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「人間の盾」から見えたもの [JANJAN/相澤恭行氏] + 今後の同氏講演会
http://www.asyura.com/0304/war33/msg/630.html
投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 5 月 04 日 23:13:34:oswAM6lqBSCW6

2003/05/03
http://www.janjan.jp/index.php
http://www.janjan.jp/world/0305023431/1.php
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■「人間の盾」から見えたもの

親愛なるみなさまへ

 こんにちは、YATCH(相澤恭行)です。おかげさまで4月18日、人間の盾として行っていたイラクより無事帰国しました。
 イラクに行っている間、応援してくださった方々、本当にありがとうございます。
 また、身近な方々には、大変なご心配とご迷惑をおかけしてしまい、心からおわび申し上げます。

 出国前、あまりに忙しかったとはいえ、もう少し周囲にしっかりと開戦後の「盾」の意義を説明できていれば、と猛省しております。

 イラクでの「人間の盾」の活動を終え、いまこうして日本に帰ってきてみて、約3週間にわたる戦時下のバグダッド滞在がまるで夢のように思い出されます。

 連日連夜にわたるミサイル着弾音の恐怖。いかなる状況下でももてなしの心を忘れずに、たくましく生きるイラクの人々。クラスター爆弾により下半身に無数の鉄片が食い込み、「ブッシュはテロリストだ……」とうめき声を発する少年。

 外国人の「盾」との禁じられた恋に落ちたイラク人ガイド。陥落後、米兵が怖くて家族の死体に近づくことができずに泣き叫ぶ人々の要請で、米兵と交渉して死体の引き取りを手伝った際に見て触れた、あまりにも無残な人間のなれの果ての姿……。

 こうした数々の風景の記憶が、砂嵐のなか、おぼろな光をにじませて、停電の街にそびえるモスクを怪しく照らす上弦の月を中心に、連夜の「アッラーフアクバル」の祈りの声に溶けてゆっくりと回転と始め、目がつぶれてしまうほどの圧倒的な生と死のコントラストは、いま、私の精神の深奥部で奇妙な調和を見出したかのようです。

 我々「人間の盾」は、今回残念ながら、始まる前に戦争をとめる抑止力にはなりえませんでした。しかし、市民生活に欠かせない浄水場等のライフライン施設を守る姿勢を最後まで貫いたことにより、市民への被害を最小限に抑えることはできたのではないかと思っています。

 もちろん「盾」がいなかった場合の被害状況と比較検証することは不可能なので、どこまで抑止力が働いていたのかわかりませんし、事前に全く訓練のないまま参加するにはあまりに危険すぎる行動であるため、危機管理をはじめ反省点は枚挙に暇がありません。

 しかし今回「盾」に限らず、国家間の戦争で、世界各国からこれほどたくさんの一般市民が非武装で入り込むということは歴史上まれで、武力を行使する側にとっては非常にやりにくかったのではないかと思うのです。

 もちろん、これは世界規模で連帯して高まっていった反戦の国際世論があってこそ効果を発揮できるものであり、つまり世界中の目が見ているというのが最大の抑止効果となって、無差別爆撃など非人道的な壊滅的被害はかなり防げたのではないかと思っています。

 なによりも施設周辺の住民に、こんな戦時下でも我々のような外国人がいることに大きな安堵感を得た、と感謝されたことがうれしかったです。

 ただ、イラク全土では残念ながら、少なく見積もっても2000人以上もの一般市民が爆撃や戦闘に巻き込まれて亡くなっていることを思うと、やはり居たたまれない気持ちになります。

 自らの命を危険にさらすこうした究極の平和活動について、さまざまな批判があることは十分承知しております。

 しかし、この国際合意のないアメリカの先制攻撃を無効化するためにこれという有効な手立てがなく、国連ですらとめることができなかった今回の戦争に対して、我々世界の一般市民がただ座して見守るだけではなく、反対の意思表示を続け、さらには罪のないイラクの一般市民の犠牲を最小限に食い止めようと非武装で紛争地に直接介入したというこの事実は、今後の平和活動ならびに市民が中心となった新しい持続可能な社会の創造に向けたひとつの試みとして、小さくても貴重な一歩として記録されるのではないかと思います。

 「人間の盾」とは、「人間」を信じる究極の行動だと思います。

 開戦前、イラク政府に悪用されるのではないか、イラク人同士の内乱に巻き込まれるのではないか、アメリカは「盾」など無視して攻撃するのではないか、などと懸念され、これからバグダッド入りするのは自殺行為に等しいなどと言われてきましたが、そうした疑念に基づくことは一切起こりませんでした。

 私は今回、イラクを信じ、アメリカを信じ、そして必ず生きて帰ってくると言った自分自身を信じて、人間の盾となりました。

 疑いの連鎖が戦争を引き起こすのならば、私は信じることの連鎖によって平和を創造したい。狂気に覆われかけた世界にあっても、信じることができる限り、そこに希望はあるのです。

 今後しばらくは、人間の盾として爆撃される側から見た戦争をテーマに、そこに生きる人々の力強さ、凄惨な戦争被害の実態を伝え、これからの平和活動のあり方について今回考えたことを報告会等で話していくつもりです。日本各地に出向きますので、報告会、講演などを開催していただける方は、お気軽にご連絡下さいますようお願いいたします。

 同時に、「イラク支援市民ネットワーク」を立ち上げ、緊急支援のための募金の呼びかけをしていきます。今後、国連が中心となった各国のイラク復興支援が具体的に開始された場合、それらがまんべんなく公正に行き渡っているかどうかを調査する必要があると思うので、そうした活動についてもこれから調べてみるつもりです。

 平和への祈りをこめて。

(相澤恭行)
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プロフィール YATCH(やっち) 本名:相澤恭行(あいざわ やすゆき)
71年生まれ宮城県出身。96年まで音楽活動。その後アイルランド留学等を通じて国際交流に力を入れる。現在アクセサリーメーカー会社役員。03年2月「イラク国際市民調査団」、3月「人間の盾」に参加。帰国後「イラク支援市民ネットワーク」設立に取組む。
http://www.janjan.jp/user/pro/pro_reference.php?id=22

★以下は相澤恭行氏の4月6日バグダッドのレポートです

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03.04.06
From Baghdad
親愛なるみなさまへ
こんにちは。YATCH(相澤恭行)です。相変らずバグダッドでは電話もインターネットも繋がらないままですが、日本人ジャーナリストの協力でなんとか通信手段を得ました。
私は今HUMAN SHIELDS(人間の盾)としてサイトに入って元気に活動しています。サイトはバグバッド南のドーラ地区にある浄水場で、日本人8名、あとフランス人、スウェーデン人、チュニジア人等も合わせて総勢十数名で楽しくやっています。正直言って私も初めは人間の盾について、あくまでも戦争が始まる前の抑止力だと理解していましたが、いざバグダッドに入って話をきいてみて、どうやら始まってからも十分効果を発揮していることに気が付きました。と言うのも、SHIELDSが入っているサイトと言うのは、ここ浄水場や発電所等、市民の基本的ライフラインであって、もし破壊されれば市民生活に多大な影響を与える所であり、我々はそういうところを爆撃されないように守っているわけです。つまり残念ながら戦争は始まってしまいましたが、それでも市民の被害を最小限に抑え、戦時下のバグダッドからメディアを通じて国際世論を盛り上げて、この戦争を一刻も早く止めさせるということに我々SHIELDSの活動の意義があると気付きました。その証拠にまだSHIELDSに犠牲者は出ていませんし、そうしたライフラインはまだバグダッド市内ではどこも爆撃されていません。
(正確に言うと先日変電所にブラックアウト爆弾といって人的被害なしに停電だけを起こす爆弾をおとされました。あとSHIELDSのいないコミュニケーションセンターは次々に破壊されています。)SHIELDSがいない南部のバスラではそうしたライフラインのいくつかがすでにやられているらしいことから、ここバグダッドにおけるSHIELDSは明らかに抑止力になっていると思います。昨日は近くで激しい地上戦があり、一度全ての荷物をまとめてホテルに避難させられましたが、ここに留まり守り続けていきたいという皆の強い意思でまたサイトに帰ってきました。もちろんただいるだけではまるで意味がないわけで、メディアを通じて我々がここにいてこんなことをしているということを伝えなければなりません。そのためにすでに数回、戦時下でのデモを企画実行して世界に発信。あとジャミーラさんと一緒にイラクのソリダリティー(SHIELDSの受入れ団体)に交渉して連日昼間はバスツアーを組んでもらい、爆撃の跡や救急病院を訪れて戦争被害の現状をつぶさに見てまわるなど、夜はサイトに寝泊りするものの昼間は戦時下のイラク国際市民調査団として活動。正直言って戦時下でここまでいろいろ見て回れるとは思ってもいませんでした。ここ数日は赤新月社、国境なき医師団、国際赤十字等を訪ね、バスラに薬を届けることが出来ないかきいてまわっていましが、やはりいまバスラに行くことはかなり危険だということでした。バグダッド市内のあちこちの病院でも必要な薬を聞いてまわりましたが、最良の薬は今すぐこの戦争を止めさせることだとも言われました。

もちろん連日昼夜を問わず空爆はあり、近くに落ちると理屈ぬきに怖いのですが、さすがにだんだん慣れてきて、いちいち気にしていたら身が持たないと言うイラク人の気持ちが少しずつわかってきます。市場のど真ん中に落ちた爆撃の被害の凄まじさや、クラスター爆弾にやられ病院でうめき苦しむ少年も見ました。やはり戦争で苦しむのは何の罪もない人々。市場で「これがアメリカのデモクラシーだ」と吐き捨てたおじさん。激痛に耐えながら搾り出すように「ブッシュはテロリストだ」と言った少年。こうした言葉が次から次へと日本での平和に麻痺した感覚を根こそぎ抉り出すように切り込んできます。その一方、大方の店は閉まっていても、街を歩けば皆相変らず気さくに挨拶をしてくれるし、サッカー等に興じる子供達の笑い声も絶えません。
前回感じた生と死のコントラストは一段と眩しさを増している。こんな戦時下でも外国人がいるということは、彼らにとって大きな心の支えになっているのは間違いないし、こんな非常時を共有しているという連帯感は名状しがたい幸福感に変わってきます。SHIELDSとしての存在意義だけではなく、この戦争の証人となり彼らと時を共有 したというだけでも、私は今回戦火の中イラクに再入国した甲斐があったと思っています。平和運動に真の魂を入れるために、戦争を身体で知ることは大きな意義があることだと確信しました。

もちろんこうした活動は大きなリスクを伴うもので、私を心配してくれる人々の気持ちを考えると本当に申し訳なく思います。でも信じてほしいのです。私は必ず無事で帰ってこなければならない。帰ってからやることが本当にたくさんあるし、帰ってからこそ今の経験が生かせるわけですから。とにかく今は一刻も早くこの戦争を止めさせるよう、このバグダッドから最大限の声をあげ続けます。平和憲法とヒロシマ、ナガサキの経験を持つ我々日本人は世界の平和活動の先頭に立つべきです。日本政府が何もしない以上、我々市民がやらなければという思いで私はこの最前線に立っているのです。

ちなみに今日ジャミーラさんと、これまで私と一緒にサイトに入っていた志葉君がバグダッドを出て日本に向かいました。さらに日本人のSHIELDSを募り18日頃までにはまたイラク入りする予定だそうです。

バグダッドから愛をこめて

YATCH 相澤恭行

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03.04.06
昨日はドーラ近くの発電所に行きました。
今までと違う銃撃の音がしました。詳しい日本人に聞いたら市街戦の音だそうです。
地上戦があったのだと思います。 泊まっているサイトの近くだったので一旦バスでホテルに避難しました。
夕方発電所に戻るとまだ火がくすぶっていました。
またバグダッドでは一部水道が出ないところがあります。

ここ数日は昼間はバスに乗って爆心地や病院を回わり戦時の現状を調査していました。

YATCH 相澤恭行

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関連

「イラク国際市民調査団」
http://www10.plala.or.jp/jamila/01.html
【相澤恭行氏の上記の記事をを含め、人間の盾としてイラクに滞在した方々の多数のレポートがあります。】

《イラクレポート》〜親愛なる人々の住む国を旅して〜
http://www10.plala.or.jp/jamila/2ji_yatch.html
【開戦前2003年2月16日〜2003年2月28日の相澤恭行氏のレポートです】

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講演会「人間の盾」が見たイラク戦争
(現地ビデオ上映も)
講師:相澤恭行さん
■参加費:500円
■と き:5月11日(日)午後2じ〜午後5じ(開場1じ半)
■ところ:港区立三田福祉会館C室
     (最寄り駅:地下鉄三田線・浅草線 三田駅9番出口/JR田町)
     港区芝4−1−7 電話03−3452−9421
■主 催:コスタリカに学び平和をつくる会 
     事務局:児玉法律事務所
     後援/アース・チャイルド(地球の子ども新聞)

※会場となる三田福祉会館の近くに勤労福祉会館があるので、ご注意を!

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■講演会
「戦時下のイラクで考えたこと」3〜4月イラクで
人間の盾として活動した
相澤恭行さんの報告集会
日時:5月31日(土)午後6時〜8時30分
場所:阿佐ヶ谷地域区民センター3階第4・第5集会室、
(阿佐ヶ谷南1‐47‐17、рO3‐3314‐7211、JR阿佐ヶ谷駅南口から歩いて2分)
主催:「イラクの子どもたちは今」写真展実行委員会(杉並区本天沼1‐26‐8オリーブマンション101イラク写真展工房:рO90‐6125‐8381)

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