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【エルサレム樋口直樹】シャロン・イスラエル首相は8日、00年1月に中断した隣国シリアとの和平交渉について「前提条件無しに交渉を始める用意がある」と発言した。イラク戦争の軍事的勝利を背景に米国がシリアへの圧力を強めた結果、シリア側からパレスチナ問題などで譲歩の兆しが見えてきたためだ。しかし、政権内にはシリアの真意を見定めるべきだとの見解もあり、シャロン首相は米国の外交圧力が一層の効果を上げるまで、数週間は交渉入りを見合わせる構えだ。
シャロン首相は同日テレビ放映されたインタビューで、「シリアは我々に要求があるだろうし、我々の側にもある。我々にはこうした問題を議論する用意がある」と言明した。しかし一方で「シリアやレバノンに対する米国の圧力を妨げないため、数週間待つべきだとの結論に達した」とも語り、交渉再開の時期に含みを持たせた。
戦後イラクの民主化を手始めに、中東和平の早期決着を目指す米国などは、和平実現への道筋を示す「ロードマップ」(指針)を示すとともに、対米・イスラエル強硬派であるシリアへの政治的圧力を強めてきた。
3日、シリア入りしたパウエル米国務長官はアサド大統領に対し、シリアの影響下にあるレバノン南部で対イスラエル武力闘争を続けるシーア派民兵組織ヒズボラへの支援停止や、シリア国内に拠点を置くパレスチナ過激派組織の事務所閉鎖などを強く迫った。
これに対し、シリアの首都ダマスカスに本部を置く過激派組織パレスチナ解放人民戦線総司令部派(PFLP・GC)のジブリル議長が、ダマスカスの事務所を閉鎖する用意があると発言。これを受けシリア外務省も7日、「地域の平和を実現する時が来たと信じる」との声明を発表し、イスラエル側に和平交渉再開を呼びかけていた。
67年の第3次中東戦争でイスラエル軍にゴラン高原を占領されたシリアは、99年12月から当時のクリントン米大統領の仲介でイスラエルと和平交渉を再開。しかし、ゴラン高原の返還問題をめぐる対立が解けず、00年1月に交渉を中断したままになっている。
一方、ヒズボラ政治部門のナスララ党首は対イスラエル闘争をやめるつもりがないことを強調。シリアもゴラン高原の全面返還を求める構えを崩していない。
また、イスラエル内にも外務省を中心にシリアに無条件での交渉再開を求める声があるほか、レバノン南部の情勢をさらに見極めるべきだとの軍部の慎重意見も根強く、交渉再開にはなお曲折も予想される。
[毎日新聞5月9日] ( 2003-05-09-10:06 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030509k0000e030009000c.html