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サウジアラビアで「アル・カーイダ」などテロ組織参加者が絶えないのは、イスラムに偏った同国教育制度に問題があるからだとの批判が米国で強まる中、サウジ国内からも、教科書の内容見直しなど教育改革を自主的に進めるべきだとの声が上がり始めた。だが、宗教界、保守派などが、国家の根幹に位置するイスラム教の軽視につながるとして、強く反発するのは避けられそうもない。
5月下旬、リヤドで開かれた学術会議で、1人のサウジ人女性教授が、サウジ教科書の「視野の狭さ」を指摘する大胆な発表を行った。リヤドのキング・サウド大言語翻訳学部のリーマ・ジャルフ教授だ。
同教授は、サウジで現在使用される小学4年から高校3年までの歴史教科書の記述内容を数量的に分析、サウジを含めた中東イスラム世界に関する記述が実に98・5%を占めていることを明らかにした。
教授の計算によると、第1次サウド王国成立に始まるサウジアラビア史(18世紀半ば―現代)が30%、イスラム教の預言者ムハンマドの時代(7世紀)が15%、伝統的イスラム国家の行政、司法、経済制度に関する記述に19%が割かれていた。対照的に、中東イスラム世界以外の歴史は、わずか1・5%にすぎなかった。
教授はまた、ソ連など社会主義国家に関して「アッラー(神)が創造した摂理に反したため、崩壊した」という説明があったことなどを挙げ、「客観性を欠く部分がある」と指摘した。
「教科書=テロ元凶」説について教授は、「異教徒と戦え、と書かれているわけではない」としながらも、「テロを行う人々は、歴史の教訓から学んでいない」と述べ、テロ抑止のため、より広い世界の歴史を学ばせるべきだと語る。
一昨年の米同時テロの実行犯19人中15人がサウジ人で占められたのを契機に、ジャルフ教授以外にも、ジャーナリスト、リベラル層などから「暗記偏重ではなく、判断力を育てるべきだ」(サウジ紙「ジャジーラ」ハーレド・アワド記者)といった教育改革要求が、徐々に出始めている。
政府内では、実質的政務執行者・アブドラ皇太子の外交顧問、ジュベイル氏が5月、「教育制度見直しを進めている」と述べた。
だが、米国の批判を受けて重い腰を上げた形の「見直し」が、どこまで実質的に進展するかは不透明だ。
宗教界の強い影響下にあるとされる教育省に、改革意識が浸透しているとは必ずしも言えない。
同省の北部カシーム州事務所長サーレハ・トゥエジリ氏は、「教科書がテロの元凶だというのは、ユダヤ人が仕組んだ陰謀にすぎない」と述べ、改革の必要性を全面否定した。(リヤドで 久保 健一)
(2003/6/5/00:44 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030604id26.htm