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広告にタグを埋め込み、携帯電話に「ハイパーリンク」を送る新技術
Lakshmi Sandhana
2003年7月10日 2:00am PT ロンドンでは今月、映画館のポスターの前で携帯電話をかざしてクリックすれば、その映画のウェブページに直接アクセスできるようになる。
英ハイパータグ社(ケンブリッジ)が開発した、この『ハイパータグ』(Hypertag)と名付けられた技術が、7月半ばに20の映画館で稼働を開始する予定だ。そこでは、広告ポスターに携帯電話や携帯情報端末(PDA)をかざしてワンクリックするだけで、ウェブページにアクセスできるようになる。
この実世界版ハイパーリンクは、バッテリー駆動の小さな電子タグで、赤外線信号を使ってウェブリンクを携帯電話に送る。この高性能タグを、広告パネルや大型看板、広告壁などに目立たないように取り付けておけば、赤外線ポート内蔵か『ブルートゥース』対応の携帯電話でデジタル・コンテンツにアクセスできるようになる。携帯電話には小さなファイルサイズのソフトウェアをダウンロードしておくだけでいい。
これにより、映画ファンが映画のサウンドトラックや予告編、スチール写真をダウンロードできるサイトにアクセスできるようになるだけでなく、一般の人も近くの映画館を見つけたり、チケット販売サイトへ接続できたりして便利になる。
「この通信技術を創意工夫して活用すれば、純粋な商業目的から、教育など広範な社会的貢献まで、幅広い用途が見込まれる」と、英国科学技術芸術基金(NESTA)のジョー・ミーニイ氏は話す。NESTAは今年はじめ、ハイパータグ社に技術開発費として助成金を提供している。
たとえば、ハイパータグを博物館や美術館で使えば、訪問者は展示物に関連した高品位の音声・映像コンテンツをダウンロードできる。旅行者が、街を歩き回りながら観光情報をウェブサイトから引き出せるようになるかもしれない。また、電子メールアドレスのような連絡先を登録して、イベントや展覧会、特別売出しの最新情報を受け取ることもできるだろう。
ミーニイ氏によると、2002年にロンドンのテート・モダン美術館とケンブリッジのフィッツウィリアム博物館でハイパータグのデモを行ない、成功裏に終えたという。フィッツウィリアム博物館でマーケティングと広報を担当するフィオナ・ブラウン氏は、ハイパータグ・システムに対する来館者の評判はおおむね良好だったと話している。「関連する情報や作品の趣旨に気軽にアクセス」できて、「絵画の意味がとてもよく理解できる」と、来館者たちは感想を述べたという。
ブラウン氏は、予算がとれるかどうかの制約があるものの、同博物館ではハイパータグ・システムの導入を検討中だと語った。
これまで多くの携帯電話会社は、ユーザーがいる場所を基盤にしたサービスの開発に関心を向けてきたが、技術面でやっかいな問題が山積していた。現在、ユーザーの位置を確定するシステムには、携帯電話の識別、三角測量、GPSがある。しかし、こういったシステムを完全に正確で信頼できるものにするためには、法外な費用がかかるバックエンドのインフラを使わなければならない。
これに対しハイパータグの技術では、それぞれのタグの位置がわかっているため、コンテンツ提供者は、ユーザーがいる特定の位置にふさわしい情報を提供できる。たとえば、ドイツのボンにあるベートーベン・ハウス博物館の前に立っている人なら、家に埋め込まれているタグに携帯電話をかざしてクリックすれば、ベートーベンの生涯を説明したり作品の一部を再生したりするウェブサイトにアクセスするといったことが可能になる。
タグの取り付けは、屋外や地下室のほか、電車や路面電車などの移動体でも可能なので、さまざまな場所で柔軟にシステムを構築できる。「そのうえ、複数のタグを近接して設置できるので、ユーザーは1ヵ所でいろいろなコンテンツの中から好きな情報を選べる」と、ハイパータグ社のジョナサン・モーガン最高経営責任者(CEO)は述べる。多くのタグを集めて設置しておけば、1つのテーマに関してさまざまな情報を提供できるのだ。
個々のタグにリンクされているコンテンツは、ハイパータグのサーバーが管理する。タグのオーナーは、タグの利用状況をモニターでき、利用者がタグに向けて携帯電話をクリックしたときに受信するウェブページのコンテンツの調整や更新を容易に行なえる。新しい展示物の情報やより詳しい情報を載せたければ、タグにリンクされているコンテンツを変更したり、タグを増やしたりするだけでいい。
「現時点では、多くの携帯端末が採用している赤外線技術を使っているが、将来的にはブルートゥースなど別のタグ技術を使えるようにするつもりだ」とモーガンCEO。
ハイパータグ社は、ロンドンの映画館の広告キャンペーンのほかに、人気観光地やフィットネスクラブ、ショッピングセンター、駅、さらには空港も視野に入れている。だが、それだけで終わるつもりはない。
「さらに先を考えると、ハイパータグは視覚による認識技術を採用することになるだろう。そうなれば、ユーザーは携帯電話を新聞や雑誌の記事にかざして、ウェブページにアクセスできる。さらには、音声認識技術を使う可能性もある。テレビの視聴者が、テレビに携帯電話をかざしてクリックすると、音声データを認識し、関連するウェブページにアクセスできるようになるわけだ」とモーガンCEO。
「どれも、ワイヤレス機器をコンテンツへつなげるという意味では同じことなのだから」とモーガンCEOは語った。
[日本語版:近藤尚子/高森郁哉]
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030714301.html