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携帯電磁波有害説の急先鋒だった科学者が死亡
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20030530205.html
Elisa Batista
2003年5月28日 2:00am PT 携帯電話がガンをはじめとする各種病気の原因になると信じている人たちは、科学界の支持派の中でも急先鋒の人材を失った。
ニュージーランドのリンカーン大学で環境保健の準教授を 務めていた生物物理学者、ニール・チェリー博士が24日(現地時間)、運動ニューロン疾患によって亡くなった。57歳だった。チェリー博士は科学者としての仕事の大部分を、携帯電話の放射する電磁波が使用者に有害だと示す研究論文の収集にあててきた。業界を相手取って有名な訴訟を起こしたり、脳腫瘍患者の側に立って証言を行なったこともある。
環境保健の擁護派や、電磁波を放射する機器を利用していたために自分が病気になったと信じている一般の人々など、チェリー博士を支持してきた人たちは、インターネット上で博士の死を悼んでいる。
ニュースレター・サイト『EMFオメガ・ニュース』の読者は、次のように語っている。「博士はご本人の病気にもかかわらず、電磁波研究に非常に熱心に取り組んでいた。また、病気にともなうハンディキャップにもかかわらず、無線電波によって重い病気に冒された私のような者たちのために、全力を尽くしてくれた」
「非常に高潔で勇気に溢れ、人々の健康のために戦った博士の人生は、世界をよりよい場所に変えてきた。通信業界が博士の信用を傷つけようと試みていたが、ものともしなかった」
携帯電話業界を相手取って8億ドルの損害賠償を求め、注目を集めていた訴訟を昨年、連邦地裁裁判官が棄却した(日本語版記事)。チェリー博士と賛同者たちにとっては大きな打撃となる裁定だった。この裁定で、キャサリン・ブレイク裁判官は、医師のクリストファー・ニューマン氏――携帯電話を頻繁に使ったのが原因で脳腫瘍になったと主張していた――が、裁判を正式審理に持ち込むだけの十分な証拠を持っていないと述べている。もしこの訴訟が法廷に持ち込まれていたなら、業界はもっと多くの訴訟に見舞われていたはずだ。
ニューマン氏の訴訟は結果的に棄却されたが、チェリー博士は、研究を続ける意欲を失わず、世界中で電磁波の危険性に対して人々の意見を変えさせる活動を続けた。
あるニュージーランドの初等学校が1994年にチェリー博士を招き、学校敷地内に建設計画が提案されていた携帯電話基地局用のアンテナ塔が、児童に健康面の影響を及ぼす可能性があるかどうかついて、情報提供を依頼した。博士は、このアンテナ塔が出す電磁波は、小さな子どもに有害な可能性があると述べた。
学校として提案を拒否したほうがいいという博士の奨めを保護者と学校側が受けいれ、投票の結果、校内のアンテナ塔建設案は否決された。
チェリー博士は長年にわたって、私財を投げうち、電磁波研究に関する各大学の研究論文を集めるために世界中を巡り歩いた。環境活動家たちの会合に数え切れないほど出席し、無線周波数の電磁波を放射するテクノロジーのほとんどすべて――レーダー、電力線、電子レンジ、テレビ・ラジオ局のアンテナ塔、携帯電話用のアンテナ塔、携帯電話本体――が人間に何らかのリスクを与えると示す研究を紹介した。
理想を言えば、携帯電話を利用せず、回線による通信だけに頼るのが望ましいというのがチェリー博士の立場だった。
「われわれ(人間)は、(携帯電話信号にとって)非常に優れた伝導体だ。このため、携帯電話信号のほとんどは、われわれの体を通りぬけ、実際に携帯用の基地局に届くのは、ごくわずかに過ぎない」とチェリー博士は、マイクロ波放射に関する会議で発言していた。
携帯電話の利用が長期的にどんな影響をもたらすかは、今のところ不明だ。しかし、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌と『アメリカ医学会雑誌』(JAMA)はどちらも、頻繁でなく短期間――5年以内――の携帯電話使用は、脳腫瘍の原因にはならないと結論付けている。米食品医薬品局(FDA)と世界保健機関(WHO)は、携帯電話が使用者の健康に有害だという証拠も、有益だという証拠も、存在しないと述べている。
[日本語版:湯田賢司/岩坂 彰]