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「ホワイトハウスをさまようトロツキーの亡霊」:アラン・ワルド氏 [JRCL:かけはし2003.6.30号より ]
http://www.asyura.com/0306/bd27/msg/544.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 7 月 01 日 20:58:07:


 「ネオコン=トロツキストト」論は、アメリカではどのように語られているのだろうか。以下は、アメリカのトロツキスト運動に詳しい学者アラン・ワルドが『ニューステーツマン』誌編集部に送り、掲載を拒否された文章である。

 私が、ブッシュ政権への元トロツキストの影響を大げさに言い立てるジャーナリスティックな論文に最初に気づいたのは三月のことで、『パルチザン・レビュー』誌が廃刊になったころであった――それ以前にもそうした文書は出ていたのかもしれないが。その中で最も広範に流布されていたものの一つは、『ニューステーツマン』誌にマイケル・リンドが書いたものだった。私は三月二十九日にリンドの解釈に反対する手紙を『ニューステーツマン』誌に送ったが、それは掲載されず、それに続く私の質問も答えられないさだめとなった。以下は、私が送った手紙の原文である。

『ニューステーツマン』誌へ

 私はアメリカの知識人の「左」から「右」への移行について数十年にわたって研究してきた学者として、マイケル・リンドが書いた「ジョージ・W・ブッシュの戦争の背後にいる変人ども」(03年4月7日号)という戯画的文章にがっかりしています。
 リンドは、アメリカの外交政策は「新保守主義(ネオコン)国防族の知識人」サークルによって定式化されており、「そのほとんど」は「おもに一九三〇〜四〇年代のユダヤ系アメリカ人トロツキスト運動の産物」だと述べています。リンドはさらに、彼らの今日の「ウイルソン主義」イデオロギーは、「極右リクード的特質を持ったシオニズムと混ぜ合わされたトロツキーの永続革命論そのもの」だと主張しています。

 しかし私は、リンド氏が言及する「ネオコン国防族知識人」の誰一人として、トロツキズムや他のいかなる極左派とも組織的・イデオロギー的つながりを持っていたなどということを知りません。また私は、これらの個々人の多くがユダヤ的伝統とのさまざまに異なった関係を持っているにもかかわらず――それは多くのアメリカの指導的批評家たちがこの間のイラク戦争にさまざまに異なった形で関係しているのと同様です――この定式の「ユダヤ人」的側面を強調することの意味が分かりません。

 リンド氏が国防族知識人と呼ぶグループの政治的経歴や理論を誤って表現していることは、彼が「新保守主義」という用語を折衷的で広範囲に使用していることによります。今日このレッテルは、その多くが、一九七〇年代に合体した有名な新保守主義運動との明白なつながりをほとんど持っていない多様な右翼知識人に、一括して適用される語句として現れています。一九七〇年代の新保守主義者とは、一九六〇年代のラディカルな運動を行き過ぎと認識して、急速に右に移行したかつてのリベラル派知識人のことです。

 第二次世界大戦後、一時はトロツキストだった多くの人びとが、同世代の他の人びとと同様に、保守的方向に移動したことはその通りです。最も著名な、『ナショナル・レビュー』の支持者であるマックス・イーストマンやジェームズ・バーナムは、ブッシュ的な外交政策を支持しましたが、彼らはユダヤ人でも新保守主義派でもありませんでした。
 冷戦の時代、一九三〇年代にはトロツキズムの支持者だったシドニー・フックや、一九三〇年代後半と一九四〇年代前半にトロツキスト分派(シャハトマン派)のメンバーだったアービング・クリストルは、冷戦の戦士になりました。この両者とも一九六〇年代以前にラディカルな立場を捨てていましたが、二人は一九七〇年代の本来の新保守主義と同一視されています。しかしクリストルの息子で、現在は影響力のある『ウイークリー・スタンダード』の編集者であるウイリアムは、トロツキズムとのつながりはもちろん、極左派であったこともなかったのです。
 同様に、一九四六年に『コメンタリー』を創刊したエリオット・コーエンも、一九三〇年代初期にはトロツキスト支持者でした。しかし彼の後継者となった、一時はリベラル派だったことがあるノーマン・ポドレーツや、ポドレーツの息子のジョンは、いかなるマルクス主義的傾向も持ってはいませんでした。

 同様な誤解は、国防族知識人の「ウイルソン主義」をトロツキーの永続革命論と軽薄に同一視していることです。今日、トロツキーの理論がどれだけの時代的適合性を持っているかにかかわらず、そのもともとの思想は経済的に後進的な諸国の階級勢力間の関係に向けられていました。トロツキーの戦略は、西側の支配から脱け出ることだったのであり、西側の支配を拡張することではありません。そして彼の主張は、貧しい諸国は「自由市場」とラディカルに決別することによってのみ真の独立を達成できる、というものであり、「自由市場」を受け入れることによってではありません。現在の「ウイルソン主義」とのつながりなど、まったくの冗談です。

 私は、リンド氏が「われわれは、誰が外交政策を策定しているのか、彼らは何を達成しようとしているのかを知る必要がある」と言うことに同意します。しかし彼が述べる、国防族知識人と「ほとんどユダヤ系アメリカ人のトロツキスト運動」の伝統と理論との混合という主張は、奇妙で無益なものなのです。

 アラン・ワルド(ミシガン大学教授:アメリカ文化論)              

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