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http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20030720it01.htm
中央省庁で、職員を大都市圏に短期間、異動させた後、再度、他地域へ異動させることで、最大で基本給の12%の調整手当を事実上、水増し受給させる人事が横行していたことが19日、人事院の調査で明らかになった。
昨年4月からの10か月間だけで107件に上り、文部科学省では1日だけ本省に異動させ、12%の調整手当の受給資格を得させていた。人事院は「不適切」として、こうした異動を行わないよう各省庁に通知した。手当の見直しも検討中で、見直し案を来月の人事院勧告に盛り込む。
調整手当は、地域ごとに異なる民間の賃金水準や物価水準などと調整するため、1967年、人事院勧告に基づき設けられた。
基本給や扶養手当、管理職手当の合計額を基準に、東京23区での勤務が12%、横浜、名古屋、大阪市などの大都市で10%、さいたま、千葉、福岡市などで6%が給与に上乗せされ、残業手当にも反映する。
地方への異動に伴う「激変緩和措置」があり、大都市から、手当が付かない地域に異動しても、3年間は異動前と同じ割合で支給される。
人事院によると、昨年4月から今年1月まで、職員を短期間に再異動させて異動保障を適用したり、調整手当の支給割合を高くしたりした例は、海上保安庁で43件、経済産業省で23件、国土交通省で21件、社会保険庁で11件など9省庁で106件、人事院で1件あり、10の機関で計107件に上った。
海上保安庁は、43人を横浜、名古屋などに7日間だけ異動させ、10%の調整手当を受ける資格を得させ、全員を那覇市に再異動させていた。支給された調整手当は年額約1630万円。1人平均では年額約38万円に上る。
同庁は「沖縄勤務の希望者が少ないため、待遇を厚くした」と釈明する。
文科省では、職員2人を1日で再異動させていた。東京都23区内にある国立大学から千葉県内の放送大学に出向していた幹部職員は、いったん本省に異動して12%の手当受給の資格を得て、翌日には千葉県の国立高等専門学校に異動した。千葉県内で異動していれば、6%の手当しか付かないが、1日だけ都内に勤務した形を取ったため、6%が上乗せされた。
文科省は「いったん本省に戻さないと、人事権の主体がわからなくなる。『本省から忘れられる』という職員の不安にも配慮している」と言い訳する。
異動保障について、人事院は「『異動を円滑にする』という各省庁の要請もあって続いてきたが、問題が指摘された以上、見直しを図りたい」と説明、手当の支給期間の短縮や支給率の引き下げを検討している。
(2003/7/20/03:03 読売新聞 無断転載禁止)