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アメリカが中東の空軍基地をカタールに移す?「カタール電網情報はかく語る」「最近のGTLプロジェクトを巡る動きのなかで、とくに注目されるのは、天然ガスの確認埋蔵量の面でロシア、イランに次いで世界第三位を誇るカタールでの複数の計画である」
http://www.shimbun.denki.or.jp/select2/01091909.html
9月19日付
【ワールドレポート】 中東
「事業化進むGTL」
日本エネルギー経済研究所常務理事 十市勉
といち・つとむ=1973年東大大学院地球物理コース博士課程修了・理学博士。同年日本エネルギー経済研究所入所、91年総合研究部長、94年理事・総合研究部長、2000年6月から現職。83年から2年間、米マサチューセッツ工科大(MIT)客員研究員。主著に「石油―日本の選択」など。大阪府出身、55歳。
天然ガスから液体燃料を製造するGTL(Gas―to―Liquid)が、本格的な実用化の段階を迎えようとしている。中東のカタールを筆頭に、イラン、マレーシア、豪州、エジプト、ナイジェリア、トリニダードなど豊富な天然ガス資源の保有国で、メジャーやベンチャー企業によるGTLの商業プラントの建設計画や検討状況が相次いで発表されている。
GTLは、天然ガスを転換して得られる水素と一酸化炭素の合成ガスから、一九二三年にドイツ人のフィッシャーとトロプシが開発したFT合成法で、液体燃料を製造する技術である。現在、商業規模のGTLプラントとして稼働しているのは、人種隔離政策を長年続けていた南アフリカと一九九〇年代始めにシェルが建設したマレーシアの二カ所だけである。しかし近年、GTLに対する関心が非常な高まりを見せており、その背景としては次のような理由が挙げられる。
第一に、世界的な天然ガスの供給力拡大と技術進歩が相まって、GTLの生産コストについて大幅な低下が期待できるようになったことである。以前は、原油価格がバレル当たり三十?前後でないと経済性が確保できないとされてきた。しかし最近は、天然ガスの原料コストを五十?/百万BTU(原油換算で三?/バレル)と想定すれば、原油価格が十五―二十?で採算がとれるめどが立つようになってきた。
消費地から遠く離れた中小規模のガス田や、非常に豊富な天然ガスを保有する国では、資源の付加価値を高める手段として、GTLは魅力的な選択肢になってきたのである。さらに最近は、OPECの結束力もかなり回復し、二十二―二十八?の原油価格水準が維持されるようになった点も、GTLの採算性の向上につながっている。
第二に、先進国を中心に燃料の品質に対する環境規制が一段と厳しくなるのに伴い、イオウ分をほとんど含まないクリーンな液体燃料であるGTL製品は、原油から得られる通常の石油製品に比べ、高い市場価値が得られるようになってきた。とくに自動車用燃料の軽油については、米国や欧州に次いで日本でも、イオウ含有率を現在の五百ppmから二〇〇四年には五十ppmに、そして将来は十―十五ppmまで低減させることが見込まれている。原油からこのような超低イオウ軽油を製造するには、バレル当たり数?の追加コストが必要になるからである。
最近のGTLプロジェクトを巡る動きのなかで、とくに注目されるのは、天然ガスの確認埋蔵量の面でロシア、イランに次いで世界第三位を誇るカタールでの複数の計画である。そのなかで最も先行しているのが、同国の公社であるカタール石油(出資比率が五一%)と南アのサソール(同四九%)の合弁事業である。計画によると、同国のLNG基地であるラス・ラファンに、サソールの技術を用いて日量三万三千七百五十バレルの合成油を製造するというものである。得られる製品としては高品質の輸送用燃料が日量二万一千バレル、日量ナフサが九千バレル、LPGが日量一千バレルで、投資額は八億?、二〇〇五年の稼働を目指すとしている。すでに今年の七月には、三千万?のエンジニアリングとデザイン業務の発注を行い、現在は日本興業銀行をコンサルタントにして、南アでのプロジェクト・ファイナンスの進め方を検討中と伝えられている。
また六月には、独自に開発したGTL技術を持つエクソン・モービルは、カタール石油との間で、日量八万バレルの大規模なGTL事業の可能性調査を行うとの趣意書に合意している。さらに、ベンチャー企業であるシントロリアム社のGTL技術ライセンスを取得したカナダのアイバンホー・エナジー社は、日量七万八千バレルを二系列建設する事業可能性調査を終えて、カタール石油と協議に入っており、その他、シェルやコノコなども、カタール石油に対して、同様なGTLプロジェクトを提案していると伝えられている。このような多数の計画がすべて実現するとは考えにくいが、これまでの検討段階から具体的な事業化に向けてプロジェクトが動き始めた点が注目されよう。
以上見たように、メジャーを含めた世界の石油企業は、環境問題を追い風に、自前の技術と豊富なキャッシュ・フローを武器にして、産ガス国においてGTLの本格的な事業化に乗り出そうとしている。順調に進めば、主に軽油の代替となるGTLの生産量は、二〇一〇年には日量五十―百万バレル前後になると見込まれている。このようなGTL製品が市場に登場するようになれば、日本の精製業の投資戦略にも影響を与えることになるだろう。環境規制の強化に伴って、超低イオウの軽油を供給するのに、深度脱硫設備を新設するのか、あるいはGTL製品を輸入してブレンドするかの判断を迫られるからである。
【海外論調】
「英国/NETA導入から3カ月」
英国のガス電力市場局(OFGEM)は八月三十一日、プール制に代わる新たな卸電力取引制度(NETA)の運用開始から三カ月間の市場動向を分析した報告書を発表した。評価はおおむね良好である。その理由として、卸電力取引価格の低下、インバランス価格の低下と安定化、需給調整コストの低下、契約の流動性の向上などを挙げている。
報告書によれば、卸電力価格はプール制の下での価格と比較して二〇―二五%低下している。また、NETAスタート後しばらくの間、同時同量から外れた電力量を決済するインバランス価格が極めて高いレベル(日平均八ペンス/??時程度)で推移したが、これも六月には五ペンス程度にまで低下、スパイク(急騰)回数も少なくなっている。インバランス価格の低下は、系統運用会社(NGC)の需給調整コストの低下に関連している。同コストは当初の一日当たり百万ポンドから、六月には同五十万ポンドへと半減している。
これに対してある業界誌は、この分析は需要が徐々に低下する三月末から六月末までの三カ月間を対象としたものであり、NETAの本質は需要が増大する冬期を経験するまでわからないと厳しい見方をしている。また、OFGEMはこれと並行して、NETAがコージェネや再生可能エネルギープラントなどの小規模電源に与える影響について調査を行った。
それによると、取引価格は平均で一七%低下、大規模プラントのそれに比べて下落幅は小さいものの影響は大きく、発電量は昨年と比べて平均で四四%低下した。特にコージェネは燃料価格の高騰もあいまって、発電量は昨年比で六〇%減となった。
また、出力予想が難しい風力発電はNETAの下でその価値を大幅に下げ、発電量も一四%程度低下している。
政府はCO2対策の一環として、二〇一〇年までにコージェネ設備一千万kW、また、国内需要の一〇%を賄える量の再生可能エネルギー電源の開発を目標に掲げ、さまざまな助成措置を講じているが、目標の達成は困難であるとの見方が強まっている。コージェネ協会では小規模電源に対する抜本的な支援策を求めているが、報告書は出力予想が困難な電源について支援する可能性を示唆しているのみである。今後、冬に向けてNETAの本質が試される。
(海外電力調査会調査部遠゙良 長寿)
【ニュースフラッシュ】
《米国》
同時多発テロのエネルギー業界への影響
11日に発生した同時多発テロ事件は、米国のエネルギー産業にも大きな影響を与えた。エネルギー産業は事件後、即座に発電所や精油所、パイプラインなどに警戒態勢を敷いた。また、戦略石油備蓄基地の警備を厳重にしたほか、会社のオフィスからは職員が退避し、いくつかのプラントでは構内に立ち入る自動車に対し厳しいチェックを行った。さらに主要な企業は、ガソリンやその他の燃料が十分に確保されていることをアピールし、消費者の不安解消に努めた。
精油所や化学工業会社が集中するテキサス州ヒューストンでは、慎重にプラントの運転が続けられた。トレーダーは当初パニックに陥ったが、結局、米国内のエネルギー・インフラに対するテロ行為は発生しなかった。
一方、今回の事件でエネルギー産業の「弱点」があらためてクローズアップされたとの声も上がっている。テロの犯人が確定される以前の状況がはっきりしない段階ですでに、中東からの石油供給が途絶するのではないかとの不安によって石油価格が急騰した。
米エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官は事件の翌日、「国内のいくつかの地域でガソリン価格が1ガロン当たり5?程度にまで急上昇したという報告を受けた」と述べた。長官はこれを受けて、米エネルギー情報局(EIA)に対し、これらの報告やガソリンの供給状況について調査するように指示したという。その結果として、「このような価格高騰の根拠となるような石油の供給途絶はない」と明言した。
同省はさらに、事件の発生した11日から各州の知事と連絡をとってこうした情報を流し、不安の解消に努めたほか、エネルギー業界に対してもガソリン価格の急騰が起きるような状況ではないことをはっきりさせるよう呼びかけを行ったという。
また、事件当時にたまたま開催されていたエネルギー専門家の会合では、国内の航空線が不通になったため参加者が足止めを食った。テロの規模が明らかになるにつれ、こうしたテロに対するエネルギー産業の弱点や安全性などの問題についてさらに議論が続けられた。
この時の議論では、国内のエネルギー関連施設のうち今回のようなジェット機の衝突の衝撃に耐えられるのは、原子力発電所の原子炉の密封容器だけであり、その他の施設はほとんど無防備な状態にあるとの指摘がなされ、複数の専門家がこれを認めた。
《欧州》
独が脱原子力法案の決議を延期
独連邦議会は、今後20年間で原子力発電から段階的に撤退することを定めた法案に関する検討を無期限に延期することを決定した。メディアは米国での同時多発テロ事件が原因であると報じている。下院は14日にこの法案について投票を行う予定だった。
脱原子力については今年6月、シュレーダー首相が主要な4電力会社の首脳との間で取り決めを結んでいた。
《アジア》
パキスタンで初の風力開発計画
パキスタンは国連と協力し、国内で初の風力発電計画をバロチスタン州マクラーン沿岸地域のパスニーで開始する計画だ。建設予定地のパスニーでの風況調査は今年10月の第1週にも開始される予定。すでに国連の関係者がパキスタン政府当局とイスラマバードで話し合いを行っているという。