは、
言い換えれば、
自己犠牲型、献身型、
とも成るであろう。
○敗戦後の日本のエリート権力者階級から、自己否定型、自己犠牲型が、
きれいさっぱり、姿を消した。
○自己保身型が、権力階級、指導者階級の中に充満してしまって居る。
○これは、その通り。
○しかし、それは、敗戦後だけのことか。
○「米国退役軍人の日本軍に対する認識は、太平洋戦争時代の日本軍人は
階級が上に行くほど無能であった、というものだ。」(前出、百七十三頁)
○この評価も、その通りであろう。
○しかしこれは何故なのだ。
○敗戦前の日本では、陸軍士官学校、海軍兵学校の入学者は、同世代の
少年の中の、身心ともに、もっともすぐれたエリートとされた。
○更に、参謀、司令官に昇任するための登竜門たるべき、陸軍大学、海軍
大学は、陸士、海兵の卒業時の成績がトップクラスでなければ入学出来
ない。
○そして、陸大、海大の卒業時成績の優秀なものが、将官と成り、陸海
軍の本流中枢に出世して行く。
○ところが、実際に戦争をやって見ると、階級が上に行くほど、無能で
あった、と言う。
○何だ、これは。
○これは、些々たる、無視し得る、小さな問題なのか。
○そんなことはあり得ない。
○つまり、敗戦前でさえ、
日本の権力エリート階級の基調は、
「自己保身」、
だった、と見る他ないだろう。
○実戦で、日本軍の下士官、兵の勇猛なること、世界最強。
○日本軍は頂点に行くほど、
(1)無能。
(2)臆病。
(3)卑劣。
(4)大言壮語、空威張り。
(5)無責任。
(6)自己保身。
と言うことに成る。
○何だ、一体、このていたらくは。
○前出の著作は、たしかに、日本の国家体制の欠点と欠陥を、かなりの
程度、えぐり出して居る。
○さらにこの本については、論評を続けたい。
(了)