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2003-06-16
■Unixをめぐる攻防激化 Linux使用にも影響
米ソフトウエア会社SCOグループがUnixの技術特許をめぐりIBMを訴えたのを機に、Unixの所有権問題は一気に泥沼化した。米国で起きた問題はさらに海外へ波及し、Linuxコミュニティーにも暗雲が垂れ込めている。しかし、そこには一朝一夕には解決できない複雑な事情が存在していた。(矢野 雅仁)
■■業界を巻き込んだ訴訟
事の発端は、SCOグループが今年3月、IBMを相手取り10億ドル以上の損害賠償を求める訴訟を起こしたのがきっかけだった。訴えによると、IBMがサーバーOSとして販促するLinuxが、SCOの保有するUnixの知的所有権を侵害しているというものだった。オープンソースOS として市場に急速に普及するLinuxは、Unixを基に作られたものだ。しかし、これまで、Unixの知的所有権の帰属問題が表面化したことはなく、ましてやLinuxが法的に著作権を侵害しているなどとは誰しもが夢にも思わなかった。
SCOはまず、IBMがUnixに関わる企業秘密を不正に流用し、開発中のLinuxに取り込んだと主張。その裏付けとして、IBMが開発を進めるLinuxのカーネル(OSの中核機能を成す)と自社の「UNIXウェア(UnixWare)」のコードを徹底的に比較した。そして、見事に合致するコードが存在することを発見したというのだ。
さらにSCOは5月、世界の大企業1500社に送付に書簡を送付。その中で、UnixのソースコードがLinuxに移植されているため、Linuxを使用する企業は法的責務を負うと主張している。
■■「SCOに著作権行使の権利なし」の見方も
当初はIBMとSCOの内輪もめととらえられていたUnixの帰属問題は、ここでLinuxを巻き込み業界全体へと拡大した。そして、そこには思わぬ伏兵が 待ち構えていた。
ネットワーク技術開発大手ノベル(Novell)が、Unixの所有権があくまで自社に帰属すると訴えたことで、問題がさらに複雑化した。 争点となったのは1995年に両社が締結した契約内容だ。同契約によると、SCOにはUnixに関する広範な権利が与えられている。その一方で、著作権と特許はノベルが保持するという非常にあいまいなものだった。
契約書の内容では、ノベルがUnixおよびUnixWareに関連するすべての権利と所有権をSCOの前身、サンタ・クルズ・オペレーション(Santa CruzOperation)に売却したという事実が存在する。しかし、米証券取引委員会(SEC)に提出されている書類上では、「すべての著作権」および「技術特許」が契約から除外されていたのだ。ここまで来ると、もはや法的な解釈の相違を問うしかない。事実、同契約を検証した知的所有権(IP)専門の弁護士 は、内容が非常に不透明で、多くの疑問点が残されたままだと指摘している。
一部の専門家は、SCOの立場を疑問視している。たとえば、知的財産専門の弁護士、ジョン・フェレル(John Ferrell)氏は、両社の契約はノベルに著作権があると考えるのが妥当だと述べている。同氏の主張に従うと、SCOには著作権を行使する権限がないということになる。それでも、取引先がUnixのライセンス契約に違反した場合は、法的手段に訴えることができるという。いずれにせよ、ソフトウエア を売却しながら著作権は移譲しないという奇妙な契約内容が問題を大きくする結果となったのだ。
これに対して、SCOは、著作権を行使する権限を持っていると強く主張。Unixの著作権がなくても、契約違反という形でLinuxユーザーに法的責務履行を要求できるというのだ。SCOによると、警告書を送付した大企業の大多数はUnixシステムVのライセンスを購入しているが、そのライセンス契 約書にはソースコードを不正流用しないとの条文が含まれているという。
SCOの主張には非常にあいまいな点もあり、今後、同社の主張がどこまで業界を脅かすのか不透明なままだ。また、同社への風当たりもかなり強くなっている。
■■Linux業界も対抗、背景に不透明な歴史
独ソフトウエア企業団体、LinuxTagは、Linuxへの世界的な攻撃を中止するようSCOに対して要求。裁判所にSCOのウェブサイト(ドイツ版)の差し止めを求めた。
Linuxは、マイクロソフトのウィンドウズに対抗できる唯一のOSとみなされており、西欧で販売されるコンピューター・サーバーの15%に搭載されている。独政府には全面的にLinuxを採用している省庁もあるため、SCOの主張の是非がもたらす影響は測り知れない。結局、ドイツでの訴訟は、LinuxTagの要求が全面的に受け入れられ、SCOはウェブサイトを閉鎖した。
また、Linuxを開発するLindows.comは、早々と自社のOSが対象にならないとの主張を表明。同社は、すでに2001年にSCOとライセンス契約を結んでおり、現在も有効だというのが理由だ。SCOがLinux開発を中止し、Linuxの普及を最も懸念しているマイクロソフトがSCOの株主でもあるという事実が、同社の主張をさらに 懐疑的なものにしている。
現在、著作権問題とは別に、オープン・グループ(X/Open)がUnixの商標をめぐってアップルコンピュータを訴えている。
AT&Tが60年代に開発したUnixは、時を経てコンピューター技術の中核を成すまでになった。しかし、その歴史の中であいまいにされてきたいくつもの事 象が積み重なり、混とんをもたらすとは、当時、誰が想像し得ただろうか。
【関連サイト】
[SCOグループ]
http://www.sco.com/
[IBM]
http://www.ibm.com/
[LinuxTag]
http://www.LinuxTag.org/
[アップル]
http://www.apple.com/