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【ワシントン佐藤千矢子】イラク戦争の勝利で”株”を上げたラムズフェルド米国防長官が外交分野にも積極介入する姿勢を見せ、国防総省と国務省との間で新たな摩擦が生じている。対立はイラクの戦後復興から対北朝鮮政策にも及び、日本としても看過できないものに発展しつつある。
米メディアは「ラムズフェルド対パウエル(国務長官」の戦いを連日のように報じている。両者の対立は以前から伝えられていたが、新たな摩擦のきっかけは、4月22日のギングリッチ元下院議長の講演だった。保守派のギングリッチ氏は、イラク戦争をめぐる昨秋以降の国務省と国防総省の対応について「外交の失敗の6カ月と軍事的成功の1カ月だった」と総括したのだ。
イラク戦争が迅速な勝利を収めたのに対し、戦争前の外交は失敗続きだったという意味である。同氏はラムズフェルド長官と関係が深く、国防総省の諮問機関・国防政策委員会の委員を務めることから、この発言は様々な波紋を呼んだ。
特に国務省はアーミテージ副長官らが猛反発。ホワイトハウスは国務省を擁護せざるを得ない立場に立たされ、フライシャー大統領報道官が「パウエル長官と国務省の活動は、とりも直さずブッシュ大統領の活動だ」と発言するに至った。
だが、外交分野で国防総省がじわじわと発言力を強めているのは間違いない。国務省の職員たちは最近、ラムズフェルド長官からの政策提言を「ラミー文書」と呼んで恐れているという。
両省の主導権争いの一例はイラクの戦後復興問題だ。この戦いは結局、ラムズフェルド長官が推したガーナー退役将軍が「イラク復興人道支援室」(ORHA)のトップに就任、国防総省に軍配が上がった。
その暫定政権について、国防総省は反フセイン派の最大組織「イラク国民会議」(INC)のチャラビ代表をトップに据えようとしているが、国務省は同氏がヨルダンで横領の有罪判決を受けるなど評判が芳しくないことからトップ就任に反対。この問題はまだ決着がついていない。
対北朝鮮政策でも、北京で4月23〜25日に開催された米朝中3カ国協議をはさんで、二つの省の対立が表面化した。
ラムズフェルド長官は3カ国協議開催に反対し、開催が決まった後も、米首席代表を穏健派のケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)ではなく、強硬派のボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)にするよう提案。パウエル長官がこれを拒否し、最終的にケリー氏で落ち着いたと言われる。
さらに21日付の米紙ニューヨーク・タイムズによれば、ラムズフェルド長官は、米国が中国と連携して北朝鮮の金正日体制打倒を目指して外交圧力をかけるべきだとの機密メモを今月、チェイニー副大統領らブッシュ政権の主要メンバーに配布したという。
4月29日、ブッシュ政権の安全保障問題担当高官らが開いた会議について、ロイター通信は米当局者の話として「パウエル長官は北朝鮮と対話を継続する意向だが、ラムズフェルド長官の考え方は違う」と報じた。「ラムズフェルド対パウエル」の戦いの行方は、日本など周辺諸国の対北朝鮮政策にも影響を与えかねない。
[毎日新聞4月30日] ( 2003-04-30-17:07 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20030501k0000m030001000c.html