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【バグダッド小倉孝保、竹之内満】イラクのフセイン政権が崩壊してから9日で1カ月。毎日新聞はサダム後の新政権樹立への主な課題について有力9政党に聞き取り調査をした。各政党は「連邦共和制」「民主憲法」という大枠でほぼ一致しているものの、暫定政権の代表選出や米英軍の駐留期間など具体的な問題で意見が対立。米国主導で暫定政権ができたとしても、内部紛争の火種が当面、残りそうな情勢を浮き彫りにした。
調査は9政党を対象に今月5〜7日実施、「共和制」や「イスラム憲法」の是非など5項目について質問した。
大統領を元首とする、新国家の「共和制」維持については、「長年の共和制を変える必要はない」(クルド民主党・KDP)との意見が大勢だった。ただし、有力な元首候補者が存在しないのは事実で、米国が暫定政権の指導者候補に想定するイラク国民会議(INC)のチャラビ代表について、「チャラビ氏の就任には断固反対」(イスラム和解運動スポークスマン)など、「拒否」を明言する政党が複数に上った。代表選出をめぐる波乱は必至のようだ。
また、「連邦制」の導入については、県など行政区で分けるか、民族別とするかなど、枠組みの問題を巡り温度差があるうえ、「イスラム和解運動」などは「権力分散は望ましくない」と消極姿勢だった。ただ、フセイン政権下で自治を確保してきたクルド人勢力の間では権利保障を主張する意見が強く、連邦制が支持される可能性は強い。
憲法に関しては、当初、イスラム法による憲法制定を主張していたイスラム教シーア派の「イスラム革命最高評議会」(SCIRI)が、先月28日の政権協議に復帰。新憲法を「国民投票で決めるのが最適」とし、態度を軟化させている。背景には、党として政権作りに関与したいとの思惑があるとみられ、「民主主義」「信教の自由」を核にした新憲法の制定に障害は少ないと見られる。
一方、イスラエルとの関係正常化では、クルド愛国同盟(PUK)が「パレスチナ問題が解決すれば平和条約締結」と前向きな意見がある半面、イスラム和解運動は「まったく考えられない」と反対した。米国主導の政権協議を拒否しているイスラム教シーア派政党「アッダワ党」(IDP)は「ユダヤ主義国家との関係は拒否」とするなどイスラム政党を中心に反対が根強い。
また、米軍の駐留期間を巡っては、「2年程度」(INC)、「イラク軍による国防体制の確立後」(INA)、「数カ月以内」(アッシリア民主化運動・ADM)など意見はバラバラで、暫定政権発足後の対立の火種となりそうな問題であることが分かった。
先月28日の反フセイン派会議は「4週間以内に暫定政権発足のための全国会議を開くことために全力を挙げる」ことで合意した。一部政党幹部によれば、国家体制や新憲法の問題について、現在、INC、KDP、PUK、SCIRI、INA(イラク国民合意)の反フセイン主要5党が、専門家を交え事務レベルで協議中という。
全国会議は、政党代表に元官僚や亡命知識人、部族長らも加えた400人規模で開催され、その場で代表を選出、主要閣僚を指名し正式に暫定政権が発足する予定だ。
[毎日新聞5月10日] ( 2003-05-10-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030509k0000m030107000c.html