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【バグダッド=相原清】イラク全土で3日、小、中、高校の大半が再開、校舎やグラウンドには、子供たちの歓声が戻った。だが、フセイン独裁下で、“忠君愛国”教育を担わされてきた教師たちは、まるで日本の敗戦直後のように、突然迫られた価値観の転換に戸惑いを隠さなかった。
バグダッド中心部ニダル地区にあるアヘドアルジャディード小学校は、在校生500人の公立校。午前8時、1か月半ぶりに子供たちが明るい表情で登校。4年生のヤーセル・カリーム君(10)は、「やっと友達と遊べてうれしい。英語を一生懸命勉強するよ」と、はち切れそうな笑顔で話す。
同校は、創立71年の名門校。ハイファ・アサハク校長(53)は1週間前、校長室の壁に飾っていたフセイン大統領の写真を自ら外した。「正直に言えば悲しい思い。大統領はずっとこの国を率いてきた英雄ですから」。アサハク校長は目を伏せながら語る。同校でも、戦前は1日の授業の初めに必ず、「親愛なるフセイン大統領。大統領と国民に栄光あれ」と全員が唱和した。
フセイン政権崩壊後、すべてが変わった。4月30日、アサハク校長は、イラク教育省の監督官の訪問を受け、あらゆる教科書からフセイン大統領に関する記述を全部削除するように指示された。
アサハク校長は、「私も子供たちも大統領を心から敬愛してきた。体制が変わっても思いは同じです」と言う。だが、その横で、4年生のクルド人、ムハンマド・ナウザーデ君(10)は、「フセインなんて支持しない。タラバニ(クルド愛国同盟議長)が僕らの大統領だ」と声を張り上げた。
新生イラクの基本理念は「民主主義」であり、教育省は米国防総省の復興人道支援庁(ORHA)の指導の下、新年度の10月初めから各学校に、民主主義を説く新たな教科書を配布する方針だという。
だが、若手女性教師のザハラ・タリブさん(28)は、「私たちは民主的な国に暮らした経験がない。それなのに、どうやって民主主義を教えたらいいのか」と首を振った。
(2003/5/4/00:40 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030503i214.htm