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【ジャカルタ=黒瀬悦成】インドネシアのメガワティ大統領は19日、分離独立問題に揺れる同国スマトラ島北端のナングロアチェ・ダルサラム州に軍政非常事態宣言(戒厳令)を布告するとともに、独立派武装組織「自由アチェ運動」(GAM)を掃討する軍事作戦を発動するための大統領令を出した。同州に展開済みの約4万5000人の国軍・警察部隊は、ただちに作戦行動に入った。
国軍報道官によると、国軍部隊は19日、州都バンダアチェから約20キロにあるGAM拠点にロケット攻撃を開始。GAMの報道官も攻撃を確認した。国軍の空てい部隊も同州に降下、展開を始めた。
戒厳令と大統領令は、東京で17日から行われていた政府とGAMとの直接対話が18日深夜に決裂したのを受けて出された。
戒厳令は、19日午前零時(日本時間同2時)に発効。これにより、ナングロアチェ州は国軍の管理下に置かれ、軍は現場での作戦行動や治安維持活動に関し、事実上の自由裁量を得ることになる。
インドネシアでの戒厳令の布告は、併合下の東ティモールで1999年、独立の是非を問う住民投票が行われ、併合派民兵が騒乱を起こした際にハビビ政権が実施して以来、4年ぶり。
アチェ紛争では、過去27年間で民間人を含め1万人以上が死亡した。今回の軍事作戦は独立後最大の規模とされ、約5000人といわれるGAM部隊との間で、戦闘がこれまで以上に激化するのは確実だ。
治安当局は19日、現場の和平交渉担当者だったGAM幹部ら5人を、「過去のテロ活動に関与した」として州都バンダアチェで逮捕するなど、早くもGAM制圧活動を本格化させている。5人は16日、東京での直接対話に向かう直前に身柄を拘束された後、翌日釈放されていた。
(2003/5/19/14:48 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030519it03.htm