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2004年米大統領選(3)−三つの国の「衝撃と畏怖」 萬晩報通信員 園田 義明
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 04 日 04:11:44:ieVyGVASbNhvI

2004年米大統領選(3)−三つの国の「衝撃と畏怖」


2003年08月03日(日)
萬晩報通信員 園田 義明

 ■ローブのコンピューターディスク

 2002年6月、ホワイトハウス裏のラファイエット広場民主党の議会スタッフがコンピューター・ディスクを拾う。ローブ上級顧問等がワシントン市内のホテルで共和党活動家に選挙戦略を説明した際、ホワイトハウスの実習生が持参、帰途に落としたもので、このファイルの内容は全米メディアで一斉に報じられることになる。

 ローブ上級顧問名で作成された2002年中間選挙戦略「ザ・ストラテジック・ランドスケープ」には、テロとの戦いと経済を前面に出すよう共和党候補者たちに促すと同時に、ブッシュ政権として鉄鋼・石炭業界、農民、牧場経営者の支持をつなぎ止める必要性を強調している。また成長分野としてラテンアメリカ系、ヒスパニック系、カトリック教徒、労働組合員などをあげ、改善分野としてアフリカ系住民をあげている。拡大分野にあげられたビリーバー(信者)の意味が非常に気になるところだ。

 ローブ側が意図的にリークした可能性も考えられるが、2000年大統領選で石油・石炭業界がブッシュ陣営に献金した額は180万ドル(2億1千万円)を超え、この内の78%は共和党や同党候補に入ったと見られている。またブッシュ陣営は黒人票の9%、ヒスパニック票の35%しか獲得できなかったことを考えれば、このファイルの戦略も見逃すことができない。また、この戦略は大枠において2004年大統領選に向けた戦略に引き継がれているようだ。このファイルの内容と最近のブッシュ政権の動向とを比較すれば興味深い。

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鉄鋼セーフガード
2002年3月 ・国内鉄鋼産業を守るため、3年間の鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)発動。今秋の議会の中間選挙対策上、発動はやむをえない−ローブ上級顧問
農場法
2002年5月 ・2007年までにわたり農産物への補助金を一気に67%も増額する農場法を大統領署名で発効。
大気浄化法緩和案
2002年6月 ・環境保護局(EPA)、大気浄化法緩和案を発表。「石炭・石油・ガス業界への身売り行為」と批判(ニューヨーク州スピッツァ司法長官)
2003年6月 ・コネティカット、マサチューセッツ、メーンの「北東部3州」が温暖化防止のため二酸化炭素(CO2)排出規制策を実施するよう米環境保護局(EPA)に求める訴訟同州の連邦地裁に提訴。
積極的差別是正措置 (アファーマティブ・アクション)
2003年1月 ・ブッシュ大統領が人種構成に配慮した入学選考を行ってきた米ミシガン大の積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を批判する一方、積極的差別是正措置そのものの否定は避け少数民族に配慮する姿勢も示す。
・共和党保守派は、人種を理由にした積極的差別是正措置を明確に否定するよう大統領に求めたが、少数民族票の離反を恐れるローブ上級顧問が反対した。
・ライス大統領補佐官−優遇措置支持
・パウエル長官−優遇措置是認
2003年6月 ・米連邦最高裁はミシガン大法科大学院の積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)について、合憲とする決定を行う。
・ブッシュ大統領は声明で「あらゆる人種、民族、経済層の教育機会を均等にするための政策を継続する」という声明を発表し、最高裁の判断を尊重する姿勢を表明した。
減税法案
2003年2月 ・ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授、ポール・サミュエルソン米マサチューセッツ工科大教授らノーベル経済学賞受賞者10人を含む、米国内の著名エコノミスト約450人が、ブッシュ大統領に対し、株式配当課税の撤廃などを柱とする10年間で約6700億ドル規模の総合経済対策の撤回を求める声明を発表した。
2003年5月 ・ブッシュ大統領は28日、今後10年間で総額3500億ドルに削減された減税法案に署名し成立。
・民主党は同法案を「金持ち優遇」と批判。共和党の一部も、財政赤字拡大に懸念を表明。
中東和平
2003年4月 ・2005年までにパレスチナ国家樹立と紛争終結を目指すパレスチナ新和平案(ロードマップ)発表。
2003年 5月 ・中東三者会談。ローブ上級顧問同行。
アフリカ歴訪
2003年7月 ・ブッシュ大統領アフリカ歴訪(セネガル、南アフリカ、ボツワナ、ウガンダ、ナイジェリア)。
・アフリカへの積極関与はパウエル国務長官、ライス大統領補佐官の二人の黒人高官とローブ上級顧問の要請により実現。西アフリカへの石油利権開拓と黒人票獲得の思惑が合致した結果、アフリカ歴訪が実現。
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 ■ローブとハルマゲドン・ロビー

 いずれもブッシュ大統領が再選に大きく関わる問題であるが、ブッシュ・パパの再選を阻んだ経済対策に重点がおかれており、減税法案はその柱として位置付けられてきた。総額としては当初ブッシュ大統領が求めていた規模の半分以下に圧縮されたものの、大統領選を控えた2003年下半期から2004年の間では当初の1536億ドル(約18兆円)から、2010億ドル(約24兆円)と逆に膨らんでいる。

 大統領選に向けて一刻も早い経済再生をアピールしたいブッシュ大統領の狙いとキリスト教右派のクリスチャン・コアリションや全米ライフル協会(NRA)、全米独立企業連盟(NFIB)などの右派系グラス・ルーツ団体を大同団結させた仕掛け人、グローバー・ノーキスト全米税制改革協議会(ATR)代表が束ねる組織票とも連動しているのである。

 ほとんど外に出ないローブ上級顧問が、ブッシュ大統領の中東訪問に付き添ったのはキリスト教右派への配慮であろう。クリスチャン・コアリションなどのキリスト教右派やユダヤ系の有力団体から成るインターフェイス・シオニスト・リーダーシップ・サミットは、ロードマップはイスラエルに破滅をもたらすとの公開書簡を発表するなど、再三にわたって警告を発しており、大量の組織票を抱える「ハルマゲドン・ロビー」の意向を無視することなどできるはずがない。ロードマップの期限を2005年としたのも、イラク戦争直後の早い時期の中東訪問も、すべてが2004年大統領選のローブ上級顧問の緻密な票の計算に基づくものである。従って中東和平への大統領関与はローブ上級顧問次第となっている。

 ■解体された鉄のトライアングル

 2002年3月、米環境保護局(EPA)の発電所などからの大気汚染物質の排出規制を担当する部署のトップであるエリック・シェーファー部長は、ホワイトハウスやエネルギー省の業界寄りの姿勢を批判する手紙をホイットマンEPA長官に出し、辞任していたことが公表される。

 また2002年12月には、オニール財務長官、リンゼー大統領補佐官が更迭されるが、二人はともに保護主義的な措置に懸念を示し鉄鋼セーフガード発動に反対していた。この経済チームの入れ替え人事にはローブ上級顧問が深く関与したとの噂は絶えない。政権を去っていく人物の中にはかつて共に大統領選を戦ったメンバーの名前もある。

 カール・ローブ(戦略担当)、カレン・ヒューズ(広報担当)、ジョー・オルボー(事務局長)。2000年の大統領選でブッシュを支えた政策アドバイザーであり、選挙中には陣営の情報を絶対に漏らさず「鉄のトライアングル」と呼ばれたテキサス三人衆である。

 ブッシュ政権誕生後、ローブは大統領上級顧問(政策・戦略担当)、ヒューズは大統領顧問(広報担当)、オルボーは連邦緊急事態管理局(FEMA)局長に起用され、それぞれがブッシュ大統領の側近中の側近と言われた。しかし、この「鉄のトライアングル」はすでに姿を消している。

 ヒューズは2002年7月に子供の教育問題などを理由に辞任、続いて今年3月には、オルボーはFEMAが国土安全保障省に吸収されることなどを理由に静かに去っていく。

 「史上最も大統領に影響力を持った女性」と呼ばれたヒューズ大統領顧問の辞任は、ブッシュ政権の暗闇をさらけだすことになる。発端は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙元記者で、ピュリツァー賞作家ロン・サスキンドの雑誌「エスクワイア」に掲載された2002年7月号の記事である。

 ■カード首席補佐官の警告

 この中でサスキンドは、アンドリュー・カード首席補佐官のコメントを引用している。カード首席補佐官は、ヒューズ大統領顧問の辞任は保守的なローブ上級顧問の影響力を一層高めることになると強い懸念を示した。穏健派であるヒューズと保守派であるローブの関係をシーソーに例え、ヒューズは政権内のバランサーの役割を担っていたが、ヒューズがいなくなることで、シーソーが跳ね上がる、つまり右傾化に拍車をかける可能性を示した。

 イラク戦で見せた外交分野での国際協調派パウエル国務長官とタカ派チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官+ネオコン連合との対立と同じ構図になっている。

 そして、カード首席補佐官はローブ上級顧問に対抗できる側近の必要性を訴えたが、彼女の穴を埋める存在は見当たらないとし、その理由として容易に進み出ることが出来ない程、ローブが手強い相手であるからだと語る。

 このカード首席補佐官のコメントの真偽をめぐって激しい論争が巻き起こるが、米公共放送PBSに出演したカード主席補佐官は、正確ではないものの発言した事実を認め、ローブが非常に強いリーダーであること指摘した上で、ヒューズの抜けた穴を埋めることは難しいが実現可能であると語る。

 ■ディルーリオ博士のメイベリーのマキアベリ

 サスキンドの追求は続き、「エスクワイア」2003年1月号でホワイトハウス宗教慈善事業イニシアチブ調整局の元局長ジョン・J・ディルーリオ博士の驚くべき告発を導き出す。ブッシュ政権において唯一の民主党員であったディルーリオ博士は、ブッシュ政権誕生時にホワイトハウス宗教慈善事業イニシアチブ調整局局長に任命されたが、7ヶ月後の2001年8月に辞任している。ローブ上級顧問のディルーリオ博士へのキリスト教右派への接近要請が関係しているようだ。

 記事の冒頭でサスキンドは、カード首席補佐官の記事の反響がホワイトハウスのスタッフからも届いていたことを紹介している。記事で紹介されたディルーリオ博士の告発内容は次のようなものだ。

・国内政策評議会のミーティングがバランサー不在のまま茶番劇となっており、カード首席補佐官の発言は助けを求める叫び声だった。

・どの政権でもなかったことが、この政権で起きている。これほど政策決定機構を欠いている政権は現代では存在しない。
 
・ローブは現代のポスト・フーバー時代にあって、大統領執務室近くにいた政治顧問の中で最も強力な人物だ。

・カール・ローブにとって、選挙に勝つことがすべてであり、残りはすべて後回しにされる。

 そして極めつけはカール・ローブとその取り巻きを「メイベリーのマキアベリ達」と定義し、現在のホワイトハウスが「メイベリーのマキアベリ達」による統治だと指摘した。このメイベリーとは1960年から8年間放送された人気コメディ番組アンディー・グリフィス・ショー(邦題:メイベリー110番)の舞台となるノースカロライナの小さな架空の田舎町の名前で、ディルーリオ博士はメイベリーと呼ぶことで「田舎臭い、小さい、時代遅れで古くさい」を表現した。

 この「メイベリーのマキアベリ達」発言は政治問題化し、フライシャー大統領報道官はディユーリオ博士の言葉は「根拠がない」と指摘、ディユーリオ博士もその数時間後には謝罪することになる。

 「私の批判は根拠がなく、使った言葉も例も不適切だった。心から謝罪したい。深く後悔している」。ディユーリオ博士が教授を務めるペンシルバニア大学名の声明文が配られる。

 しかしセンスの良さも手伝って「メイベリーのマキアベリ達」は瞬く間にネット上を飛び交った。ポール・クルーグマンでさえ引用したほどだ。

 結局、カレン・ヒューズ大統領顧問(広報担当)の辞任後、政治コンサルタント事務所「カール・ローブ・アンド・アソシエイツ」出身のダン・バートレット広報局長が広報の要を務めており、新たに起用したスージー・デフランシス広報担当副補佐官もニクソン政権のスピーチライターである。カード首席補佐官が恐れた状況になっていることは間違いない。

 ■世論調査が語る「衝撃と畏怖」の実態

          あなたはイラクのフセイン大統領が
     9月11日の米同時多発テロに直接関与したと思いますか?

         51%、42%、45%、53%、52%

 5つ数値は、上の質問に対して「イエス」と答えた人の比率である。順に2002年9月、2003年2月、03年3月、03年4月、03年5月にニューヨーク・タイムズ紙とCBSニュースが合同で行った世論調査結果である。同じような結果はUSAトゥデイ・CNN・ギャロップ合同世論調査でも導き出されている。

 またマイアミ・ヘラルド紙など31の日刊紙を持つ新聞2位のナイト・リッダーが2003年1月に行った世論調査では、「同時多発テロのハイジャック犯にイラク人は何人いたか?」の質問に対して、21%の米国人が「ほとんどがイラク人」と答え、23%が「数人がイラク人」、6%が「ひとりがイラク人」、「ひとりもいない」が17%、「知らない」が33%という結果が出ている。もちろん同時多発テロの実行犯19人の中にイラク人はいない。

 2002年10月7日、ブッシュ大統領がオハイオ州で行った演説し、「イラクがアルカイダのメンバーに爆弾や毒ガスの製造方法を教えた」「フセインが今、危険な大量破壊兵器を持っていることを知っている」と強調し、この演説は全米に中継され、数日後に米議会は対イラク攻撃容認決議を採択した。

 そして相次ぐネオコンやタカ派の発言が何の検証もなく大量にメディアによって繰り返し流されるうちに、半数の米国人はフセイン大統領が2001年の9月11日の同時多発テロに直接関与したと思い込んでしまったようだ。

 イラクで行われた空爆作戦に名付けられた「衝撃と畏怖」は、イラクよりも先に同時多発テロを通じて米国人の心の奥深くに突き刺さっていたのである。

 確かにアメリカという共通の敵のためアルカイダとフセインが共闘する可能性はゼロではないが、極めて考えにくい。フセイン大統領が率いたバース党は、宗教にとらわれず、アラブ人国家の統一を目指す社会主義的アラブ民族主義であり、イスラム原理主義組織はフセイン体制にとって弾圧対象でもあった。アルカイダの指導者ビンラディンも「フセインは背教者」だとして、大統領の世俗主義に強く反発しており、「イスラム原理主義はフセイン政権と相いれない。むしろ敵対する存在」(アジア経済研究所・酒井啓子主任研究員)と考える方が的を射ている。

 フセイン大統領は90年のクウェート侵攻の際、「この侵攻を責めるならば、イスラエルのパレスチナ占領もやめさせるべきだ」とのパレスチナ・リンケージ論を展開した。その後も自爆テロによる対イスラエル攻撃を礼賛し、高額の褒賞金や遺族見舞金をパレスチナに提供した。従ってイスラエルの敵を取り除くことで「ハルマゲドン・ロビー」を通して膨大な票が流れ込む仕組みを作り
上げたのである。

 9人の候補者が乱立する民主党の候補者の中で注目を集めているのがハワード・ディーン前バーモント州知事である。民主党の中でも超リベラル派で、真っ正面からイラク戦争を批判している。ローブ上級顧問は7月4日、ワシントン市内で開かれたディーンの支援集会に姿を見せる。この時ディーンに対して発した言葉がネット上を駆けめぐる。

     "Heh, heh, heh. Yeah, that's the one we want."

 ローブの目には1972年の大統領選で現職のニクソン大統領の前に大敗を喫したベトナム反戦候補ジョージ・マクガバンが蘇っていたのかもしれない。
 
 「アメリカのヨーゼフ・ゲッベルス」や「チームB」出身のウルフォウィッツ国防副長官、リビー副大統領首席補佐官、ラムズフェルド国防長官等で構成される「メイベリーのマキアベリ達」は、盲目的に追従する日本を見て「衝撃と畏怖」の長期的な影響に自信を深めているのだろう。

 広島、長崎、米同時多発テロ、イラクと繋がる一般市民をも巻き込んだ「衝撃と畏怖」は、それぞれの国の歴史を二重三重に歪めてきた。イラクのモデルが日本からベトナムへと変わりつつある今こそ、日本、アメリカ、イラクに暮らす人々が手を取り合ってゆっくりと過去を紐解く作業を行えば、何かが変わるはずだ。

 ローブが目標としたリー・アトウォーターは死の直前、デュカキスら旧政敵に対して「汚い手を使って申し訳なかった」と謝罪したという。一年以上の闘病生活が、過去を振り返るきっかけとなり、それまで攻撃一方だったアトウォーターの激しい性格を変えたのかもしれない。

 ここにまだ希望が残されている。

http://www.yorozubp.com/0308/030803.htm

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