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フセイン政権下での抑圧から解き放たれたイラクのシーア派イスラム教徒が、大規模巡礼や反米デモで強力な求心力を見せつけている。
米国からは、同じシーア派のイランのような政教一致体制の出現を警戒する声が出ているが、シーア派神学校のおひざ元、中部ナジャフでは「イラン型」とは距離を置こうとする声が圧倒的だ。
真夏のような日差しに輝くシーア派初代イマーム(指導者)アリの聖廟(せいびょう)。「偉大な指導者アリよ」という掛け声に合わせ、男たちが一斉に胸をたたく「ドッ、ドッ」という音が鈍く響く。
傍らの大理石の床では、黒い服装の女性たちが敷物を広げてお茶をすする。巡礼全体の光景は熱狂というより、伝統の祭礼をそれぞれが楽しんでいるように見える。
廟の正面にある土産物店の店主(44)は「イラクにはスンニ派もいればキリスト教徒もいる。新しい政府はイスラムの教えを基盤にしながら宗教の調和や民主主義、他民族を大事にすべきだ」と淡々と語った。
アリ廟では三月中旬、亡命先から帰国したばかりのホエイ師が殺害され、ナジャフ在住の大アヤトラ(最高位聖職者)シスタニ師が武装勢力から出国するよう脅される事件も起きた。米国の占領反対を唱える若手聖職者モクタダ・サドル師の支持者が、政治への関与に否定的な二人を狙ったとされる。
しかし、住民の間では穏健なシスタニ師を支持する人がほとんどだ。巡礼者支援のボランティア活動に参加していた市内の教師アブドル・アミンさん(45)は「米軍は勝手に市長を任命するなどしたため住民の反発を受けている。サドル師は反米感情に訴えて一時的に人気を得ているだけだ」と解説する。
白いターバンを着けた聖職者シェイク・ブデイリさん(40)は、イランの政教一致体制を「国民の投票で選ばれた」と肯定しながらも「イラクは自ら選択する。不正義だが神を信じる人物より、神を信じていなくても正義のある人物を選びたい」と言い切った。(ナジャフ共同=長谷川健司)
(了) 05/01
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq2/