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7月4日(金)
好事、魔多し。夏風邪を引いてしまいました。
熱はないようですが、咽が痛い。鼻も詰まっています。悪化しなければ良いんですが……。
「イラク支援法案」が衆院を通過しました。これから参院で審議されますが、この臨時国会中に成立する見通してす。
この法案は、「イラクを支援」するものではなく、「アメリカを支援」するものです。何の根拠もなく勝手に始めた「アメリカの侵略戦争」をお手伝いするための法律だといって良いでしょう。
この正当性なき戦争の結果、武力によってフセイン政権は倒され、アメリカやイギリスはイラクを軍事的に占領しました。国連決議に基づかず、国際法にも反した侵略戦争による軍事占領への加担は、明らかに憲法違反です。
「戦後復興」への人道的支援は必要です。しかし、だから自衛隊を送って米軍を助けようというのは、論理が飛躍しています。
理不尽な戦争によって、「復興」を必要とするような「戦後」を作り出したのは、だれでしょうか。このような「復興」によって、戦争のとばっちりで命を失ったイラクの人々が生き返るとでもいうのでしょうか。
はっきりした根拠も正当性もなく、戦争に反対する国際世論を無視して始めた戦争です。この戦争を正当化するような試みに加担することは、戦争の犠牲となった人々の血で、自らの手を汚すことを意味します。
中東の人々にとって、日本はアメリカと違って「友好国」でした。第1次石油ショックのとき、日本は「アブラ」を求めて「アラブ」寄りになりました。
このような政策転換は田中角栄によって実行され、そのためにアメリカの石油大会社(メジャー)に狙われ、ロッキード事件で逮捕され「失脚」させられたというのが、「ロッキード事件アメリカ謀略説」です。このような「謀略説」は誤りであり、そのことは今度出版される私の新著『戦後政治の実像』で詳しく論証しました。
しかし、このとき、田中角栄によってアラブに友好的な政策への転換がなされたことは事実です。それ以降、日本はアラブ諸国との友好的な関係を維持してきました。
しかし、今回の「イラク支援法」によって自衛隊をイラクに派遣すれば、このような友好的な関係は失われるでしょう。小泉首相がブッシュによるイラクへの攻撃を支持した段階で、すでに日本はアラブの「味方」ではなく「敵」として見られ始めています。
「日本の国益」という点からいえば、ブッシュを支持することで小泉さんはわが国に大きな損害を与えたということになります。イラクへの軍隊の派遣は、さらにその損害を拡大することになるでしょう。
1975年以来、長年に渡って積み上げてきた日本とアラブ世界との友好・信頼関係を、小泉さんは土足でけ飛ばそうとしています。それで良いのでしょうか。
軍事占領をお手伝いするような軍隊の派遣は、誰が望んでいるのでしょうか。イラクの人々はアメリカの軍事支配を手伝うような部隊が増えることを歓迎するのでしょうか。
自衛隊は「非戦闘地域」に派遣されるそうです。イラクの国内にこのような地域はないといわれています。どこで戦闘が始まるか分からないからです。
ブッシュ米大統領は「戦闘終結宣言」を出しましたが、それは大統領の「願望」にすぎませんでした。実際には、イラクでの「戦闘」はまだ「終結」していません。
イラク国内に「非戦闘地域」はない、ということであれば、この法律に基づいてさえ、自衛隊はイラク国内に入れないことになります。「戦闘地域」への派遣は、「イラク支援法」違反になるわけですから……。
そもそも、「安全」な場所であれば、軍隊を派遣する必要はありません。「安全」でないことを知っているから、軍隊を派遣しようとしているのでしょう。
このような場所に無理矢理行かされることになる自衛隊員も気の毒です。彼らは「日本を守る」ために「専守防衛」の自衛隊に入ったはずです。イラクに行くことなど、全く予想もしていなかったでしょう。
ブッシュ米大統領が「戦闘終結宣言」を出した5月1日以来、米軍の死者は少なくとも64人に上るそうです。1日1人が死亡している勘定です。
ということは、自衛隊員からも死傷者が出る可能性があるということになります。自衛隊がイラクの人々を殺傷する可能性もあります。
これまで、自衛隊員が海外の戦闘で死んだり殺したりしたことはありませんでした。この歴史が変わる可能性があります。平和憲法を持つ平和国家としての戦後日本の「政治的資産」が失われ、日本のイメージが崩れてしまうかもしれません。
大きな転換点だというべきでしょう。自衛隊にとっても日本にとっても……。
自衛隊員はイラクの人々に銃を向け、引き金を引くことができるのでしょうか。一般の人々と「テロリスト」をどのように区別するのでしょうか。
日本はアメリカに追随してアラブの人々と敵対する道を歩み始めても良いのでしょうか。日本とアメリカは別の国であり、両者の国益には共通しない部分もあるのだということが、小泉首相には分かっているのでしょうか。
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/iga2/home2.htm