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菅直人VS小沢一郎「日本を救え!」「小泉政権では日本は“火の海”になる」「次の総選挙で我々が必ず倒す」
http://www.asyura.com/0304/war33/msg/809.html
投稿者 小耳 日時 2003 年 5 月 07 日 19:51:33:

weeklyポスト・ドットコム 2003年5月9.16日号
http://www.weeklypost.com/jp/030516jp/index/index1.html

<TWP/GW特別企画・2大対談>対談PART1
菅直人VS小沢一郎「日本を救え!」
「小泉政権では日本は“火の海”になる」
「次の総選挙で我々が必ず倒す」

●「9・11テロ」「イラク戦争」で変わった世界アメリカとどう向き合うか

(1) アメリカの孤立化は日本外交の失敗

菅「イラク戦争は新しい21世紀の世界の、ある種の枠組みが変わることになったのではないかと思っています。冷戦後のアメリカは一つの超大国になったけれども、この10年は国際的な協調を前提にしてきた。今回はアメリカが独自に判断して行動した。極端 にいえば、他の国が賛成しようが反対しようが、物事が大体アメリカの思う方向に動くという、結果も含めてそういうことになりつつある。従来とは違うアメリカに変わろうとしている。
 そのアメリカとどう向かい合うかが世界のあらゆる国にとっての課題になっているんじゃないか。日本やイギリスのような同盟国もそうだし、北朝鮮やシリア、イランなど敵対する国にとっても、イラク戦争を機に、ポスト冷戦時代、さらにはポスト・ポスト冷戦時代の新しい考え方を求められている」
 
――小沢さんは、アメリカを孤立させるな、孤立化は日本外交の失敗であると主張してきた。イラク戦争は、アメリカ問題でもあるということをどう思うか。

小沢「アメリカは今までも独善的なところがかなりあったが、唯一の超大国になったことで、それが余計強くなってきている。やっぱり『9・11』でしょう。アメリカ本土を直接やられた精神的影響が大きかった。だからこそ、僕は、日本は本当の意味の同盟国として役割を果たさなければいけなかったんだと思います」

――日本の役割とは何か。

小沢「同盟とは、対等の関係であって、一方が他方に従属することではない。対等である以上、やることも、やれる範囲においてだけれども、対等にしなければいけない。ところが、日本政府は(イラク開戦に)徹底的に反対する立場でもなければ、同盟国として(軍事行動も含めて)対等にやるという立場でもなく、何が何でも国連に全面的に協力するということでもない。何もできない、何もやらないという立場だ。
それがアメリカに孤立的な、独善的な行動をとらしめる結果になった」


●「9・11テロ」「イラク戦争」で変わった世界アメリカとどう向き合うか

(2) 小泉さんの言葉からは何もない

――小泉首相は、国連よりも日米同盟重視のほうが国益になると説明したが、今は国連による復興支援に軸足を変えている。

菅「そこがよくわからない。必ずしも国連に戻りつつあるともいえない。ORHA(イラク復興人道支援室)は、国連とは関係がない。日本もアメリカの武力行使に賛成したのだから、アメリカ主導の復興にも参加してくれ、場合によったら、山分けの一部くらい配慮してやるから、お前も入ってこいよと誘われているわけです。では、その立場でいくのか、いや、国連を中心に仕切り直しをしようというのかは、小泉さんの言葉からは何一つ出ていません」
小沢「問題は、小泉さんだけでなくて自民党政権です。何の原則も考え方もない。今回はアメリカがどうしてもやるということだから、じゃァ支持する以外ないなと。(日本は)戦争には何も関係しないのだから、どうせ口先だけだから、(支持を)いっただけ得じゃないかと。それが彼らのいう日米同盟優先論なんですよ。今の自民党政権では、経済でも国際問題でも、特に北朝鮮となったら対応できない。だから日本は、政権を変える以外にない」

――中国はどうか。あなたは小泉首相に先駆けて、日本の政治指導者として初めて中国の新指導部と会談した(4月15〜17日訪中)。

菅「中国は、いってることは仏独ロと似ていたが、多分、(米英スペインのイラク武力行使決議の採決で)拒否権発動はしないつもりだったと思う。そのことをアメリカに伝えていたかもしれません。中国は、20年後にGDP(国内総生産)を4倍にするという目標を達成するためにも、いろんな意味においても、アメリカとの軍事的対立は一番避けたい課題です。
『9・11』の時も、エッというくらいにアメリカに協力的な姿勢を示して、ブッシュ政権の反中国的な姿勢を変えさせた。
 ですから、各国がアメリカの変化を見据えている時に、小沢党首のいわれるように、わが国も戦略を持たなければいけない。軍事だけでなく、イラクの石油でも、アメリカはいろんなことを始めている。日本も、考えるべきです」


●独裁政権と話し合えるか
「北朝鮮制裁」はやむを得ない

(1) 「狂気の独裁政権とは話し合い解決は無理」

――菅さんは、北朝鮮の核開発を始めとする脅威を、“日本にとってのキューバ危機”と指摘したが。

菅「日本の主権が回復して以来この50数年間でいえば、私は、直接的な軍事的脅威という意味では、初めて遭遇する状況だと見ています」
小沢「イラクであれ、北朝鮮であれ、どこであれ、狂気の独裁政権との話し合いには限度があると思う。
僕がそういうと話し合いを拒否しているみたいにいわれたり、勘違いされたりしては困るのだけれど、歴史上も話し合いで解決した例はないんですよ。話し合いはするけれども、最終的には力による制裁もやむを得ないというのが僕の説です」

――叩き潰すしかない?

小沢「その場合は、武力を使う前に国際社会のコンセンサスを得なければならない。そうしないとリンチになってしまうという議論ですが、北朝鮮の体制は、狂気の独裁権力体制といってもいい。だから、いくら話し合いを続けても、結果的には、軍事力を中心にした、あるいは、それを話し合いの手段とする彼らの国家体制はなかなか変わらないと思います。一方で、巨額の軍事費を使っているから、経済的な貧困の問題が一層深刻になる。僕はいずれこれは、(北朝鮮の国内外の)紛争として弾ける時が来るんじゃないかという気がします」

――最近、日本国内で北朝鮮の軍事的脅威に対抗する議論が高まっている。

小沢「日本は、ひとごとじゃないという話になって、それ飛行機だ、ロケットだと。しかし、日本もつくればいいとかいうことではないと僕は思うんですね。日本が本当に自分自身で平和を守るということ、国民自身がその意識を持つこと。その前に、日本の平和を守るためには、他の国の平和もお互いに協力して守るという意識の確立が大事です。それがないと、いくら兵器を持っても、おもちゃの兵隊をいくら集めたってどうしようもない。日本が直接攻撃を受けた時は、自衛権の発動となり、日米安保でアメリカがどこまでやるかは別にしても、日本のとるべき行動は常識的には決まっている」

――それ以外で紛争・動乱となった場合はどうするのか。

小沢「そうなると日本は無原則な対応をしがちだが、そういう事態にもどうするかという原則、基準、ルールを持っていなければならない」
菅「北朝鮮問題というのは、大変なクライシスだと思っています。ただ、冷戦が崩壊した時、アジアだけは何となく冷戦の雰囲気が残されてきた。共産中国があり、北朝鮮がいて、ベルリンの壁の崩壊のように、ガラッと変わった雰囲気がなかった。その後の10数年で、中国も韓国も変わった。北朝鮮の問題が解決できれば、この地域は、安全保障と経済の両面で大きな可能性を持っている」


●独裁政権と話し合えるか
「北朝鮮制裁」はやむを得ない

(2) 「ミサイル防衛構想を議論せよ」

――ただし、金正日体制が重大危機に陥った時に、破れかぶれの行動を起こす危険性も否定できないのではないか。
菅「もちろんそうです。そこが一番危機なんです」
――菅さんは、アメリカが進めている弾道ミサイル防衛構想(BMD)に日本が参加を検討する余地があると、また北朝鮮のミサイル攻撃を念頭に、敵地攻撃能力を持つことも議論すべきだと、2つの発言をして波紋を呼んでいる。菅「いっていることが小沢さんと逆じゃないかといわれたが(笑い)、かつてのSDIの時と違って、最近は迎撃ミサイル・パトリオットが日本の防衛に役立っているという話もあり、(テポドンが)日本列島を越えて飛んできた経緯もあるから、現実にそういう危機を感じている以上、BMDの研究開発を検討したほうがいいと慎重にいったつもりなんです。専守防衛でどこまでできるかという議論は、30〜40年前からある。日本がミサイル攻撃を受けたらどうするんだ、反撃するのか、降伏するのかと聞かれたから、自衛権の行使で反撃するし、アメリカ軍も日米安保条約からすると当然反撃すると思うと答えた。ただ、現在、日本には反撃能力はなく、法律的に何が可能なのか議論さえもしていない」
小沢「北朝鮮は、内部崩壊するのがベストです。中国もあそこで紛争が起きることは非常に嫌うでしょう。民族問題を抱えているから。同時に、平和な統一朝鮮も困るという意識もあると思う。恐らく将来展望はないけれども、現状維持を望んでいるだろう。その意味で、中国やロシアのいろいろな働きかけが重要だ。菅さんがいわれたように、朝鮮半島、中国大陸、極東ロシアを含めて、日本と政治的にも経済的にも密接な関係を持った地域としてうまく機能すれば、将来、ものすごい安定と発展が見込める。一番のネックは、やはり北朝鮮と、僕にいわせると中国ですけれど、話し合いを含めて、ベストの方法で解決する必要がある」

――BMD参加や敵地攻撃能力を持つべきかどうかは?

小沢「軍事的なテクニカルなことは、全然大したことはない。私は彼らは核兵器を持っていると確信していますが、弾道ミサイルに搭載できるような核は持っていない。技術的に難しいから。もし(北朝鮮が)日本を攻撃してきたらその時は、完全に自衛権の発動であり、国家間の戦争になる。しかし、北朝鮮は、そういうやり方ではなく、やはりテロをやってくると思う。日本は真っ先にテロの攻撃目標になる。しかも、テロというのは、(誰が仕掛けたか)わからないから、それを理由にして(日本が)バーンと反撃できるかというと非常に難しい。国家間の戦争になったら(北朝鮮は)やっつけられると思っているから、日本人の肝を冷やさせる、あるいは、紛争危機の心理を醸成させるようなテロをやるだろう。今のままでは日本はテロの海になる危険性がある。少なくとも政治の場で対応を整理しておかなくてはいけない」


●「核開発」を止めさせられるか
北朝鮮危機に「5項目提案」

――日本抜きの3か国協議をただ見守るしかないということか。

菅「私は中国にも提案したのですが、北朝鮮問題のソフトランディングの方法として、(1)北朝鮮が核開発を放棄する(2)北朝鮮が日本人拉致事件の徹底解明を約束する(3)アメリカは軍事力によって金正日体制を転覆させない(4)日本は国交回復後の経済支援を約束する(5)韓国は南北交流・支援を深める、の5点のパッケージがある。中国側は、北朝鮮のこともよく考えた提案だと基本的に賛成のニュアンスだった。ですから、日米韓と中国が、本当に連携して北朝鮮を抑えにかかれば、大きな効果が期待できると思います」

――日本は3か国協議から外されたと見るべきか。

小沢「意見のない国を入れたってしようがないんです。黙っているだけで話さないんだから。国際会議に行くと、日本人は全然しゃべらない。役人が書いた差し障りのないペーパーだけは読むけれども、政治的な問題で、日本のリーダー、総理はもちろん誰も話さない。だから最初から相手にされない。北朝鮮問題では、日本も関係するから、おざなりに呼ばれる可能性はあるかもしれないが、核心の話には入れてもらえないだろう」

――菅さんの提案はどうか。

小沢「大賛成です。問題は、核開発になるわけですね。北朝鮮に核開発を止めさせるには、少なくともイラクと同じ程度の査察はやらなければならないが、それはなかなか難しいのではないか。アメリカもイラクと違ってやりたくない。朝鮮動乱で懲りてますから。
だけど、体制が体制だけに、査察は徹底してやらなければいけないと思う。
 核兵器は、ウランの遠心分離の濃縮技術さえあれば簡単に持てる。当然、より兵器化したものも開発しているだろうが、それを全部査察させるのかどうか。査察をさせないという状況になった時には、経済制裁から入るだろうが、中国やロシアの立場は複雑だ。
 ただし、僕は小泉さんにもいったんですが、軍事力以外では日本が一番カードを持っている。万景峰号の積み荷検査さえしていないから現金を持っていこうがまったくわからない。兵器に応用できる機器が日本から数多く渡っていることも間違いない事実です。日本は対北朝鮮制裁カードを持っているけれども、北朝鮮は経済制裁は宣戦布告と見なすといっている。経済制裁は最悪の事態を覚悟しないとできることではない。
 現時点では、とにかく自然崩壊を待つか、話し合いで解決するかと期待する以外にないけれども、常に最悪の事態を想定しておかないと大変なことになると思っています」


●官僚「縦割り行政」の弊害がここにも
「有事法制」はこう作るべき

――有事法制と北朝鮮クライシスは表裏の関係か。

菅「有事法制があるから防げるとか、ないから防げないという問題でいえば、北朝鮮とは直接的関係はありません。北朝鮮問題は、今まさに、煮えたぎっている最中にあって、まずは外交交渉、さらには軍事的な圧力を含めていかにうまく抑え込んで、最も望ましくは、平和的にソフトランディングさせるかということですからね。有事法制はあくまで、今現在は戦争状態が何らかの形で起きた時にどう対応すべきかという法律がないので、結果的に超法規的になるだろうということで、それに備えたルール作りをやることなんです。
 日本の有事に対する対応は100%失敗するんです。なぜかというと、全部の権限が省庁ごとの縦割りだからです。いざという時、総理大臣を座長にした全閣僚会議みたいなものを作るわけですね。大体、閣議というものがすべて官僚の御膳立てに沿って動いていて機能していないのに、全閣僚会議を作ってみても、機能するはずがなく、仕組みだけになっている。現状では、緊急事態での国民の権利をどう守るかとか、有事に備えたルールがまったくできていません」
小沢「われわれは1年以上前にイギリスに行って、危機管理、非常事態への対処を勉強してきた。イギリスには戦時内閣制度があるが、宣戦布告による戦争という形態だけではなく、テロもあるし、自然災害による非常事態もある。自由党はそうしたあらゆる非常事態に対処する非常事態対処基本法案を作って、国会に提出しています。日本は、憲法を含め、そうした非常事態の規定が皆無なわけですね。行政組織上も非常事態に対処する組織がない」
菅「自民党には、縦割り官僚を調整する能力がない。だから今回も、有事関連法案といいながら、自衛隊関係の法案しか出てきていない。自衛隊と警察、海上保安庁はどうするのかという問題になると、役所間の役割分担ができていないから、それは2年後に先送りですという」

●戦争で救われる小泉内閣
「経済無策」が続いていいのか

(1)菅「小泉に見切りをつけたとき」

――有事だけでなく、株価を始め経済の閉塞感は、日に日に深刻化している。いつまで小泉政権なのか。

菅「小沢党首は最初からだったかもしれませんが、私が小泉政権に見切りをつけたのは、一昨年暮れでした。道路公団民営化問題などをめぐって自民党内が猛烈に抵抗した時に、当時の鳩山由紀夫代表が党首討論で『改革断行なら応援する』という意味のこともいったし、小泉総理のほうから(民主党と)一緒にやってもいいというようなことをいわれた時期もあった。しかし、実は、党首討論でそういうやりとりをした前の日には、総理と抵抗勢力との間で全部話ができていたわけです。私自身は、その前に小泉さんの改革は怪しいということがわかっていましたが、あえていえばその時に100%見切りをつけました」

――政権戦略の成否が問われている。

菅「小泉内閣がそういう状況にありながら、野党が国民から“お前たちが代われ”といってもらえないのは、私たち自身にも大きな責任があります。今、小沢党首のところといろんな話をしていますが、私も決して次の次なんてことじゃなくて、あくまで次の総選挙で自民党政権を倒すということです。それこそ、経済も外交も変えていく最初の第一歩です。それを実現する上で、最も可能性の高い形を自由党と協力して選挙までにきちっとした体制を作りたいと思っています」

――ラストチャンスですか、始めの一歩ですか。

小沢「小泉さんは、何の哲学も戦略も政策もないという意味で、自民党のなかでも際だって典型的な人物ですが、自民党そのものが空っぽ、何にもないんです。あるのは官僚機構だけですよ。官僚機構の従来ベースの行政が、何とはなしに行なわれているだけで、内政も外交も何だろうがかんだろうが、とにかく何にもない。そこが問題だけれども、日本の国内の状況を見ると、大変だ大変だといいながらもみんな食えている。
この状況がいつまで持ちこたえられるか。ひとえにそこにかかっていると思います」

●戦争で救われる小泉内閣
「経済無策」が続いていいのか

(2)次の総選挙はラストチャンス

――解散・総選挙は2年も3年も先にあるわけじゃない。

小沢「来年6月に衆議院議員の任期が切れるわけだから、それまでには必ず総選挙がある。その前に、朝鮮戦争が起きたとかなればまた別だが、国内的には深刻な経済状況だと思う。僕は来年の6月以前にも、持ちこたえられなくなるかもしれないと思っています。
経済が本当にクラッシュした時には選挙なんかやっていられなくなる。しかし、政権はどうするという話になるわけだから、何としても民主党を中心にした受け皿を作っておくことが僕らの責任だし、国民にとっても一番大事なことだろうと思う。
 もし、そこまでに経済破綻とか深刻な問題が起きなければ、このままいくと次の総選挙で勝負しない限り、だらだらした状況が1年、2年と続いていくことになる。そんなことをしていては、その次の総選挙でも政権交代はできない。その意味で、僕も菅さんも同じ認識ですが、次の総選挙で自民党に勝って政権を取らなくてはいけない。早く受け皿を作らなければと思っているんです」
 
――受け皿が民主・自由の合流になるのか。

小沢「合流の方法はいろいろある」

――2人ががっちり握手して日本を変える総選挙にすることは変わらないか。

菅「私にとってはそれは公約というか、そういう覚悟で臨んでいますし、必ず小沢党首と一緒に政権をとると、そういうことです。私は政治の根本が変われば、みんな変わると思っています。あまり変わらないんじゃないかとわりと中ぐらいの識者の人がいうんだけれど、私は違うと思う。例えば、田中康夫さんが長野県知事になって県政は大きく変わった。国の政治が一人では変わらないのは大統領制じゃないからですが、原 理が違う政権ができれば変わるんですよ。同じ自民党政権では、いくら変わり者が出てきても何も変わらない。自民党の原理が変わらないからです。われわれは原理そのものを変えようとしていますから、単なる政権交代とは違います」

――原理が変わると経済原理も変わる。

菅「例えば同じ3500億円の予算を東京―大阪の新幹線に使うのか、諫早の干拓に使うかということは、経済効果がまったく違う。何でこんな馬鹿な干拓をやるんだと全員わかっているけれど、今の自民党の原理だと止められない。われわれの政権は原理を変えるから、日本の活力がもう一度生まれてくる。国の仕事と地方の仕事をもっと逆にしていけば今の元気のいい知事さんたちも、原理を変えることに一緒に立ち上がってくれると思います」
小沢「明治維新でいえば、公武合体では何もできない。倒幕です。自民党政権を変える以外ないですよ」

 菅氏は、市民派として革新の土俵で育ち、細川内閣から村山―橋本内閣の間、政権に参画し、大臣も経験するなど元来の現実派感覚に磨きをかけた。目下、民主党代表として旧社会党的平和論から脱皮し、保守をも抱え込む安保政策の構築に取り組んでいる。
 片や小沢氏は、保守の中枢に育ち、戦後政治の手法の限界にいち早く気付き、自民党解体=日本改造を掲げ、菅氏とは逆に中道・左派に至るまで政治思想のウイングを広げている。
 両者それぞれが右と左から伸ばし合ったウイングが、現在の日本の危機を舞台に重なり合った。そうした奇しき現象は、日本の政治史のなかでは稀有なことで、新しい政治改革の可能性、その予定調和感を浮かび上がらせている。
「次の総選挙は政権奪取へのラストチャンス」――2人はいみじくも同じ言い方で退路を断った。

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