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保存版:週刊ポストマルクス・ベンスマンのアンサール・イスラム報告「小麦粉と洗剤?」(4/18号)
http://www.asyura.com/0304/war34/msg/327.html
投稿者 YM 日時 2003 年 5 月 17 日 23:35:14:gOTvopzJQci7w

*(引用者注)http://www.weeklypost.com/jp/030418jp/brief/opin_1.html">週刊ポストのサイトからこの記事が消えたので,保存用として投稿しておきます。アンサール・イスラムの「化学兵器工場」についての数少ないルポです。


『週刊ポスト』2003/04/18号
「嘘と誤算」のイラク戦争総力追及第2弾
イラク潜入報告 本誌特派マルクス・ベンスマンが
「ビンラディンの影と化学兵器工場」に迫る

バグダットの首都決戦に注目が集まるなか、イラク北部情勢が風雲急を告げている。本誌が特派したドイツ人ジャーナリスト、マルクス・ベンスマン氏は、イラク北東部のイスラム原理主義組織の拠点地域に潜入した。そこでは米軍が「大量破壊兵器」と「ビンラディンの影」を躍起になって捜索している。彼の地で見えてきたもの──それはやはり偽りのイラク戦争の実態だった。


はるか彼方にイラクとイランを隔てるシャムイラン山地とスレイン山地の稜線が望める。雪で白く覆われた山頂は、青く広がる空の下で鮮やかに浮かび上がっている。近景に目線を移すと、緑の草原では羊の群れがのんびりと草を食んでいる。しかし、こののどかな自然とは対照的に、ここハラブジャの街の周辺では、2日前まで苛烈な戦闘が行なわれていた。
今も数百人のペシュメルガ(クルド語で「死を恐れない者」=クルド人兵士)がPUK(クルディスタン愛国者同盟)の司令部の建物を取り囲むように警戒態勢を敷いている。この建物は現在、PUKと友軍関係にある米軍特殊部隊の臨時司令部も兼ねる。
イラン国境までわずか約20キロ、イラク北東部のハラブジャは、イラン・イラク戦争末期の88年にイラク軍の毒ガス兵器で攻撃され、約5000人のクルド人が死亡したとされる街だ。そしてその後、この街からイラン国境に至る約400平方キロメートルの山岳地帯は、つい先日まで、イスラム過激派「アンサール・イスラム」の支配地域だった。
アンサール・イスラムは、クルド人宗教勢力の中心的存在である「クルド・イスラム運動」から分派したイスラム原理主義組織。クルド人のほか、アフガニスタンで旧ソ連軍と戦ったアラブ人、さらにアルカイダの残党も合流しているというのが米国の主張だ。実際、パウエル米国務長官は今年2月、国連安保理外相会議で、アンサール・イスラムをフセイン政権とアルカイダの「邪悪な関係」の「仲介役」と位置づけ、さらに化学兵器製造工場も有していると説明している。
3月30日、ハラブジャ近郊の山岳地帯にあったアンサール・イスラムの拠点を、米英軍とPUKクルド人部隊が制圧した。700人程度の兵力しかないアンサール・イスラム制圧作戦のために、100発以上のトマホークミサイルと米英軍、そして1万人を超えるペシュメルガが投入された。激戦を物語るように、私が訪れた山岳地帯の道路の両側には、砲撃で破壊し尽くされた装甲車やジープの残骸が並ぷ。
米軍がそこまでこの地の完全制圧にこだわった理由は、彼らがここで「大量破壊兵器」である生物・化学兵器を発見し、「ビンラディンとフセインの関係」を証明しなけれぱならなかったからだ。
成果はあった。
「山岳地帯をこれほど素早く占領できる軍隊は、世界でもペシュメルガ以外にはない」
制圧に気を良くした米軍特殊部隊の将校はまず友軍を褒めたたえ、こう続けた。
「今回の制圧作戦によって、数百人のアンサール・イスラム兵士が命を落とした。捕虜にした兵士のなかには、アフガニスタンにいたことを供述した者もいる。さらに重要なのは、山岳地帯の地下につくられた化学兵器工場らしき施設を発見したことだ。専門チームがその施設で『サンプル』を入手し、目下、詳しく分析している」
しかし、この将校は、入手したサンプルが具体的にどのようなものなのか、工場で採集した残浮なのか、化学物質の入った容器なのか、あるいは既に爆弾の形になっているものかとの質問には、ついに答えようとしなかった。

〃化学物質〃は小麦粉と洗剤?

アンサール・イスラム制圧の成果については、マイヤーズ米統合参謀本部議長も米CNNテレビのインタビューで、次のように公表した。

「アンサール・イスラムの毒物製造工場とみられる地下トンネルが多数ある大規模な施設が発見された。今年1月にロンドンで、生物兵器テロを計画していた容疑で逮捕されたアルジェリア人が所有していた植物性の猛毒リシンは、この施設で製造されたものとみている」
ところが、PUK兵士の情報提供者から私が聞いた話は、米国側の主張とはまったくかけ離れたものだった。その協力者が匿名を条件に語ったところによれば、アンサール・イスラムの地下施設で〃化学物質〃として発見されたものは、実は小麦粉や洗剤だと判明しているというのだ。もちろん、現段階ではどちらの話が正しいのか確認できないが、常に米軍が〃真実〃を発表しているわけではないという疑念は、この地の取材でますます強まる──。
米英軍およびPUKペシュメルガは、アンサール・イスラムの拠点制圧に続いて、北部の要衝都市キルクークを窺っている。しかし、そうしたPUKの動きに危倶を強めているのが、国内にクルド人勢力を抱えるトルコだ。仮にクルド人勢力がキルクーク油田という膨大な収入源を得れば、トルコ国内でも一気にクルド独立運動が活発化するのは、それこそ火を見るより明らかだからだ。ペシュメルガによるキルクーク侵攻が、クルド人自治区へのトルコ本格介入の分水嶺となる可能性は極めて高い。
現時点ではPUKのタラバニ議長はキルクークヘの侵攻の可能性を否定しているが、PUKの本拠地スレイマニヤでペシュメルガのひとりはこう断言した。
「われわれの指導者が独立国家建設の意思がないと表明しているのは駆け引きに過ぎない。自由と独立を求めていないクルド人などいないし、キルクークが制圧できれば、それを勝ち取るために必要な全てのものを得ることになる。私はイラクのパスポートは既に燃やしてしまった。われわれに残された道はたった1本、自由クルディスタンに続いている道だけだ」
戦争のどさくさに紛れて、さまざまな利害が主張され、戦況をより複雑なものにしている。

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