現在地 HOME > 掲示板 > 戦争34 > 523.html ★阿修羅♪ |
|
【ワシントン中島哲夫】米英とスペインが21日、対イラク制裁解除の最終決議案を国連安保理に提出したのに続き、仏露独3国の外相がこの決議案支持を表明して、22日の採択が事実上確定した。イラク戦争の戦闘終結という既成事実を前に、双方が歩み寄った典型的な「妥協の産物」だ。これで局面が変わり、6月初めにフランスで開く主要国首脳会議(エビアン・サミット)では前向きの論議が演出されることになろう。
米国などは決議案を3度にわたって修正した。イラク復興のためには譲歩もする、という姿勢を見せたわけだ。
一方、仏露独は国連が主要な役割を果たすべきだという主張を変えるわけにはいかないものの、イラク国民を苦しめてきた制裁の解除に反対し続けるのも具合が悪い。形作りを求めていたというのが真相だろう。
査察再開をめぐる「玉虫色」の妥協は、最も分かりやすい形作りの実例だ。米政府は国際原子力機関(IAEA)に、イラク中部ツワイサにある核施設の共同調査を提案した。バウチャー国務省報道官によると、20日から21日にかけてエルバラダイIAEA事務局長と「真剣な議論」が続いた。米高官は「たぶん1週間」以内に交渉は妥結すると言う。
バウチャー報道官は、この調査は核物質略奪の有無を確認するためであり、開戦直前まで続いていた大量破壊兵器捜索のための査察とは違うと強調した。仏露独が求める「査察再開」ではないという主張だ。
これだけでは仏露独は受け入れにくいが、米国は2度目の修正決議案を出した時点で将来の査察再開に含みを持たせる条項を加えた。国連の役割を尊重しているという言い訳になる。
パウエル米国務長官は21日、サミットに向けた外相会合のためパリに出発した。国務省が明らかにした主要議題はイラク復興、中東和平のための「ロードマップ」、「テロとの戦争」、イランや北朝鮮の核問題など。すべて米国が中心になる課題だ。
双方が歩み寄ったとはいえ、結局は米国主導の世界秩序を強める方向の流れと言える。
[毎日新聞5月22日] ( 2003-05-22-14:24 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030522k0000e030080000c.html