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ウェブログ、G8サミット抗議デモを異なる視点で報道
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030606207.html
Elisa Batista
2003年6月4日 2:00am PT フランスで開催された主要国首脳会議(G8サミット)にともなう抗議行動の現場から報じられたニュースのルートは1つではなかった。ジャーナリストたちが記事を編集部に送ったのに対し、抗議者たちは独自のコメントをウェブログに掲載した。
たとえば、AP通信は、暴動を鎮圧するために出動した警官隊が「催涙ガス、ゴム弾、高圧放水砲を使って数万人のデモ隊を分散させた」と報道したが、ウェブログを運営するジョフロワ・デュ・シャンボン氏は「少なくとも、デモを組織した人々が乱闘を避けるためにあらゆることを行なったと言えそうだ」と書いた。
「今日まで、従来のメディアはほんの一部のグループによる突発的な行動ばかりを取り上げるのを好み、活動家たちが数日間にわたって繰り返してきた討論や会合については報道しない」と、シャンボン氏は『フラターネット』にフランス語で記している。同氏はその後、ワイアード・ニュースのためにこの記事を英訳してくれた。
世界の主要国7ヵ国とロシアが参加したG8サミットを伝えるにあたり、シャンボン氏が他の大手メディアの記者た ちと違ったのは、彼が抗議者たちの活動を伝える情報を30 分ごとに更新したことだ。デモ隊の横断幕に書かれたコメントや、Tシャツのスローガンまでが、新情報として掲載された。
シャンボン氏によると、自分を含めて抗議行動に参加した人の大半は、世界の「平和と正義」を求め、グローバリゼーションに反対して戦っていたという。そのほか、環境保護や第三世界の債務免除を訴えるグループもいる。
AP通信はデモ隊の数(写真)を5万人と報じたが、シャンボン氏は10万人と書いた。
大手メディアと同じように、シャンボン氏も警察とデモ隊の応酬を伝えているが、その内容は異なっている。シャ ンボン氏によると、警察とデモ隊との間には多少の小競り合いがあったことは確かだが、それは警察のせいだという。
シャンボン氏は6月1日の午後2時30分(現地時間)、橋の占拠についてこう書いている。「警官隊が突き進み、1人の若者が橋から転落した。彼は両足を骨折したが、命に別状はなかった。その後、警察はローザンヌの別の村に入り、(抗 議活動家らを)尋問した」
同じ出来事が、AP通信のナオミ・コッペル記者の手によると以下のようになる。[訳注:実際は別の出来事]「治安部隊はその後、デモ参加者たちに対し、取り調べを受けずに橋を立ち去ることを許可した。にらみ合いが続くなか、少なくとも1000人が橋から石のかけらなどを拾い、警官隊を罵って石や瓶を投げつけはじめた。治安部隊は、繰り返しデモ隊に向かって突き進み、催涙弾を雨あられと投げつけてデモ隊を分散させようとした。両者の対峙は夜まで続いた」
G8サミットに出席した各国の指導者たちが、抗議活動家に対してどのような反応を示すのかは、まだはっきりしない。しかし明らかなのは、抗議の手法がハイテク頼みになってきたことだ。
G8サミットに抗議したシャンボン氏やフランソワ・オディエルヌ氏、レミ・ボレール氏は、激しい調子でノートパソコンのキーを叩きつづけ、フランスのアヌマスとスイスのジュネーブを隔てる国境で行なわれたデモの現場から次々と自身のウェブログに新しい情報を送りつづけた。他にも『プロジェクト・ハイブ』などのウェブサイトでは、抗議活動家らが携帯電話や携帯情報端末(PDA)でコメント や写真を投稿できた。
デモの最中に携帯電話を使う光景があちこちで見られた (写真)ため、当局がデモを鎮圧するために携帯電話ネットワークを閉鎖するのではないかと噂する抗議者たちもいた(シャンボン氏によると、当局はそういった措置はとらなかったという)。
『スマート・モブズ:次なる社会革命』(Smart Mobs: The Next Social Revolution)の著者であるハワード・ラインゴールド氏によると、携帯電話を使って抗議行動をより効率的に組織することは、すでに始まっているという。さらに、次世代(3G)のテレビ電話機能付き携帯電話(日本語版記事)が普及すれば、デモ行動の最中にウェブログにビデオ映像を送り、一般の報道機関とは違う視点を提供することが可能になる。
「そうなれば、もうABCニュースに頼る必要もなくなる」とラインゴールド氏は語る。
しかしシャンボン氏は、それほど楽観的ではない。ウェブログが仮に一般の人々に影響力を持っているとしても、抗議活動家に対する一般の見方にどんな影響を与えたのかはわからないとシャンボン氏は言う。同氏のもとには、主張に共鳴する手紙だけでなく、抗議者たちはやはり攻撃的 すぎるのではないかと懸念する手紙も届いている。
「ウェブログとデモ行動は、ある意味では相性がいい。ウェブログは、部分的にはハイパーリンクで成り立っており、自分はより大きな集団の一部なのだという感覚を強めてくれる。そしてデモも、連帯感に対する願望を実現する人間のハイパーリンクで成り立っているのだ」とシャンボン氏は語った。
[日本語版:鎌田真由子/高森郁哉]