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哲学クロニクル 第387号
(2003年6月20日)
ヨーロッパはヨーロッパです(1)
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さて今回は、自伝を出版して注目を集めているヒラリー・クリントン上院議員の
インタビューです。ドイツの週刊誌、シュピーゲルに掲載されました。
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ヨーロッパはヨーロッパです(1)
ヒラリー・クリントン上院議員のインタビュー、シュピーゲル、2003年6月16日号
【問】上院議員、あなたのご本の中で描かれたアメリカのイメージは、ブッシュ
大統領で代表されるアメリカのイメージとは正反対です。ということは、アメリ
カが友好的で、配慮に富み、協力的な国に戻るという希望を捨ててはならないと
いうことでしょうか。
【答】アメリカは現在、世界でも傑出した国となっており、その地位を受け入れ
る必要があります。ということ、必要な場合には軍事的なものを含めて、わが国
の強みを活用していくことが必要です。ですからアフガニスタンに対する大統領
の政策を支持しますし、イラクに対する政策も支持します。
ですが、ブッシュ政権が、国際的なパートナー関係を構築するための多くの機会
を利用し損ねているのも明らかです。アメリカはこうした国際的な提携関係を構
築することで、さらに強くなり、ヨーロッパとの関係を深めることができるので
す。われわれの全体の未来は、長期的にはこうした協力に依存しているのです。
アメリカは軍事的な強さだけを信頼するのではなく、安全で強固な土台の上に、
提携関係を築きあげていく必要があります。
【問】多くのヨーロッパ人は、ワシントンにはもはや野党というものが存在しな
いと感じています。民主党員たちはどこにいったのでしょうか。
【答】わたしはホワイトハウスでの八年の経験で、アメリカの統治システムでは、
過半数を占めた党派だけが政権を独占することを熟知しています。われわれ民主
党は、この欠点を克服する必要があります。またアメリカが激しい悪夢を経験し
たことも、われわれの課題を困難なものにしています。わたしはニューヨーク選
出の上院議員として、9月11日の出来事がアメリカ人にとっていかに劇的で、苦
痛に満ちたものであったかを、肌に感じています。
【問】でもそれは、大統領にすべてを白紙委任する理由にはなりますまい。
【答】まさにそのために、われわれの声がふたたび効果的に聞きとどけられるよ
うになる方法について、熟慮する必要があるのです。わたしが自伝を書いたのは、
アメリカ国民の世界の友人たちに、アメリカがすでに八年間も、グローバルで一
体的なものとなった世界において、正しい方向に進んでいたことを想起していた
だきたかったからでもあります。われわれ民主党が、この視点をふたたび明確に
できなかったのは、たしかなのですが。
【問】それはこれからの大統領選挙を考えると、良い知らせではないですね。
【答】そうでもありません。現在の民主党の大統領候補は、すべてがブッシュ大
統領に不利に働いていることを明らかにしています。やがてこれがますます明ら
かになり、多くの人々が考えているよりも、選挙は接戦になると思います。
【問】ご夫妻がホワイトハウスを離れられた際には、経済政策はとてもうまくい
っているようにみえました。現在では上院が方針転換をしているようですが。
【答】悲劇的な間違いですね。前の政権の経済政策は、すぐれたバランスを保っ
ていたと思います。節約を重視した財政政策で、個人投資が伸びました。これで2200
万人以上の雇用が創設され、多くの人々が貧困から解放されました。もちろん百
万長者になった人々もたくさんいます。残念なことに現政権は、すでに時代遅れ
になった政策をふたたび採用し、減税に向かってすすんでいます。減税が、とく
に富裕者にとって有利なことは、明らかなのですが。
【問】ご著書では、イギリスのブレア首相は政治的な同盟者であり、親しい友人
であると書いておられます。ところで今はブレア首相はブッシュ大統領の最高の
友人となりました。残念に思っておられますか。
【答】ブレアはいつでも、自分の信じたことをしようとします。ブレアや妻のチェ
リーとは長い時間をともにすごしてきました。内政については、意見が一致する
ところが多いのです。それにブレアはいまでも親しい友人で、政治的な同盟者で
もあります。
【問】ご著書では、共和党がクリントン政権時代にテロとの戦いで政府を支援し
なかったことを批判しておられます。支援があれば、9月11日の攻撃は防げたと
考えておられますか。
【答】この質問には、誰も答えることはできないでしょう。でも、クリントン政
権が、効果的に法律を施行し、テロとの戦いのために豊富な資金を確保するため
に、あらゆる努力をしてきたことを想起するのが、公正な姿勢というものでしょ
う。これを当時の共和党は妨害したのです。そしてわたしはいまでも政府との間
で、起こり得る攻撃を防ぐ方法について、争っているのです。わが国では、警察
や消防隊のためにも、緊急援助隊のためにも、自国の国防のために、国内で十分
な資金を支出していないのです。ヨーロッパではテロの経験が長いので、テロに
はうまく対応しているのですが。
【問】多くのアメリカ人にとっては、イラク攻撃は、テロとの戦争の一部でした。
しかしヨーロッパではサダム・フセインとオサマ・ビンラディンの結び付きにつ
いては、証拠がないと考えています。どちらが正しいのでしょう。
【答】現在まではこうした結び付きの証拠は示されていません。そしてわたしは
自分の方針を、こうした結びつきの証拠があるかどうかで決めることはありませ
ん。戦争前には、こうした結び付きがあるという信頼できる証拠はありませんで
した。アルカイダがイラクに入国したのは、タリバンが崩壊し、アルカイダがア
フガニスタンから追い出されてからのことでした。
【問】戦争のための決定的な根拠とされた大量破壊兵器も、みつかっていません。
【答】これについてはいずれ最終的に明確にする必要があるでしょう。わたしは
そのための調査委員会を議会に設立するように要求しています。わたしは超党派
的な取り組みでこの問題を共同で調べることを望んでいます。それは過去につい
て明らかにするためだけではなく、この政権のもとでの、われわれの未来のため
でもあります。政府がテロに対して軍事的な暴力を行使することを計画している
なら、正しい情報に基づいて決定が下されることが絶対に必要なのです。
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(c)中山 元
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哲学クロニクル
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