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イラク戦争に反対し、対米関係が悪化したドイツが孤立を深めている。16日のパウエル米国務長官訪独に局面打開の期待をかけたが、主要国首脳会議(エビアン・サミット)での米独首脳の個別会談さえ設定できず、落胆が広がった。対イラク制裁解除決議案への同意を打ち出したが、米国にすり寄ると戦争への慎重姿勢で結束してきた仏露との関係が悪化するジレンマもある。【ベルリン斎藤義彦】
●凍った会談
「会談は凍った雰囲気だった」(ヴェルト紙)。ドイツのマスコミは16日のパウエル長官とシュレーダー首相の会談を一斉に皮肉った。共同会見は約3分であっさり終了。握手も1回だけで、首相は終始、苦々しげな表情を変えなかった。
首相の不機嫌の原因は米国の冷淡な態度にある。ブッシュ米大統領は15日、ホワイトハウスで独野党キリスト教民主同盟(CDU)のコッホ・ヘッセン州首相と予定外の会談を行なった。シュレーダー首相と大統領は約半年間、電話さえしていない。「これは侮辱だ」(首相府スポークスマン)と首相側は激怒した。
パウエル長官はイラク戦争をめぐる米独の対立を「深刻で見過ごすわけにはいかない」と米国がドイツを許していないことを強調。「罰ではない」としながら約20万人の在独米軍の撤退の可能性を認め、首脳同士の個別会談設定も拒否した。
●揺れる態度
「フランスか米国か、どちらかを選ぶよう強要しない」。パウエル長官は訪独の際、こう述べたが結果はドイツが「米国か欧州大陸か」の選択の踏み絵を踏まされている。首相は、米国が提出した制裁解除決議案に賛成する意向を表明、一気に米国寄りに転じようとした。ところがロシアもフランスも「決議案には相当な改善が必要」と疑問を示している。さらに「反イラク戦争の枢軸から抜けようとしている」(仏のAFP通信)と批判を浴びた。
ドイツも動揺を見せ、フィッシャー外相がシュピーゲル誌(19日発売)のインタビューで「決議案は合意の基盤であって国連の役割や大量破壊兵器について触れる必要がある」と、ドイツとして賛成を保留することもありうることを示唆した。
経済状態の悪化でシュレーダー政権の支持率は約30%(17日のドイツ第1テレビの世論調査)に低下し、外交しか得点できる分野はない。しかし反米意識が強かったドイツ世論も、7割程度が米国に好意を示す(同)など世論も微妙に変化し、政権とのかい離を見せ始めている。同政権は八方ふさがりの状況に陥りつつあるのが実情だ。
[毎日新聞5月20日] ( 2003-05-20-22:06 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030521k0000m030128000c.html