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2003年6月6日(金)0時34分
【上海=伊藤彰浩】中国最長の大河、長江をせきとめる国家的プロジェクトとして、中国政府が1993
年から建設を進めてきた湖北省の三峡ダムが6月1日から貯水を開始した。2009年完成予定の巨大施設
は、洪水防止や水運、水力発電により、内陸部開発の基盤となることが期待される反面、環境汚染や環境変
化の懸念は、なお消えない。
三峡ダム本体の完成時全長は2309メートルで、中国最大。計画発電能力は世界最大の1820万キ
ロ・ワットだ。これまでに、ダム本体の約3分の2にあたる左岸寄り1600メートルと、船舶航行のため
の閘門(こうもん)が完成した。また、すでに4機の発電機が据え付けられ、8月には本格送電を開始す
る。
貯水は順調に進み、今月15日には、貯水前に比べて水位が50メートル前後上昇、海抜135メートル
に達する。
最終的に、水位は海抜175メートルにまで上がり、全長約600キロ・メートル、面積が約1084平
方キロ・メートルという巨大な貯水池が姿を現すことになる。その貯水量は393億立方メートル。日本最
大の貯水量を誇る奥只見ダムは約6億立方メートルにすぎない。
ダムのある湖北省から上流約660キロの重慶にかけた大貯水池が、長江の水運に大きな利便性をもたら
すのは確実だ。
一方、専門家の間では、長江の浄化能力の低下、下流域での水不足など環境への影響の懸念が以前から指
摘されている。「三峡ダム地区(湖北省―重慶市)」の汚水、ゴミ処理場はこれまでに計画の60%が稼
働。だが、人口3000万人を超える重慶市など上流域が、工業・生活排水対策を少しでも怠れば、貯水池
は「巨大などぶのため池」(三峡ダムに詳しい外交筋)になってしまう。
国家環境保護総局は5日、貯水開始後のダム地区の水質について、「大きな水質変化はない」との観測結
果を発表した。だが、一部水域で、大腸菌群や浮遊物による汚染が発生していることも明らかにした。不気
味な兆候と言える。
また、ダム建設を担当する政府公社「長江三峡プロジェクト開発総公司」は、水没工場など汚染源の処理
や、土壌流入を防ぐ護岸工事は完了したとしているが、実効については今後を見極める必要がある。
水没地域からの住民移転問題も残る。移転対象となった住民計110万人のうち、残り40万人が、ダム
の水位上昇とともに、他の土地に移る。ただ、すでに強制移住させられた約70万人のうち、「農地不足、
職場不足で困窮する農民も多い」(消息筋)といい、解決は容易でない。
総工費約1800億元(約2兆7000億円)を投じる「世紀の大プロジェクト」の評価を下すには、な
お時期尚早と言えそうだ。
http://news.lycos.co.jp/topics/world/china.html?d=06yomiuri20030605id26&cat=35