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[牧太郎のここだけの話]蟹の横ばい
日本は「ヘンタイ列島」である。
知りたくもない、伝えたくもない性犯罪の数々。我が母校・早稲田大学の学生が集団レイプをしでかす。これを聞いた政治家が「レイプをするのは元気な証拠」と平気で言う。「元気」と「ヘンタイ」はどう考えても無関係だ。
ある女性が某党幹事長の「ヘンタイ疑惑」を告発した。ベッドインの写真まで公表しての追及。どんな経緯があったのか、知りたくもない。が、何人かの政治家が「でも、この女性は金をもらっているんだろ」としきりに幹事長殿に味方した。これには腹が立った。
男女関係の本質は金を払った、払わない、の問題では断じてない。
東京・柳橋で料亭を営んでいた母親は「芸者衆と交際するのも自由。お妾(めかけ)さんを囲うのも自由。でも乱暴狼藉(ろうぜき)は許さない。女をモノ扱いするのは許さない」と言うのが口癖だった。
「だからイナダイは座敷に入れない!」
イナダイは「田舎代議士」の略。誤解されては困るが、この言葉は「地方出身の政治家」という意味ではない。「金と権力で女性を自由にする品の悪い政治家」のことである。
この言葉には「ワイロで手に入れた金で遊ぶ政治家」に対する侮蔑(ぶべつ)が込められている。お金だけで、女性を自由にすることはできない。色事の「基本」が理解できなければ、天下の幹事長と言えども「ヘンタイ」と言われても仕方ない。
評判の「江戸大博覧会・モノづくり日本」(東京・上野公園の国立科学博物館、8月31日まで)を見学して「蟹(かに)の盃(さかずき)台」なるものを発見した。
純銀製の蟹の甲羅に、酒を満たした盃を乗せる。すると左右4本ずつ足が動き出し、横歩きしながら盃を客に運ぶ。人形や道具を魔法のように操る「からくり」である。
「蟹の盃台」は吉野太夫(1606〜43年)の所有。教養と美ぼうを併せ持った京都島原の名妓(めいぎ)は、世界最古?の金属製ロボット「蟹の盃台」を愛用した。多分、嫌いなお客のお酌は“ロボット任せ”で済ましたのでは……。
人間とモノは違う。
この「基本」が分からないと「ヘンタイ列島現象」はまだまだ進む。(専門編集委員)
◇牧太郎のホームページ
http://www.maki-taro.net/
[毎日新聞2003年7月29日(火)]