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哲学クロニクル 第378号
(2003年6月2日)
今週の10冊、6月第1週
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恒例の、そしてかなりサボっている(笑)今週の10冊です。まず
グローバリゼーション関連の書籍をいくつかまとめてご紹介。
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○人間はどこまでグローバル化に耐えられるか
リュディガー・ザフランスキー著; 法政大学出版局; 1600円; 104; 03027341; 4-588-00774-2
ハイデガーの伝記など、日本でも多数の著書が翻訳されているザフランスキーが、
時事的な分析なども踏まえて、グローバリゼーションに「対処する具体的な方策」
を探るとか。ぜひ読んでみたい。
○ネオコンの論理 アメリカ新保守主義の世界戦略
ロバート・ケーガン著; 光文社; 1500円; 319.5303; 03027930; 4-334-96155-X
イメージが先行しているネオコンですが、やっと本格的に翻訳が始まって、検討
できるようになりました。山岡洋一さんの読みやすい翻訳に、福田和也さんが解
説をつけています。
○反ナショナリズム 帝国の妄想と国家の暴力に抗して
姜尚中著; 教育史料出版会; 1900円; 311.3; 03024275; 4-87652-430-0
アメリカ帝国が膨脹していくと、それに応じてナショナリズムの欲望が拡大する
という論集だそうです。
○イラクから北朝鮮へ 「妄想」の戦争
姜尚中著; 太田出版; 700円; 319.53021; 03027510; 4-87233-762-X
北朝鮮が攻撃されるようになると、「アメリカの妄想の戦争は歯止めなく拡大し
ていく」とみて、平和のための方策を探るのだとか。対談が主らしいですが。
**
○神認識と神奉仕 スコットランド信条講解
カール・バルト著; 新教出版社; 2400円; 191.8; 03024082; 4-400-30674-7
バルトによる1560年の「スコットランド信条」についての20回の講義。すでに著
作集の九巻で掲載されていたものですが、補足的部分も訳出とか。
○王の二つの身体 上/下
エルンスト・H.カントーロヴィチ著; 筑摩書房; 1500円; B311.23; 03024457; 4-480-08764-8
やっと出ました。長らく入手できなかった名著。早速購入しました。筑摩の学芸
文庫に感謝、感謝。
○ディルタイ全集 第3巻 論理学・心理学論集
ディルタイ著; 法政大学出版局; 19000円; 134.9; 03027364; 4-588-12103-0
これは紹介を引用します。「主著「精神科学序説」の成立に深く関わる論理学・
認識論・心理学・解釈学の講義と論稿を集成し、精神科学の構想と、その視点か
らする個別分野の知的革新の展望・理解に資する」のだとか。いつかじっくり読
んでみよう。
○西田幾多郎の憂鬱
小林敏明著; 岩波書店; 3500円; 121.63; 03028580; 4-00-024220-2
西田の評伝的な批評とか。「同時代の多彩な資料を駆使して克明に描き出される
哲学者の苦悩と格闘の人生」だそうです。これも読んでみたい。
○現象学を超えて
ディディエ・フランク著; 萌書房; 2800円; 134.9; 03028606; 4-86065-006-9
「身体と時間構成の問題」「存在と生けるもの」「現象学の対象」などの論文をまとめ
たそうです。
○事実性と妥当性 法と民主的法治国家の討議理論にかんする研究 下
ユルゲン・ハーバーマス著; 未来社; 3800円; 321.1; 03028028; 4-624-01163-5
法理論と正義論についての考察。やっと下巻がでました。
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本日は特別に、江戸期の思想史を専門とされる黒住真さんが刊行された
新刊『近世日本社会と儒教』をご紹介します。
○近世日本社会と儒教 黒住 真/著; ぺりかん社; 5800円 22cm 569
14p; 03021164
第一部で日本の江戸期の思想の概要を考察し、第二部で伊藤仁斎、第三部で荻生
徂徠の思想のユニークさを探る力作の一冊です。まず目次をごらんいただきましょ
う。
●第1部 近世社会の儒教
□徳川前期儒教の性格 1徳川儒教の多様と統一/2生々の内容と形/3実体性
の諸問題
□儒学の体系化−仁斎・徂徠の思想構築 1近世儒学と仁斎・徂徠の学/2近世
前期における「世」の発見/3伊藤仁斎と人倫/4荻生徂徠と動態の「世」/5
理想国家の構築
□儒学と近世日本社会 1近世的統一と思想形成/2儒学と社会的位置/3道徳
のゆくえ
□近世日本思想史における仏教の位置 1近世仏教への否定と排除/2近世にお
ける諸思想との連関/3仏教の働き/4社会倫理の形成論
□徳川儒教と明治におけるその再編 1徳川から明治へ−丸山モデルの訂正/2
徳川儒教の歴史と社会的位置/3徳川儒教の諸傾向/4明治維新−明治における
思想配置の変化/5儒教的道徳の要請/6学術の展開/7明治のイデオローグ−
井上哲次郎
□漢学−その書記・生成・権威 1漢語の支配と仮名の発生/2訓と訓読、和化
現象の背景/3権威の複数化と漢学/4近世漢学の広がりと混交性/5漢学の性
質と役割/6近代における漢学の運命
●第2部 伊藤仁斎
□伊藤仁斎の「道」−善定立の姿にみる 1道の顕現−尭舜と孔子/2道の否定
−異端の諸形/3議論と徳行、虚と実/4存在の生と死
□伊藤仁斎の思想と詩歌 1六経の世界/2人情と詩/3詩の表現−無窮、平易
・俗および難・巧・雅/4詩の構成−真と偽、事実
□伊藤仁斎の倫理−基底場面をめぐって 1生生持続する道徳/2教学と聖人/
3異端と虚無
●第3部 荻生徂徠
□活物的世界における聖人の道−荻生徂徠の場合 1「天」と「聖人の道」/2活物観と「道」の定位/3「聖人」と主体の位階/4聖人の「作為」 徂徠学における「道」の様態 1主体の活動としての「道」/2「物を以てする」道/3「道」の体系/4「制度」としての「道」/5道の構成性と限界
□荻生徂徠−差異の諸局面 1南総体験とその方法化/2存在の多様性/3和と
同−生への敬畏
□徂徠学の基底−学と主体の「大」「小」 1徂徠学形成と文学・歴史/2学問
の「大」と「小」/3「大」なる学問−歴史と詩文/4「大」を成す倫理/5
「大」なるものと「信」
□荻生徂徠の人間論に向けて 1道における人/2天地と人の営み/3自然と和
する作為/4人の在りさま
□初期徂徠の位相−出自・流嫡・志向 1徂徠の出自/2南総体験の意味/3志
向する世界
□『訳文筌蹄』をめぐって 1日本儒者と言語問題/2『訳文筌蹄』関連の諸テ
クスト/3『訳筌初稿』とその刊行
目次をごらんいただいてもわかるように、とても読み応えのある研究書で、お勧
めです。第一部は通史のように読めますし、随所で丸山さんのかつての名著
『日本政治思想史研究』の批判的な考察も行われていて、参考になります。
近代思想史の久々の本格研究書ではないでしょうか。
哲学クロニクルでも近く、「著者と語る」のコーナーで、著者の黒住さんにお話
をうかがう予定です。お楽しみに。
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(c)中山 元
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