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防衛庁は11日、日本へ向けて発射された弾道ミサイルを迎撃するためのミサイル防衛(MD)システムを05年度から自衛隊に導入する方針を決めた。04年度予算の概算要求に導入経費を盛り込み、05年度までの2年間で約2000億円を投じて海上自衛隊のイージス艦4隻と航空自衛隊の1個高射群に迎撃ミサイルを配備する。将来的には国内6カ所に置かれている空自の高射群(対空ミサイル部隊)すべてに導入する構想で、総事業費は1兆円を超える見込み。8月に安全保障会議を開き、政府方針として決定する見通しだ。
防衛庁が導入を決めたのは、米国が04年から配備するイージス艦発射型の対空ミサイル「SM3」と地対空ミサイル「パトリオットPAC3」を組み合わせる2段階システム。日本に飛来する弾道ミサイルが大気圏外を飛行中(ミッドコース段階)にSM3で迎撃し、撃ち漏らした場合は大気圏に再突入後の着弾前(ターミナル段階)にPAC3で迎え撃つ。
MDは大量破壊兵器の世界的な拡散に対抗するため米国が開発、同盟国に導入を働きかけている。5月の日米首脳会談で小泉純一郎首相は「(導入の)検討を加速していく」と表明していた。
防衛庁は99年から約156億円をかけてSM3の将来システムとなる海上配備型ミサイルの日米共同技術研究を続けているが、核兵器・弾道ミサイル開発を進める朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の脅威を受け、現行システムの導入を急ぐ必要があると判断した。共同技術研究も継続する。
防衛庁は05年度までに、海自が保有するイージス艦4隻のレーダーやミサイル発射装置を改修し、SM3を発射できるようにする。またPAC3の導入には、弾道ミサイルより低速の戦闘機などを迎撃するパトリオットPAC2のシステムをPAC3用に改修する必要がある。2段階システムを連動させるため各自衛隊の指揮・通信システムの統合も進める。
戦車や戦闘機などの大型装備品を削減してMD導入費に充てる予定で、防衛力整備の根本的な改革につながるため、年末にも現在の防衛大綱を見直す方針だ。
ただ、MDシステムは「今の技術で100%の迎撃はありえない」(防衛庁幹部)と指摘されており、SM3は先月、米国が行った4回目の迎撃実験で初めて失敗している。このため、政府内には技術面や費用対効果の面で懸念も残っている。
◇ことば
ミサイル防衛
敵の弾道ミサイルをレーダーなどで探知し(1)発射直後の上昇時(ブースト段階)(2)大気圏外を飛行中(ミッドコース段階)(3)大気圏に再突入後(ターミナル段階)――の3段階で迎撃するシステム。米国はレーガン政権時代の戦略防衛構想(SDI)から曲折を経ながらも、総額10兆円といわれる巨費を投じて開発を進め、04年から本格的な実戦配備に入る。日本では98年8月、北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」が日本上空を越えたのを受けてMD導入論が噴出。99年から将来システムの日米共同技術研究を続けている。
[毎日新聞7月12日] ( 2003-07-12-03:00 )
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戦車や戦闘機などの大型装備品を削減して、新しいミサイル防衛システムを導入するということですが、これは当然なことで、防衛費削減があっても、防衛費総額が拡大することのないように願いたいものです。