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NTTの光ファイバー網を他社に貸し出す「開放義務」を緩和する議論が急浮上、通信業界が大きく揺れている。NTTの数年来の要望だが、国会などで取り上げられたのをきっかけに新電電側が猛反発。NTT、新電電ともブロードバンド(高速大容量通信)時代の生き残りが光ファイバーにかかっており、一歩も引かない構えだ。
「光ファイバー開放は、競争状況の進展を踏まえながら検討する」。5月末、参院総務委員会はこんな「付帯決議」を採択。これには、NTT出身議員らがかかわっており、新電電は「NTTが政治力を使った」と批判。今後は衆院でも議論される見通しで状況は緊迫の度を深めている。
▽新電電の危機感
「日本のネット革命が止まってしまう」。ソフトバンクの孫正義社長はNTT規制見直しの動きに危機感をあらわにした。最近、霞ケ関や永田町を頻繁に訪れ「警告」を発して回る。ADSL(非対称デジタル加入者線)事業の同社も基幹網にNTTの光ファイバーを使っているためだ。
NTT回線の開放をめぐる議論はこれまでもたびたび繰り返されてきた歴史があり、KDDIの小野寺正社長は「このままではNTT独占時代に逆戻りする」と憤る。KDDIは今秋、社の未来をかけて光ファイバーによる放送事業に進出する予定だが、光ファイバーが借りられなければ「事業は不可能」という。
▽開放義務は不公平
NTTの光ファイバーは総務省令で定める「指定電気通信設備」で、現在は他社に全国一律の価格で貸し出す義務を負う。だが、NTTは「光ファイバーは電力会社などとの競争が厳しく、当社だけが安く貸し出すのは不公平。これでは新規の投資意欲もわかない」(和田紀夫社長)と開放義務撤廃を強く主張する。
従来型の電話事業が縮小を続ける中、10万人規模の大リストラを昨年断行したNTTには、光ファイバーが「最後のよりどころ」だ。必死に訴えるNTTに対し、総務省内にも「新電電に自らインフラを担うという気構えがないのも問題」(幹部)などNTTに同情的な意見もある。
▽政治介入に異論も
だが省内にはまだ「慎重論」が強い。日本の通信政策は「巨人」NTTを規制することで、事業者間競争を作り出してきた。その競争政策の端的な成功例がADSLの爆発的な普及だ。NTTの電話線などの設備を徹底して他社に貸したことで、新規参入が増え、価格も大幅に下がった。
光ファイバーの本格普及に向けた政策議論はこれから活発化しそうだが、競争政策の専門家、醍醐聡東大大学院教授は「現段階で政治が介入してきたことには大変な違和感がある」と指摘。政治の力で競争がゆがめられることがないよう注文をつけた。